薄毛は多くの人にとって深刻な悩みの一つです。
男性では30代後半、女性では40代前半頃に薄毛が気になり出す人が増えるといわれています。
自分が薄毛のどのタイプに分類されるのかを知ることは、効果的な対策を講じる第一歩です。
この記事では、薄毛の種類や特徴、原因、生活習慣の改善方法について詳しく解説します。
まずは自分の髪の健康状態を見つめ直すきっかけにしてみてください。

薄毛のタイプは主に3種類ある

薄毛のタイプには、主に以下の3種類があります。
これらはAGA（男性型脱毛症）の進行度を示す指標「ハミルトン・ノーウッド分類」に基づいて分類されたものです。

▼ハミルトン・ノーウッド分類

ハミルトン・ノーウッド分類は、欧米人のAGA進行パターンをまとめたもので、日本では皮膚科医・高島巌氏により「Ⅱ vertex」と「Ⅲ vertex」が加えられた「高島分類」が主に使用されています。

M字型の薄毛

M字型の薄毛は、額の両端が後退していくタイプで、ハミルトン分類ではⅠ型からⅤ型にかけて進行します。
左右の生え際が少しずつ後退し、進行するにつれて額の形がアルファベットの「M」の字に似た形になるのが特徴です。
男性型脱毛症（AGA）の初期症状であることが多く、30〜40代のほか20代でも見られることがあります。

O字型の薄毛

O字型の薄毛は、頭頂部から薄毛が始まるタイプで、「つむじはげ」「てっぺんはげ」と呼ばれることもあります。
ハミルトン分類ではⅡ型vertexからⅣ型に該当し、上から見るとアルファベットの「O」の形に薄くなっていくことが特徴です。
一般的に前から見るとあまり目立たず、つむじの周囲から薄くなるため、自分では気づきにくい傾向があります。

U字型の薄毛

U字型の薄毛は、M字型の薄毛が進行して生え際全体が後退したタイプで、ハミルトン分類ではⅣa型からⅦ型に分類されます。
前頭部から頭頂部にかけて薄くなり、最終的には側頭部や後頭部を除く広範囲の髪の毛が失われる可能性があります。
一般的に40〜50代に見られ、前頭部の髪が薄くなるため外見上も目立ちやすい状態です。

その他

薄毛には、M字型・O字型・U字型以外のタイプも存在します。これらを含め多薄毛の種類を知っておくことは、適切な対策を取るためにも重要です。

円形の脱毛斑が現れる

突然、円形または楕円形の脱毛斑ができた場合は、円形脱毛症の可能性があります。
円形脱毛症は年齢・性別関係なく発症し、脱毛斑が現れる場所や大きさもさまざまです。

不規則に薄毛が進行する

頭皮のべたつきや大量のフケ、かゆみを伴う薄毛は、脂漏性脱毛症の可能性があります。
頭皮の皮脂分泌が過剰になることで毛穴で炎症が起こり、毛根がダメージを受けて脱毛に至ったものです。

全体的に髪が薄くなる

髪のボリュームが全体的に減ってきた場合、びまん性脱毛症の可能性があります。
びまん性脱毛症は特に女性に多い症状で、生活習慣やホルモンバランスの変化、ストレスが関与していることが多いです。

薄毛になり始めのチェック方法

薄毛の兆候を見極めるためには、以下のチェックリストを参考にするとよいでしょう。

抜け毛が増加した

健康な人でも1日に50〜100本の髪が抜けているとされていますが、それを大幅に上回る抜け毛がある場合は注意が必要です。
とはいえ1日の抜け毛の本数を数えることは困難なので、朝起きた時の枕元やシャンプー時に多くの髪が抜けていないかを確認しましょう。

髪が細くなった

髪が以前よりも細くなっていると感じる場合は、ヘアサイクルが乱れている可能性があります。
ヘアサイクルが乱れると、髪が十分に成長しないまま抜け落ちてしまい、薄毛につながるリスクが上がります。
特に、前頭部や頭頂部に細い髪の毛が増えてきた場合は、AGA（男性型脱毛症）の初期段階の可能性もあるでしょう。

髪のボリュームが減った

フワッとしたボリュームがなくなり、全体的にペタッとした印象になった場合は、薄毛の初期段階の疑いがあります。
髪が細くなっていたり、抜け毛が増えていたりするかもしれません。

生え際が深くなった

鏡で自分を見たときに、額の生え際がそり込みを入れたように深くなっていると感じたら、薄毛のサインかもしれません。
生え際の髪が他の部分よりも細く軟らかい場合は要注意です。
過去の写真と比較して、以前よりも後退していないかを確認しましょう。

分け目から頭皮が透けて見えるようになった

分け目から頭皮が5mm以上透けて見える場合、薄毛の兆候と考えられます。
頭皮が透けて見えるのは髪の密度が下がるためで、AGA（男性型脱毛症）だけでなくびまん性脱毛症などの可能性もあります。
分け目付近の髪が細く、抜けた毛の毛根にふくらみがない場合は注意が必要です。

薄毛になる原因

薄毛は、いくつかの要因が重なって起こることが多いです。代表的な原因として以下の点が挙げられます。

男性ホルモンの変化

薄毛、特にAGA（男性型脱毛症）は、男性ホルモンと深い関係があります。
薄毛の原因となるのは、ジヒドロテストステロン（DHT）という男性ホルモンです。
テストステロンは体内でさまざまな役割を持つ男性ホルモンですが、これが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで、ジヒドロテストステロン（DHT）に変換されます。
ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に取り込まれると、脱毛因子（TGB-β、DKK1）が生成され、毛母細胞の働きを低下させます。
その結果、髪の成長期が短くなり、十分に成長することなく髪が抜け落ちてしまうのです。

遺伝

遺伝は薄毛の重要な原因のひとつです。
家族や親族に薄毛の人が多い場合、自分にも同じリスクがあるかもしれません。
特に、男性型脱毛症（AGA）は遺伝的な要因が強く、双子を用いた研究では遺伝率が80％に達すると推定されています。
AGAの遺伝には複数の遺伝子が関与していると考えられており、特に重要とされているのが、母方のX染色体から受け継がれる「アンドロゲン受容体遺伝子」です。
アンドロゲン受容体遺伝子は毛根の細胞に存在し、男性ホルモンであるアンドロゲンを受け取る役割を果たしています。
つまり、アンドロゲンに敏感な遺伝子を受け継ぐと、AGAになりやすくなるということです。
実際、2004年の研究によれば、母方の祖父が薄毛である場合、約75％の確率でその特徴が子どもにも遺伝するとされています。

ストレス

精神的なストレスは脱毛の引き金となるだけでなく、逆に脱毛がストレスをもたらす場合もあるなど、薄毛の悪化に深く関わる要因です。
ストレスがかかると、体はストレスホルモンとして知られるコルチゾールを分泌します。
コルチゾールは毛包幹細胞に影響を与え、毛の成長を抑えることが知られています。
そのため、結果的に髪の成長が妨げられ、薄毛が進行する可能性があるのです。
ちなみに、ストレスが円形脱毛症を招くという従来の考え方は見直されつつあります。
現在では、ストレスは円形脱毛症のきっかけのひとつであり、他にもさまざまな要因が影響しているとされています。

生活リズムの乱れ

不規則な生活リズムは、髪の健康にとって大きなリスク要因です。
特に、睡眠不足や栄養不足は髪の健康を損ない、薄毛の進行を促す可能性があります。
良質な睡眠が確保できないと成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長に必要なたんぱく質が十分に生成できなくなってしまうからです。
また、睡眠不足が続けばストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されやすくなるため、毛の成長が抑制されるおそれもあるでしょう。
さらに、日々の食事で、たんぱく質やビタミンB、亜鉛といった髪や頭皮の健康に必要な栄養素が不足すると、薄毛がより進行しやすい状態になってしまいます。

喫煙

喫煙は、薄毛を引き起こす要因としても知られています。
喫煙は血行を悪化させ、毛根に必要な栄養を届きにくくするため、髪の健康を損なうことにつながります。
さらに、喫煙はAGAの原因となるジヒドロテストステロン（DHT）の生成を促進する可能性がある点にも注意が必要です。
いくつかの研究では、喫煙者のDHT濃度が非喫煙者に比べて高いことが報告されています。

薄毛になりやすい人の特徴

薄毛になりやすい人には、いくつかの共通点があります。
以下に挙げる特徴に当てはまる場合は、特に薄毛に注意が必要です。

家族・親族に薄毛の人が多い

AGA（男性型脱毛症）は遺伝的な要因が強いため、家族・親族に薄毛の人が多い場合、将来薄毛になるリスクは高まります。

頭皮がべたつき大きなフケが出る

頭皮の過剰な皮脂分泌は、脂漏性脱毛症につながるリスクがあります。シャンプー時や起床時に抜け毛が多く見られる場合は注意が必要です。

ストレスを感じやすい

強いストレスが長期間続く場合、ホルモンバランスの乱れによって抜け毛が増加する可能性があります。

不規則な生活を送っている

睡眠不足や栄養バランスの取れていない食事は、髪や頭皮の健康を損なう原因となります。

タバコを吸う

喫煙者は頭皮の血行を悪化させるだけでなく、AGA（男性型脱毛症）の原因となるジヒドロテストステロン（DHT）の生成を促すといわれています。

すぐにできる薄毛対策

薄毛の進行を防ぐためには、以下の3つのポイントが重要です。

1.　必要な睡眠時間を確保する

成長ホルモンを十分に分泌させるためには、良質な睡眠を十分に取ることが大切です。
まずは、6時間以上の睡眠を確保するように意識してみましょう。
朝起きたら太陽の光を浴びるようにすると体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。
また、夜に光を浴びると睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を低下させるといわれているので、寝る前のスマホは控えたほうが無難です。

2.　栄養バランスの取れた食事を心がける

髪や地肌の健康のためには、栄養バランスの取れた食事を心がけることも欠かせません。
2023年に公開された調査研究では、多くの日本人はカロリーは足りているものの、栄養バランスが偏っている状態であることが示唆されています。
摂取不足が指摘された栄養素の中には、髪の健康に重要な栄養素も複数含まれています。

▼不足しやすい髪に必要な栄養素の例

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回は食べるようにすると、栄養バランスが整いやすくなるでしょう。

3.　ストレスの発散

ストレスは薄毛を悪化させる要因になるので、溜めずに発散することが大切です。
一番手軽なストレス発散方法は、散歩。「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促し、ストレス軽減に役立つことがわかっています。
さらに、公園など自然の中を歩くことで、ストレスホルモンであるコルチゾール濃度が低下するといわれています。
そのほか、好きな音楽を聴いたり、読書や映画鑑賞をしたりするのもおすすめです。

4. 　正しいヘアケア

髪や頭皮に適したシャンプーやトリートメントを選び、優しく洗うことを心がけましょう。
頭皮のべたつきが気になる場合は、頭皮ケア成分が配合された薬用シャンプーもおすすめです。
頭皮マッサージも血行を促進し、髪の成長をサポートします。
ただし、力の入れすぎ・やりすぎは逆効果となるので、1日1回3分程度にとどめておきましょう。

AGA（男性型脱毛症）は進行性！早期の治療薬服用が重要

ここまで手軽に行える薄毛対策について紹介してきましたが、AGAは進行性のため早期に治療を始めることが重要です。
AGA治療薬を用いることで、薄毛の進行を遅らせたり、育毛を促進したりする効果が期待できます。
主に使用される治療薬には以下のものがあります。
いずれも基本的には6ヶ月程度継続することで、治療効果を実感できるようになるでしょう。

▼主なAGA治療薬

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当院では、患者様の状態や悩みに応じた内服薬を処方し、AGAの進行を防止し発毛を促進するお手伝いをいたします。
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▼内服薬の料金例

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