フラクショナルレーザーはニキビ跡に効果ある?回数・ダウンタイム・費用
ニキビ跡の治療としてフラクショナルレーザーを検討するとき、まず知りたいのは「何がどこまで変わるのか」ではないでしょうか。
この記事では、点状に熱を加えるという仕組みから、反応しやすい跡と反応しにくい跡、必要な回数と間隔の考え方、副作用とダウンタイム、費用までを整理します。
変化の可能性と同時に、その限界も合わせて確認できる内容にしています。
この記事の要約
- フラクショナルレーザーは肌全体ではなく点状に熱を加え、周囲に照射しない部分を残す方式の施術です。
- 国内ガイドラインは痤瘡瘢痕へのレーザー治療を推奨度C2とし、保険適用がないことにも触れています。
- メタアナリシスでは、CO2レーザーと非CO2レーザーとの間に有意差は認められなかったと報告されています。
- 赤み、かさぶた、炎症後色素沈着などが起こることがあり、経過の日数は機器と出力で変わります。
- 自由診療のため、範囲や回数、麻酔やアフターケアを含めた総額で費用を考える必要があります。
フラクショナルレーザーでニキビ跡はどこまで変わるか
先に結論を整理します。フラクショナルレーザーは、皮膚がへこんだニキビ跡に対して行われることのある施術ですが、跡が消えてなくなる治療ではありません。目安として考えたいのは、へこみの見え方が和らぐかどうかという範囲です。
フラクショナルCO2レーザーを対象としたメタアナリシス(Dermatol Ther 2021)では、8件の研究を解析した結果、CO2レーザーと非CO2レーザーとの間に、医師による評価、患者による評価、炎症後色素沈着の発生のいずれでも有意差は認められなかったと報告されています。機器の種類だけで結果が決まるわけではない、ということです。
さらに、日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023は、痤瘡瘢痕へのレーザー治療を推奨度C2とし、設備の問題、国内での検討が十分でないこと、保険適用がないことを理由に挙げています。
これらを踏まえたうえで、どこまでを目標にするのかを診察で共有しておくことが大切です。
フラクショナルレーザーの仕組み
名前にあるフラクショナルは、分割するという意味です。皮膚の全面に一様に照射するのではなく、点状に区切って照射する方式を指します。この考え方が、回復までの期間に関わります。
点状に熱を加える方式の考え方
照射した点の周囲に、照射していない部分を意図的に残します。残された部分が回復の足がかりとなるため、皮膚全体を一度に処理する方法と比べて、日常生活へ戻るまでの期間を短くしやすいとされています。
ただし、これは負担が小さいという意味ではありません。点状とはいえ熱が加わるため、施術後には赤み、ほてり、かさぶたなどが生じます。照射の密度を上げれば変化も負担も大きくなり、回復に必要な期間も長くなります。
レーザーの種類と波長による違い
フラクショナルレーザーは一つの機器の名前ではなく、方式の総称です。CO2レーザー、エルビウム系のレーザー、ピコ秒レーザーなど、波長の異なる機器があり、作用する深さや肌の反応が変わります。
大きくは、皮膚の表面を削る作用を伴うタイプと、表面を保ったまま熱を加えるタイプに分けられます。前者の方が変化は大きくなりやすい一方、回復までの期間も長くなる傾向があります。ガイドラインが引用した左右比較試験でも、表面を削るタイプの方が改善率が大きい傾向があったと記されています。
国内での機器の承認状況は製品ごとに異なります。機器名を確認せずに一律の効果や経過を当てはめることはできないため、どの機器をどのような設定で使うのかを診察で確認してください。
フラクショナルレーザーの効果が期待しやすい跡・期待しにくい跡
ニキビ跡とひとまとめに呼ばれる状態には、複数の種類があります。ガイドラインは、痤瘡の瘢痕を陥凹、隆起、色素沈着に分けて整理しています。このうち、フラクショナルレーザーが主に対象とするのは陥凹した跡です。
| 跡の状態 | この施術との関係 |
|---|---|
| 陥凹(萎縮性瘢痕) | 主な対象となるが、形や深さによって反応の出方が変わる |
| 隆起(肥厚性瘢痕・ケロイド) | 治療方針が異なり、体質によっては受けられないことがある |
| 色素沈着 | 別のアプローチが検討され、施術後に新たに生じることもある |
| 炎症のあるニキビ | 先に炎症を抑える治療が優先されることが多い |
実際には複数の状態が重なっていることが多く、どれか一つに当てはめて考えられるとは限りません。
陥凹した跡は、深く狭いもの、縁のはっきりした角ばったもの、浅く広くうねるものなど、形によって呼び分けられることがあります。ただし国内のガイドラインは、形状ごとにどの治療を選ぶべきかという推奨を示していません。形の名前で治療を決めるのではなく、実際の状態を診てもらうことが前提です。
フラクショナルレーザーの必要な回数と間隔の目安
必要な回数を一律に示すことはできません。回数を左右するのは、主に跡の種類、深さ、そして機器と出力の設定です。それぞれがどう関わるのかを順に整理します。
跡の種類
同じ陥凹でも、浅く広がっているものと、点状に深く落ち込んでいるものとでは、反応の出方が異なります。また、赤みや色素沈着が混在している場合は、そちらへの対応が並行して必要になることもあります。
顔全体で見たときに、どの種類がどの程度の割合を占めているかによって、計画も変わります。一部だけを見て回数を決めることはできません。
深さ
浅い跡ほど変化が現れやすく、深い跡ほど回数を要しやすい傾向があります。深い跡では、レーザー単独ではなく、別の方法を組み合わせて対応が検討されることもあります。
深さは見た目だけでは判断しにくく、光の当たり方によって印象が変わります。鏡で見た印象と、診察で確認される状態が一致しないこともあります。
機器と出力設定
同じ機器でも、照射の密度や出力を変えれば、1回あたりに加わる負担と回復までの期間が変わります。強い設定で回数を減らすのか、負担を抑えて回数を重ねるのかは、肌の状態と生活の都合を踏まえて決められます。
施術の間隔は、皮膚の回復を待つために空けられます。前述のとおり、機器の種類による差については有意差が認められなかったという報告もあり、機器名だけで回数の目安を決めることはできません。回数を約束する説明を受けた場合は、その根拠を確認してください。
フラクショナルレーザーの副作用・リスクとダウンタイム
皮膚に意図的に熱を加える施術であるため、施術後には反応が生じます。次のような症状が起こることがあります。
- 赤み、ほてり
- 腫れ
- ヒリつき、乾燥
- かさぶた、皮むけ
- 炎症後色素沈着
- 細菌感染や、口唇ヘルペスの再燃
- 瘢痕化
赤みやかさぶたが落ち着くまでの日数は、機器の種類と出力の設定、照射した範囲、肌の状態によって変わります。表面を削るタイプではより長くなる傾向があります。
一般的に紹介されている日数をそのまま自分に当てはめず、受ける施術ごとに確認してください。
症状が想定より長引く場合や、痛みが強くなる場合、膿が出る場合は、自己判断で様子を見ずに施術を受けた医療機関へ連絡してください。
受けられない可能性があるケース
次のような場合には、施術を延期したり別の方法を検討したりすることがあります。当てはまるかどうかの最終的な判断は診察で行われます。
- 活動性の強い炎症性ニキビがある
- 施術部位に感染症や皮膚炎がある
- 日焼けの直後である、または強く日焼けする予定がある
- ケロイドを生じやすい体質である
- 妊娠中、授乳中である
- 光線過敏がある、または光線過敏を起こし得る薬を使用している
- イソトレチノインなど、皮膚の状態に影響し得る薬の内服歴が近い
ここに挙げた項目に該当しない場合でも、受診したその日の肌の状態次第で、出力を下げたり日程を改めたりすることがあります。過去の施術で強い反応が出た経験がある場合は、必ず伝えてください。
施術前後の注意点
前後の過ごし方は、経過に関わります。医療機関から個別の指示がある場合は、そちらが優先されます。
- 施術の前後は日焼けを避け、日焼け止めを使う
- 洗顔はこすらず、保湿を続ける
- メイクや洗顔の再開時期は、施術ごとの指示に従う
- 自己判断でピーリングや刺激の強い外用薬を併用しない
- かさぶたを無理にはがさない
施術後の紫外線対策は、炎症後色素沈着を避けるうえで特に重要です。屋外で過ごす予定が続く時期は、施術のタイミング自体を相談してください。
フラクショナルレーザーの費用目安と総額
ニキビ跡に対するフラクショナルレーザーは自由診療で、費用は全額自己負担です。ガイドラインでも、痤瘡瘢痕へのレーザー治療について保険適用がないことが明記されています。
総額は、照射する範囲、回数、麻酔を使うかどうか、施術後の外用薬やアフターケアが含まれるかどうかで変わります。同じ施術名でも、機器も設定も医療機関ごとに異なるため、金額だけを並べて比べても実際の負担は分かりません。
確認しておきたいのは、1回の料金に何が含まれるか、想定される回数と間隔、追加照射やアフターケアの費用、途中で方針を変えた場合やコースを続けられなくなった場合の扱いです。契約をその場で決めず、持ち帰って検討できるかどうかも判断の材料になります。
フラクショナルレーザーと他の治療との違い
ニキビ跡に対しては、レーザー以外の方法も検討されます。どれが優れているという関係ではなく、跡の状態と生活の都合で選ばれるものです。
| 治療 | 肌への働きかけ方 |
|---|---|
| フラクショナルレーザー | 点状に熱を加える |
| マイクロニードリング | 極細の針で微細な穴を開ける |
| ケミカルピーリング | 薬剤で皮膚の表面に作用させる |
| 外用薬 | 炎症や面皰を抑え、新しい跡を増やさない |
ダーマペン(マイクロニードリング)との違い
最も大きな違いは、熱を使うかどうかです。マイクロニードリングは極細の針で物理的に穴を開ける方法で、熱は加えません。詳しい比較は「ダーマペン フラクショナル 違い」の記事で整理しています。
マイクロニードリング単独療法を対象としたシステマティックレビュー・メタアナリシス(Aesthetic Plast Surg 2022)では12件・414人が解析され、陥凹性ニキビ跡を対象としたネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res 2024)では24件・1,546人の解析から、単独よりも他の治療と組み合わせた方が良好だったと報告されています。
ただし、これらの研究と本記事のレーザーの報告は、対象も評価方法も異なるため、数値を並べて優劣を判断することはできません。
ケミカルピーリング・外用薬との違い
ケミカルピーリングは薬剤を用いて皮膚の表面に作用させる施術です。ガイドラインは、萎縮性瘢痕へのケミカルピーリングを推奨度C2とし、保険適用外であることに配慮する必要があるとしています。
外用薬は、跡そのものを平らにするためというより、新しい炎症性のニキビを抑えて跡を増やさないために使われます。跡の施術と、ニキビ自体の治療は目的が異なる別の治療です。どちらか一方ではなく、今の症状に対して何が必要かを診察で確認してください。
フラクショナルレーザーに関するよくある質問
本文で扱いきれなかった疑問をまとめます。個別の判断は診察で行われます。
ニキビ跡の治療には何回くらい必要ですか?
一律の回数は示せません。跡の種類と深さ、範囲、機器と出力の設定によって変わるためです。
国内のガイドラインも、レーザー治療について推奨度C2とし、国内での検討が十分でないとしています。回数を確約する説明を受けた場合は、その根拠を確認してください。
診察では、まず何回か受けたうえで経過を見直す、という形で計画が立てられることもあります。
活動性のニキビがあっても受けられますか?
炎症が強い状態では、延期を判断されることが一般的です。炎症が残ったまま照射すると、症状が悪化したり、施術後の反応が強く出たりするおそれがあります。
跡の治療を急ぐより、先に炎症を抑える治療を進めた方が、結果的に計画を立てやすくなります。まずは今の状態がどの段階にあるかを診察で確認してください。
まとめ
フラクショナルレーザーは、点状に熱を加えて陥凹したニキビ跡に働きかける施術です。ただし跡が消える治療ではなく、国内のガイドラインは痤瘡瘢痕へのレーザー治療を推奨度C2とし、現時点で萎縮性瘢痕に推奨できる治療法はないとしています。
見落としやすいのは、機器の種類だけで結果が決まるわけではない点です。メタアナリシスでは、CO2レーザーと非CO2レーザーとの間に有意差は認められなかったと報告されています。
回数を左右するのは跡の種類、深さ、出力の設定であり、赤みやかさぶた、炎症後色素沈着といった反応も設定によって変わります。自由診療のため総額の確認も必要です。
まずは跡の種類と、どこまでの変化を目標にするのかを診察で共有したうえで検討してください。
参考・出典
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf
フラクショナルCO2レーザーのメタアナリシス(Dermatol Ther 2021) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/
マイクロニードリング単独療法のシステマティックレビュー・メタアナリシス(Aesthetic Plast Surg 2022) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35426044/
陥凹性ニキビ跡治療のネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res 2024) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39110247/