なぜ筋トレをするとテストステロンが増えるのか

近年、「テストステロン」が注目を集めるのには理由があります。
男性ホルモンの一つであるテストステロンは、心身の健康を保つのに重要な役割を果たすからです。
このホルモンバランスが悪いと体調を崩したり、精神的に不安定になることもあります。

そんなテストステロンですが、自分では増やすことはできないと思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、睡眠、食事、筋力トレーニングなどで増やすことができるんです。

ここでは筋力トレーニング(以下、筋トレ)に焦点を合わせてお伝えします。
コロナ禍で家に閉じこもりがちですが、自宅でもできる筋トレでテストステロンを増やして、健康的な体を手に入れましょう。

テストステロンが作用する仕組み

テストステロンが作用するためには、標的となる細胞とテストステロンを結びつける、「アンドロゲン受容体」が必要です。
筋トレをすることによって、テストステロン同様にアンドロゲン受容体も増えることがわかっています。

筋トレでは、切れた筋繊維を修復する過程で筋肉が肥大します。
これは「筋肥大」と呼ばれ、標的細胞上にあるアンドロゲン受容体とテストステロンが結びつき、タンパク質の合成を促進させることで起こると考えられています。アンドロゲン受容体によって細胞内に運ばれたテストステロンは、修復が必要な箇所を見つけ細胞内の修復を行ってくれます。

筋肥大に大きく関係しているのが、テストステロンなのです。

筋トレのメリット

筋トレにはさまざまなメリットがあります。

筋トレは自分を追い込む行為です。
自分を追い込むことで「興奮」「緊張」「危険」という、テストステロンが分泌されやすい条件を自ら作り出すことができます。
筋トレは方法によっては用具などが不要で、自力で行えます。心身の健康を保つことができる、コストパフォーマンスの高い健康維持方法といえるでしょう。

健康の維持

人生100年時代といわれています。

ですが、30歳を過ぎると、何もしなければ足腰の筋肉量は1年でおよそ1%ずつ減少するという報告があります。
また、筋肉の衰えと並行して、加齢によって糖尿病や心筋梗塞といった生活習慣病のリスクが高まり、うつ病や認知症の発症頻度も高まります。

少し大げさかもしれませんが、将来自分が介護される期間をいかに短くするかは、自分のためでもあり、ひいては社会のためといった考え方もあるようです。
筋トレで健康を維持していきましょう。

精神的な安定

男性にも更年期障害があることをご存じでしょうか。
疲れやすい、イライラする、いくら寝ても疲れが取れない、何をやっても集中できない、性欲が湧かないなど、こんな症状の方は男性更年期障害(LOH症候群)の可能性があります。

テストステロンが少ない人は感情のコントロールがうまくいかず、まわりの人から孤立してしまうおそれがあるかもしれません。
仕事でのストレスを抱え、家に帰れば奥さんに小言を言われ、さらにストレスを抱えながら翌日会社に出勤する−−−−−−−このような毎日を過ごしている人は注意が必要です。
テストステロンは精神状態にも関わることが分かっています。

心を落ち着いた状態に保つためにも、筋トレでテストステロンの分泌を促すことが重要です。
病は気から。まずは、自分の精神状態から見直すことが重要です。

判断力や決断力の向上

普段の生活の中で、自分の判断力や決断力に意識を向けている方は少ないのではないでしょうか。

しかし、私たちは日頃の生活で、大きなものから小さなものまで、常に判断を求められています。
例えば、家族が病気になったとき。
「救急車を呼ぶべきか」「自分の車で病院に連れて行こうか」「少し様子を見よう」などと考えますよね。
そして、その後の行動なども考えているはずです。

ほかにも、仕事での失敗をどのように穴埋めするかも、決断力が問われます。
上司への連絡、部下への対応、自分が取るべき行動をどうするかも判断力です。
こうした判断力や決断力、集中力を高めるのもテストステロンの役割です。

筋肉の役割

筋肉の役割には「体を動かす」「体を守る」「熱の産生」「血液循環の補助」という四つの役割があります。
この四つの役割を果たすためには、ある程度の筋肉量が必要です。

体を動かす(運動能力)

筋肉はエンジンに例えられることがあります。
筋トレは、エンジンを大きくしてパワー(馬力)を上げることと同じです。
筋肉量が増えれば、重いものを持ち上げられたり、同じ動作でも速く行ったりすることができます。

体を守る(衝撃の吸収)

筋肉は自分を守ってくれるよろいのようなものです。
筋トレで筋肉が増えれば、外部からの衝撃に耐えられるようになります。
筋肉は骨の周辺や内蔵のまわりについているので、自分の骨格や内臓を守る役割があります。

熱の産生

脂肪を蓄えて太っている人は寒さに強いイメージがあるかもしれませんが、実は、筋肉量が多い人の方が自分で熱を作り出すことができるので、寒さには強いといわれています。
熱を出すことで脂肪も燃えやすくなるので、痩せやすい体質を作るにも筋トレは必要です。

血液循環の補助

血液の循環が悪いと肩がこったり、体が冷えたりしますよね。
この循環をサポートするのも、筋肉の大きな役割です。

筋トレで特にふくらはぎの筋肉を鍛えることにより、重力によって下半身にたまった血液が押し上げられます。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれているほど、血液の循環に関与しています。

まとめ

今回は「筋トレをするとなぜテストステロンが増えるのか」について説明しました。

テストステロンが作用するためには、標的となる細胞に運んでくれるアンドロゲン受容体が必要です。
自分を追い込んで筋トレすることにより、テストステロンの分泌とアンドロゲン受容体の数が増えます。
テストステロンがアンドロゲン受容体を経由して作用することで、健康な体や精神的な安定が保たれます。

筋トレをすることで、

  • 健康の維持
  • 精神的な安定
  • 判断力や決断力の向上

といった効果が期待できます。

筋肉には四つの役割があます。

  • 体を動かす(運動能力)
  • 体を守る(衝撃の吸収)
  • 熱の産生
  • 血液循環の補助

筋肉がこれらの役割を正常に果たすためにも、筋トレは重要です。

いつまでも若々しく精力的に活動するためにも、筋トレを習慣的に行ってはいかがでしょうか。

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