ED治療は何科を受診する?泌尿器科と専門クリニックの違い・費用を解説
ED(勃起不全)で受診しようと考えたとき、まず迷うのが診療科です。結論から言えば、基本の受診先は泌尿器科です。
ただし、持病の有無や心理的な要因の有無によっては、ほかの選択肢が適している場合もあります。
この記事では、泌尿器科が基本とされる理由、ほかに相談できる診療科との違い、初診の流れ、費用と保険適用の考え方まで順に説明します。
この記事の要約
- 日本泌尿器科学会は、EDを自覚したら早めに泌尿器科を受診するよう勧めています。
- メンズヘルス外来や内科、心療内科なども状況によっては相談先の候補になります。
- 初診では問診に加え、既往歴や服用中の薬の確認、血液検査などが行われることがあります。
- EDの薬物治療は原則自由診療ですが、不妊治療の一部として保険適用となる場合があります。
- 個人輸入の医薬品は偽造品のリスクがあり、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
ED治療は泌尿器科が基本の受診先
どの診療科に行けばよいか迷ったときは、泌尿器科を第一の候補と考えて差し支えありません。日本泌尿器科学会の一般向け解説でも、EDを自覚したら早めに泌尿器科を受診するよう勧められています。
泌尿器科が基本とされる理由は、EDが陰茎そのものの問題にとどまらず、全身の状態と関わるためです。同学会の解説では、EDの原因として糖尿病、心血管疾患と高血圧、慢性腎臓病、神経疾患、テストステロンの低下、睡眠時無呼吸症候群、服用中の薬剤の副作用などが挙げられています。症状の背景を確認しながら治療を組み立てられる点が、泌尿器科の役割です。
泌尿器科で対応できること
泌尿器科では、症状の確認と原因の見立て、必要に応じた検査、治療方針の相談までを一連で行えます。EDの症状だけを切り取るのではなく、背景に別の病気が隠れていないかを確認できるのが特徴です。
バイアグラ錠の電子添文にも、投与に際しては勃起不全およびその基礎疾患の診断のため、既往歴の調査や諸検査を行い、客観的な診断に基づき臨床上治療が必要とされる患者に限定することと記載されています。薬を受け取るだけの場ではなく、診断を受ける場であるという前提を持っておくと、受診の目的がはっきりします。
泌尿器科以外で相談できる診療科はある?
泌尿器科以外にも相談できる窓口はあります。それぞれ得意とする範囲が異なるだけで、どこが優れているという話ではありません。
| 診療科・窓口 | 主に対応する内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 泌尿器科 | EDの診断、原因の確認、治療方針の相談 | 原因から確認したい、症状が続いている |
| メンズヘルス外来・ED専門クリニック | EDを含む男性の健康相談。診療範囲は施設による | EDの相談に絞って受診したい |
| 内科・かかりつけ医 | 持病や服用中の薬の管理 | 糖尿病や高血圧などで通院している |
| 心療内科・精神科 | 不安や抑うつなど心理面の相談 | 精神面の不調や服薬の影響が思い当たる |
どの窓口でも、EDの診療を行っているかどうかは医療機関によって異なります。受診前に診療内容を確認しておくと確実です。
メンズヘルス外来・ED専門クリニック
EDを専門に扱うクリニックのほか、メンズヘルス外来では男性更年期など、男性の健康上の悩みを幅広く診る場合があります。診療範囲、検査体制、オンライン診療の有無、受診環境は施設ごとに異なるため、受診前に確認してください。
一方で、検査体制や連携先は医療機関ごとに幅があります。持病がある場合や、服用中の薬が多い場合は、検査や他科との連携がどこまで可能かを確認しておくと安心です。
内科・かかりつけ医
糖尿病や高血圧などで定期的に通院している場合、まずかかりつけ医に相談する方法もあります。現在の服薬内容や検査結果を把握している医師であれば、薬の影響を含めて検討しやすくなります。
ただし、内科でED治療薬の処方まで行っているとは限りません。相談したうえで、泌尿器科を紹介してもらう流れになることもあります。持病の治療を続けながら相談したい場合には、有力な入口です。
心療内科・精神科
不安や抑うつが強い場合、あるいは服用中の精神科の薬が関わっている可能性がある場合は、心療内科や精神科での相談が選択肢になります。処方の調整が必要かどうかは、処方している医師の判断になります。
注意したいのは、心理的な要因が思い当たるからといって、身体的な原因がないとは限らない点です。両方が重なっていることも多いため、身体面の確認も並行して受けておくことをおすすめします。
状況別に見たED治療の受診先の選び方
自分がどの状況に近いかで、入口を選びやすくなります。ここで示すのは目安であり、最終的な判断は診察で行われます。
| いまの状況 | まず相談しやすい窓口 |
|---|---|
| 持病はなく、EDの相談に絞りたい | 泌尿器科、またはED診療を行うクリニック |
| 糖尿病や高血圧で通院している | かかりつけ医に相談し、必要に応じて泌尿器科へ |
| 服用中の薬が増えた時期と重なる | 処方している医師に相談する |
| 健康診断で数値の異常を指摘された | 泌尿器科で相談しつつ、指摘項目の受診も行う |
| 強い不安や気分の落ち込みがある | 心療内科・精神科と泌尿器科の両方を検討する |
複数に当てはまる場合もあります。その場合は、どれか一つに絞る必要はありません。受診の際に、当てはまる状況をそのまま医師へ伝えてください。
ED治療の初診で行われること
受診をためらう理由の一つに、何をされるのか分からないという不安があります。実際の流れを知っておくと、心構えがしやすくなります。
問診で聞かれる内容
問診票や医師との会話で、症状の程度や始まった時期、持病、服用中の薬などが確認されます。国際的に用いられている質問票が使われることもあります。
答えにくい内容が含まれることもありますが、原因の見立てや薬を使えるかどうかの判断に直結します。とくに服用中の薬は、併用してはいけない薬を避けるうえで欠かせない情報です。
確認されることがある検査
血液検査で血糖や脂質、ホルモンなどを調べたり、血圧や身体の状態を確認したりすることがあります。心血管系の状態に問題がないかを確かめる目的も含まれます。
どこまで検査を行うかは、症状、年齢、持病の有無、医療機関の体制によって異なります。すべての医療機関で同じ検査が実施されるわけではないため、原因から詳しく調べたい場合は、受診前に検査体制を確認しておくとよいでしょう。
ED治療の費用と保険適用の考え方
EDに対する薬物治療は、原則として公的医療保険の対象外である自由診療にあたります。ただし、条件を満たす場合には保険が適用される仕組みがあります。
厚生労働省の通知「不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて」(保医発0325第7号、令和4年3月25日)では、バイアグラ錠およびシアリス錠について、保険適用の対象となるのは勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法において用いる場合であるとされています。
保険算定には、ガイドラインに沿ってEDと診断されていること、患者本人またはパートナーのいずれかが投与前6か月以内に所定の不妊治療の医学的管理を受けていることなど、通知のすべての要件を満たす必要があります。1回の診療で処方できる量は、タイミング法の1周期分に限り4錠以下です。適用の可否は受診先に確認してください。
つまり、EDの症状があれば誰でも保険が使えるわけではありません。自由診療となる場合の費用は医療機関ごとに異なり、診察料や薬剤料の設定にも幅があります。受診前に総額の考え方を確認しておくと、想定外の負担を避けられます。
ED治療の受診前に準備しておきたいこと
限られた診察時間でも要点が伝わるよう、次の情報を整理しておくと相談がスムーズになります。
- 服用中の薬とサプリメント(お薬手帳があれば持参する)
- これまでにかかった病気や手術の経歴
- 症状が始まった時期と、その前後の生活の変化
- 健康診断の結果(血糖、血圧、脂質など)
- アレルギーや、過去に薬で不調が出た経験
- 医師に確認したいこと
とくに服用中の薬は重要です。バイアグラ錠やシアリス錠の電子添文では、硝酸剤や一酸化窒素供与剤を投与中の患者は禁忌とされています。伝え漏れがないよう、書き出して持参することをおすすめします。
ED治療はオンライン診療でも受けられる?
通院の負担を減らせる方法として、オンライン診療を選べる医療機関があります。ただし、対応の有無や条件は医療機関によって異なります。
オンライン診療でも、医師の診察を受けたうえで処方されるという点は変わりません。一方で、血液検査や身体の確認はその場で行えないため、持病がある場合や原因から詳しく調べたい場合は、対面での受診が適していることもあります。
初診から対応しているか、必要に応じて対面診療へ切り替えられるか、薬がどのように届くかは、事前に確認しておきたい項目です。利便性だけで選ばず、自分の状態に合っているかで判断してください。
ED治療薬の個人輸入は危険?受診のほうが良い?
インターネットで海外の薬を購入する方法もありますが、これは医療機関での処方とはまったく別のものとして考える必要があります。
日本泌尿器科学会の解説では、インターネットなどで販売されている薬は偽物が多く、有害な物質が含まれている可能性があるので、決して手を出さないようにと明記されています。成分量が表示どおりとは限らず、含まれている成分自体が異なる場合もあります。
加えて、個人輸入した医薬品で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。ED治療薬には併用してはいけない薬があり、心血管系の状態によっては使用できない場合もあります。診察を受けたうえで処方を受けることには、こうした確認を挟めるという意味があります。
ED治療に関するよくある質問
受診先や費用について寄せられることの多い質問をまとめました。個別の取り扱いは医療機関へご確認ください。
Q.ED治療に保険は使えますか?
A.原則は自由診療ですが、条件を満たす場合には保険が適用されます。厚生労働省の通知では、勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法で用いる場合が対象とされ、診断や管理料の要件、投与量の上限が定められています。自分が対象になるかどうかは、受診先で確認してください。
Q.診療内容が家族に知られることはありますか?
A.知られないと保証することはできません。自由診療か保険診療かによって、明細書や医療費通知の扱いが変わる場合があります。書類の送付方法や封筒の記載、支払い方法への配慮は医療機関ごとに対応が異なるため、気になる点は受診前に問い合わせて確認しておくのが確実です。
まとめ
ED治療で迷ったときの基本の受診先は泌尿器科です。日本泌尿器科学会も早めの受診を勧めており、EDの背景にある病気まで含めて確認できる点が理由になります。持病がある場合はかかりつけ医、心理面の不調が強い場合は心療内科や精神科も入口になります。
見落とされやすいのは費用の扱いです。EDの薬物治療は原則自由診療で、保険が使えるのは不妊治療のタイミング法で用いる場合など、条件を満たすときに限られます。診察料や薬剤料の設定も医療機関ごとに異なります。
また、個人輸入の医薬品には偽造品のリスクがあり、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。服用中の薬や持病を伝えたうえで、医師に相談してください。
参考・出典
日本泌尿器科学会 勃起障害(ED) https://www.urol.or.jp/public/symptom/15.html
厚生労働省 不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて(保医発0325第7号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6607&dataType=1&pageNo=1
PMDA バイアグラ錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2590018F1020_1_05