ED治療薬が効かないのはなぜ?考えられる原因と見直したい服用方法
ED治療薬を飲んでも効果を感じられないと、薬が自分に合っていないのだと考えたくなります。
ただ、実際には服用方法の細かな違いが結果を左右していることも少なくありません。
この記事では、原因を「服用方法」「用量や薬剤」「薬以外の要因」の三つに分けて整理し、次の受診で何を伝えればよいかまで説明します。自己判断で量を増やすことの危険性にも触れます。
この記事の要約
- 効かないと感じる原因は、服用方法、用量や薬剤、薬以外の要因の三つに整理できます。
- シルデナフィルは食事と共に服用すると、空腹時に比べ効果発現が遅れることがあります。
- ED治療薬は性的刺激があって働く薬で、飲むだけで勃起する薬ではありません。
- 糖尿病や心血管疾患、服用中の薬、生活習慣が背景にある場合も考えられます。
- 用量の調整は医師が判断するもので、自己判断での増量は副作用のリスクを高めます。
ED治療薬が効かないと感じる理由は一つではない
「効かない」と感じたとき、いきなり薬の種類を変えるのではなく、まず原因を切り分けることが近道になります。大きく分けると次の三つです。
- 服用方法に原因がある場合(飲むタイミング、食事、性的刺激の有無など)
- 用量や薬剤が合っていない場合
- 薬以外に原因がある場合(基礎疾患、併用薬、心理的要因、生活習慣など)
この記事では、この三つの順に見ていきます。とくに一つ目は自分で確認できる範囲が多く、見直すだけで状況が変わることもあります。二つ目と三つ目は医師の判断が必要な領域です。
ED治療薬の服用方法に原因がある場合
まず確認したいのが飲み方です。以下の内容は、PMDAが公開しているバイアグラ錠とシアリス錠の電子添文で確認できた範囲に限って説明します。実際の指示は処方時のものが優先されます。
ED治療薬を服用してから効果が出るまでの時間
バイアグラ錠の電子添文では、通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mgから50mgを性行為の約1時間前に経口投与すると定められています。シアリス錠でも、1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に服用する用法が示されています。
飲んですぐに効果が現れる薬ではないため、直前に服用して「効かなかった」と判断してしまうケースがあります。なお、シアリス錠の電子添文には、投与後36時間まで有効性が認められていると記載されています。薬によって効果が続く時間の考え方が異なる点も押さえておきたいところです。
ED治療薬と食事の影響
食事の影響は成分によって異なります。バイアグラ錠の電子添文には、用法及び用量に関連する注意として、食事と共に本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがあると明記されています。
同添文の薬物動態の項では、健康成人16名にシルデナフィル50mgを食後または空腹時に単回経口投与した試験で、最高血中濃度に達するまでの時間が食後3.0時間、空腹時1.2時間であり、食後投与で1.8時間延長したと報告されています。一方、シアリス錠の電子添文には、本剤は食事の有無にかかわらず投与できると記載されています。
食事との関係については、別記事「ED治療薬 食事」でより詳しく扱っています。食後に服用して効果を感じにくかった場合は、その旨を医師へ伝えてください。
ED治療薬とアルコールの影響
飲酒の場面と重なることが多いため、アルコールの影響を気にする人は少なくありません。シアリス錠の電子添文では、アルコール飲用時に本剤を投与した外国の臨床薬理試験において、アルコール血中濃度と本剤の血漿中濃度のいずれも相互に影響を受けなかったとされています。
ただし同じ記載の中で、アルコールを高用量(0.7g/kg)飲用した被験者において、めまいや起立性低血圧が報告されたとも書かれています。薬の血中濃度が変わらなくても、飲みすぎた状態では体調面の影響が出ることがあるということです。
加えて、多量の飲酒は性的な反応そのものにも影響します。効果を確かめたい場面では、飲酒量を控えめにしたうえで試すほうが、判断しやすくなります。
PDE5阻害薬は性的刺激がないと効果が現れない
これは誤解が多い点です。ED治療薬は飲めば自動的に勃起する薬ではありません。性的な刺激があって初めて働く仕組みになっています。
PDE5阻害薬は、性的刺激によって増えるcGMPという物質の分解を抑え、陰茎に血液が流れ込みやすい状態を助けます。薬だけで性的興奮を起こしたり、性的刺激なしに勃起させたりするものではありません。
この点を知らずに、服用後しばらく待っても何も起きないという理由で効かないと判断してしまう例があります。薬は状況を整える役割であって、勃起そのものを起こす引き金ではないという理解が必要です。
バルデナフィル錠の電子添文にも、本剤は催淫剤または性欲増進剤ではないと明記されています。緊張が強い場面では刺激への反応が鈍くなることもあるため、条件を変えて確かめてみることも一つの方法です。
ED治療薬の用量や薬剤が合っていないと効かない
飲み方を見直しても変化がない場合、用量や薬剤の選択を検討する段階になります。ここからは医師の判断が必要な領域です。
電子添文では、いずれの薬にも用量の幅が定められています。バイアグラ錠はシルデナフィルとして25mgから50mg、シアリス錠は10mgで十分な効果が得られず忍容性が良好と判断された場合に20mgへ増量できるとされています。ただし、高齢者や肝機能・腎機能に問題がある場合には、開始用量や最高用量に制限が設けられています。
成分ごとの特徴の違いについては、別記事「ED治療薬 種類」で詳しく整理しています。どの薬をどの量で使うかは、持病、併用薬、生活のリズムなどを踏まえて医師が判断します。自分に合う薬を探す作業は、診察を重ねながら進めるものと考えてください。
ED治療薬以外に効かない原因がある場合
薬の使い方に問題がなくても効果を感じにくい場合、背景に別の要因があることがあります。心理面だけの問題と決めつけず、身体面も含めて確認することが大切です。
心因性の要因
不安や緊張が強いと、性的刺激への反応そのものが起こりにくくなります。前回うまくいかなかった経験が次の不安につながり、悪循環になることもあります。
薬を使っていても心理的な要因は残るため、薬だけで解決するとは限りません。カウンセリングや心療内科との連携が検討される場合もあります。ただし、心理面が思い当たるからといって身体的な原因がないとは限らないため、身体面の確認も並行して受けてください。
糖尿病・心血管疾患などの基礎疾患
日本泌尿器科学会の解説では、EDの原因として糖尿病、心血管疾患と高血圧、慢性腎臓病、神経疾患、テストステロンの低下、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられています。これらが背景にある場合、薬の効果を感じにくいことがあります。
同解説では、高血圧の患者で41.6%、糖尿病で42%、高脂血症で20%の人にEDがみられるとされ、心血管疾患を発症する前にEDが自覚されることが多い点も指摘されています。効果が乏しいという経験は、全身の状態を確認するきっかけにもなります。
服用中の他の薬の影響
降圧薬や一部の精神科の薬など、服用中の薬がEDに関わっている場合があります。同学会の解説でも、服用中の薬剤による副作用が原因の一つとして挙げられています。
思い当たる薬があっても、自分の判断で中止したり量を変えたりしないでください。もとの病気が悪化するおそれがあります。必要かどうかの判断と調整は、処方している医師が行います。受診の際は、お薬手帳などで正確に伝えてください。
また、併用する薬によってED治療薬そのものの血中濃度が変わることもあります。バイアグラ錠の電子添文では、チトクロームP450 3A4を誘導するボセンタンやリファンピシン等との併用で本剤の血漿中濃度が低下すると記載されています。反対に、酵素の働きを妨げる薬との併用では濃度が上昇するため、低用量から開始するなど慎重に投与することとされています。
効果を感じにくい背景に、こうした組み合わせが関わっている可能性もあります。他院で処方された薬や市販薬、サプリメントも含めて申告してください。
喫煙・肥満・睡眠不足などの生活習慣
喫煙、肥満、運動不足はいずれもEDの原因として挙げられています。睡眠不足や強いストレスが続いている時期は、体調全体が影響を受けやすくなります。
生活習慣を整えれば薬が効くようになる、という単純な関係ではありませんが、条件を悪くしている要素を減らす意味はあります。禁煙や体重管理は、EDに限らず血管や全身の状態に関わる取り組みです。
ED治療薬が効かないのは偽造品・個人輸入品による影響も
インターネットで購入した薬を使っている場合、そもそも有効成分が入っていない可能性も考えなければなりません。効かない理由が薬の中身にあることもあります。
日本泌尿器科学会の解説では、インターネットなどで販売されている薬は偽物が多く、有害な物質が含まれている可能性があるので、決して手を出さないようにと明記されています。表示と成分量が異なる、別の成分が含まれるといった事態も想定されます。
さらに、個人輸入した医薬品で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。効果を確かめる以前の問題として、医療機関で処方を受けたうえで判断することをおすすめします。
ED治療薬が効かないからと自己判断で増量してはいけない理由
効かないと感じると量を増やしたくなりますが、これは避けてください。用量は効果と安全性の両面から定められています。
基本の用法は1日1回、投与間隔24時間以上ですが、タダラフィルには腎機能や併用薬によって48時間以上の間隔が必要になる条件もあります。実際の用量と間隔は処方時の指示に従ってください。 効かないからといって追加服用したり、自分で量を増やしたりしないでください。
量を増やせば、ほてりや頭痛、めまいといった副作用が起こる可能性も高まります。また、高齢者や肝機能・腎機能に問題がある場合は、電子添文で開始用量や最高用量に制限が設けられています。増量が適切かどうかは医師が判断するため、自分で調整せず相談してください。
ED治療薬が効かないときに医師へ伝えたいこと
次の受診で状況が正確に伝わると、原因の切り分けが進みます。試した回数や条件をメモしておくと役立ちます。
- 服用したタイミング(性行為のどのくらい前に飲んだか)
- 服用前後の食事の内容と時間
- 飲酒の有無と量
- 服用中の薬とサプリメント
- 試した回数と、そのときの状況
- ほてりや頭痛など、体に出た変化
- 持病や健康診断で指摘された項目
「効かなかった」という一言だけでは、原因の見当をつけにくくなります。条件を具体的に伝えることで、飲み方の調整、用量の見直し、検査の追加など、次の一手が決めやすくなります。
ED治療薬に関するよくある質問
効果を感じられないときによく寄せられる質問をまとめました。個別の判断は診察が前提です。
Q.何回試しても効かない場合はどうすればよいですか?
A.回数を重ねる前に、処方を受けた医療機関へ相談してください。飲むタイミングや食事の条件を変えても変化がない場合、用量や薬剤の見直し、あるいは基礎疾患の検査が必要になることがあります。自分で量を増やしたり、別の薬を追加したりすることは避けてください。
Q.薬を変えれば効くようになりますか?
A.変更で状況が変わることもありますが、必ずそうなるとは限りません。原因が薬の選択ではなく、服用方法や基礎疾患、心理的要因にある場合、薬を替えても結果が変わらないことがあります。何を試して何が変わらなかったかを医師へ伝え、順番に確認していくことをおすすめします。
まとめ
ED治療薬が効かないと感じたときは、薬が合わないと決めつける前に、服用方法から順に確認していくことが役立ちます。飲むタイミング、食事との関係、性的刺激の有無は、電子添文の記載からも影響が確認できる要素です。
見落とされやすいのは、薬以外の要因です。糖尿病や心血管疾患などの基礎疾患、服用中の薬、喫煙や睡眠不足といった生活習慣が背景にあることがあります。効果が乏しいという経験は、全身の状態を確認する機会にもなります。
量を自分で増やすことは避けてください。基本の用法は1日1回、24時間以上の間隔ですが、薬剤や腎機能、併用薬によってはさらに間隔をあける必要があります。処方時の用量と間隔を守ってください。試した条件を具体的に記録し、処方を受けた医療機関で相談してください。
参考・出典
PMDA バイアグラ錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2590018F1020_1_05
PMDA シアリス錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530263_2590016F5026_1_05
PMDA バルデナフィル錠10mg・20mg「トーワ」 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480235_259000BF2041_1_06
日本泌尿器科学会 勃起障害(ED) https://www.urol.or.jp/public/symptom/15.html