ミノキシジルの効果とは?外用薬と内服薬の違いと実感までの期間を解説
ミノキシジルは、AGA(男性型脱毛症)の対策として名前を見かけることの多い成分です。
ただし、外用薬と内服薬では国内での扱いが大きく異なり、同じ成分でも前提が変わります。
この記事では、ミノキシジルに何が見込めるのか、効果を判定するまでにどのくらいかかるのか、外用薬と内服薬をどう分けて考えればよいのかを整理します。
この記事の要約
- ミノキシジルは発毛を促す方向に働く薬で、DHTの産生を抑える内服薬とは目的が異なります。
- 外用薬は日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aとされ、国内でも市販されている製剤があります。
- 内服のミノキシジルは同ガイドラインで推奨度Dとされ、国内では医薬品として承認されていません。
- 効果の判定には継続が必要で、臨床試験では6か月や48週といった期間で評価されています。
- 使い始めに抜け毛が増えたように感じることがあり、不安なときは自己判断で中止せず相談します。
ミノキシジルに期待できる効果
ミノキシジルは、髪が伸びる方向に働きかける薬として位置づけられています。AGAの治療で使われるフィナステリドやデュタステリドとは、目的とする働きが異なります。
フィナステリドやデュタステリドは、AGAの進行に関わるジヒドロテストステロン(DHT)がつくられるのを抑える薬です。これに対してミノキシジルは、DHTの産生には関与せず、毛が育つ側に働きかけます。役割が違うため、どちらが上ということではなく、目的に応じて選ばれます。
ここで最初に押さえておきたいのが、外用薬と内服薬では国内での扱いがまったく異なるという点です。外用薬は市販されている製剤があり、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも推奨度Aとされています。一方、内服のミノキシジルは同じガイドラインで推奨度Dとされ、行うべきではないと記載されています。同じ成分名でも、この2つを同じものとして読み進めないよう注意してください。
また、効果の現れ方には個人差があります。試験で有効性が示されていることと、自分に同じ変化が起きることは同じではありません。
ミノキシジルの効果が現れる仕組み
髪には、伸びる時期(成長期)と、伸びずに抜け落ちる準備に入る時期があり、これを繰り返しています。AGAでは、この成長期が短くなることで毛が細く短くなっていきます。
ミノキシジルは、もともと血圧を下げる薬として開発された成分です。日本皮膚科学会のガイドラインにも、降圧剤として開発されたが日本では認可されていないと記載されています。その過程で毛が濃くなる現象が知られるようになり、外用薬として脱毛症に用いられるようになりました。
血管を広げる働きや毛包への作用として説明されることが多い一方で、外用薬が髪を伸ばす詳しい仕組みは完全に解明されているわけではありません。特定の成長因子の名前を挙げて断定的に説明している情報も見られますが、根拠をたどれないものは判断材料にしないほうがよいでしょう。
仕組みが完全に分かっていないことと、効果が確かめられていないことは別の話です。ミノキシジル外用については、プラセボと比較した臨床試験が複数行われ、その結果をもとにガイドラインの推奨度が決められています。仕組みの説明の分かりやすさではなく、どのような試験でどう評価されているかを見るほうが、判断材料としては確かです。
なお、AGAの進行そのものは男性ホルモンの影響を受けて起こります。ミノキシジルはその流れを止める薬ではないため、進行を抑える目的の薬と役割が重なるわけではありません。この点は、治療の組み立てを理解するうえで重要になります。
ミノキシジルの外用薬と内服薬の効果の違い
この記事で最も取り違えが起きやすいのが、外用薬と内服薬の違いです。承認されているかどうか、ガイドラインでどう評価されているかが大きく異なります。
| 項目 | 外用薬 | 内服薬 |
|---|---|---|
| 国内での扱い | 市販されている製剤がある | 医薬品として承認されていない |
| ガイドラインの推奨度 | A(行うよう強く勧める) | D(行うべきではない) |
| 主な注意点 | 塗った部位の皮膚症状など | 心血管系に関わる症状の記載がある |
推奨度は日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」によります。
外用薬の位置づけ
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジル外用について推奨度Aとされ、男性型脱毛症には5%、女性型脱毛症には1%のミノキシジルを用いるよう強く勧める、と記載されています。同ガイドラインの中では、男性型脱毛症の治療薬として市販されている5%ミノキシジルローションにも言及されています。
引用されている臨床試験では、プラセボと比べて脱毛部の硬毛数が有意に増えたことなどが報告されています。ただし、これは集団としての平均的な結果であり、使えば誰でも同じ変化が起きるという意味ではありません。
濃度や1回に使う量、1日の使用回数は製品ごとに定められています。多く塗れば効きが強くなるというものではないため、購入した製品の添付文書に従い、分からない点は薬剤師に相談してください。
また、同ガイドラインには、外用薬の有害事象として、男女を通して瘙痒(かゆみ)、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などが報告されていると記載されています。塗った部位に症状が出た場合は、量を増やしたり我慢して使い続けたりせず、使用を中断して相談してください。
内服薬の位置づけと承認状況
内服のミノキシジルについて、日本皮膚科学会のガイドラインは推奨度Dとし、行うべきではないと明記しています。理由として、ミノキシジル内服の有用性に関する臨床試験が実施されていないこと、日本では降圧剤としても認可されていないこと、男性型脱毛症の治療薬として認可されている国はないことが挙げられています。
そのため、内服のミノキシジルが用いられる場合は、国内で承認されていない医薬品の使用にあたります。次の点を理解したうえで判断する必要があります。
- 自由診療であり、公的医療保険は使えない
- 国内で承認されていない医薬品の使用にあたる
- 健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性がある
- 内服用製剤の資料には、胸痛や動悸、むくみなど心血管系に関わる症状の記載がある
同ガイドラインには、多毛症以外の副作用の報告は少ないものの、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載があること、利益と危険性が十分に検証されていないことが示されています。
外用薬について示されている有効性や安全性の情報を、そのまま内服薬に当てはめることはできません。説明を受ける際は、外用と内服のどちらの話をしているのかを必ず確認してください。
ミノキシジルの効果を実感するまでの期間と判定
使い始めてすぐに変化が分かる薬ではありません。効果を判定するには、決められた使い方で一定期間続けたうえで見比べる必要があります。
日本皮膚科学会のガイドラインが引用しているミノキシジル外用の臨床試験は、6か月や48週といった期間で評価されています。インターネット上では「3か月から6か月」といった目安がよく紹介されていますが、出典をたどれないものも多いため、幅のある目安として受け取るのが現実的です。
判定しやすくするには、開始前の状態を写真で残しておくことが役立ちます。生え際、頭頂部、全体の3か所を決め、同じ場所と同じ明るさで撮っておくと、後から比べやすくなります。毎日鏡で見ていると、少しずつの変化には気づきにくいためです。
途中で使う量や回数を変えると、判定の条件が崩れます。決められた使い方を守ることが、続けるかどうかを判断する前提になります。
ミノキシジルの使い始めに起こることがある初期脱毛
使い始めの時期に、抜け毛が一時的に増えたように感じることがあります。初期脱毛と呼ばれることがある現象です。
全員に起こるものではなく、起こった場合に必ず治まると決まっているわけでもありません。また、「初期脱毛は効いている証拠」と説明されることがありますが、そう言い切れる根拠は確認できていません。安心材料としても、不安材料としても、断定的に受け取らないほうがよいでしょう。
抜け毛が増えたと感じたときに気をつけたいのは、驚いて自己判断で中止してしまうことです。中止すれば、その後の経過を確かめることができなくなります。量が多い、長く続く、頭皮に痛みやかゆみを伴うといった場合は、我慢せず医療機関に相談してください。
ミノキシジルの効果を実感しにくい場合に考えられること
思ったような変化がないと感じるとき、理由は一つとは限りません。次のような可能性が考えられます。
- 判定に必要な期間がまだ経っていない
- 使う量や回数、塗る範囲が製品の指示と合っていない
- そもそもAGA以外の脱毛症である
- 進行の程度が大きく、外用薬だけでは変化が分かりにくい
- 頭皮の炎症などで使用を続けられていない
特に見落とされやすいのが、AGA以外の脱毛症である可能性です。円形脱毛症、頭皮の炎症による脱毛、薬剤や病気に伴う脱毛など、原因が異なれば対応も変わります。見た目だけで自分で判断することはできず、鑑別は医師が行います。
市販の製品だけで長く様子を見続けるより、一度診察を受けて現在の状態を確認してもらうほうが、その後の選択肢を整理しやすくなります。原因がはっきりすれば、続ける・変える・組み合わせるといった判断がしやすくなります。
相談する際は、いつから使い始めたか、1日に何回どのくらい使っているか、途中で中断した時期があるか、頭皮に症状が出たことがあるかを整理して伝えると、状況を共有しやすくなります。使っていた製品のパッケージを持参する方法もあります。
ミノキシジルの使用をやめた場合の考え方
使用をやめた後にどうなるかは、多くの方が気にする点です。ここは断定を避けて考える必要があります。
「やめると元に戻る」と書かれた記事は多く見られますが、どのくらいの期間で、どの程度戻るのかを示す確かな根拠は確認できていません。確かなのは、AGAの薬物療法が継続を前提とする治療であるという点です。日本皮膚科学会のガイドラインには、フィナステリドについて内服を中止すると効果は消失すると記載されています。
費用や手間、副作用への不安などで続けにくいと感じたときは、黙って中止するのではなく、状況を医師に伝えてください。使う範囲を絞る、他の選択肢と比べるなど、相談したうえで決められることがあります。
ミノキシジルを使用できない・慎重な判断が必要なケース
ミノキシジル外用薬は、誰でも使える製品ではありません。製品ごとの添付文書に、使用してはいけない人と、使用前に相談が必要な人が定められています。
- 対象となる年齢や性別に当てはまらない場合
- 心臓や血圧に関わる病気で治療を受けている場合
- 脱毛の原因がはっきりしない場合や、急に広い範囲で抜けた場合
- 頭皮に傷、湿疹、強い炎症がある場合
- 妊娠している、妊娠している可能性がある、授乳中である場合
- 他に使用中の薬や外用薬がある場合
これらに当てはまるからといって一律に使えないわけではなく、当てはまらないから問題ないと自分で確定できるものでもありません。市販薬を選ぶ場合は薬剤師に、処方を受ける場合は医師に、持病と服用中の薬を伝えたうえで確認してください。
なお、外用薬は塗って使うものであり、飲むものではありません。剤形と使い方を自分で変えることは絶対に避けてください。
ミノキシジル以外のAGA治療薬との違い
AGAの治療薬は、目的によって大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。
1つは、フィナステリドやデュタステリドのように、AGAの進行に関わるDHTの産生を抑える内服薬です。国内ではいずれも男性の男性型脱毛症を対象として承認されており、女性や20歳未満は対象に含まれません。もう1つが、毛が育つ側に働きかけるミノキシジル外用薬です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、内服の2剤とミノキシジル外用がいずれも推奨度Aとされています。
働き方が異なるため、組み合わせて用いられることがあります。ただし、併用してよいかどうかは体質や持病、他の服薬状況によって変わるため、自己判断で組み合わせず、診察で決めてください。
ミノキシジルの費用と入手方法の注意
AGAの治療で医療機関から処方を受ける場合、自由診療にあたり公的医療保険は使えません。料金は医療機関ごとに設定されています。
市販の外用薬を購入する場合も、続けることを前提にすると、1本あたりの価格より1か月あたりの負担で考えるほうが現実的です。診察を受けて処方される場合は、薬剤費に加えて診察料がかかることもあるため、総額として何が含まれるかを確認しておきましょう。
価格の安さを理由に、個人輸入や海外通販で入手することは勧められません。厚生労働省は、個人輸入された医薬品について、品質・有効性・安全性が国内の法令に基づいて確認されていないこと、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象にならないことを示しています。特に内服のミノキシジルは国内で承認されていないため、この点はより重く受け止める必要があります。
ミノキシジルに関するよくある質問
ミノキシジルについて、本文で触れきれなかった疑問をまとめました。個別の判断は診察や薬剤師への相談によって変わります。
効果はどのくらいで分かりますか?
短期間では判断できません。日本皮膚科学会のガイドラインが引用する外用薬の臨床試験は、6か月や48週といった期間で評価されています。使い始めの数週間で変化がないことを理由に中止すると、判定そのものができなくなります。開始前の写真を残し、同じ条件で見比べるようにしてください。
外用薬と内服薬はどちらが効きますか?
同じ土俵で比べられるものではありません。ミノキシジル内服については有用性を確かめる臨床試験が実施されておらず、日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度Dとされています。外用薬は推奨度Aとされており、評価の前提が大きく異なります。効き目の比較ではなく、承認状況と安全性の情報量の差として受け止めてください。
他の薬と一緒に使えますか?
自己判断での併用は避けてください。AGAの治療では複数の薬が組み合わされることがありますが、可否は持病や服用中の薬によって変わります。市販薬とサプリメントの併用についても、成分が重複していないかを含めて、薬剤師や医師に確認することをおすすめします。
まとめ
ミノキシジルは髪が育つ側に働きかける薬で、DHTの産生を抑えるフィナステリドやデュタステリドとは目的が異なります。日本皮膚科学会のガイドラインでは外用薬が推奨度Aとされる一方、内服は臨床試験が実施されておらず推奨度Dとされています。同じ成分名でも、外用と内服を同じものとして考えないことが大切です。
見落としやすいのは、効果の判定に一定の期間が必要なこと、使い始めに抜け毛が増えたように感じる場合があることです。断定的な説明を見かけたときは、出典を確認する習慣を持つと迷いにくくなります。
変化が分かりにくいときは、AGA以外の脱毛症が隠れていることもあります。市販薬だけで様子を見続けるより、一度診察で状態を確認してもらってください。
参考・出典
日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
PMDA 医療用医薬品情報 プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg(フィナステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900XF1021_3
PMDA 医療用医薬品情報 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg(デュタステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900AM1023_1
厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html