ヤグレーザーのヒゲ脱毛とは?痛み・回数・効果と向いている人を解説
ヤグレーザーは、医療脱毛に使われるレーザーの一つです。
機器名を指定して調べていると、どれが最も優れているのかが気になりますが、実際には肌質や毛質、部位によって使い分けられるものです。
この記事では、波長1064nmという特徴から他のレーザーとの違い、痛みと麻酔、必要な回数、副作用までを整理します。
この記事の要約
- ヤグレーザーは波長1064nmのレーザーで、医療脱毛に用いられる波長の一つという位置づけです。
- 波長が長く深い位置に届きやすく、表皮のメラニンの影響を受けにくいとされる点が特徴です。
- システマティックレビューでは有効性と安全性が示される一方、研究の質と条件の標準化に課題があるとされています。
- 顔は毛周期が短く、長期的な減毛の程度が他の部位より小さかったとする報告があります。
- 赤み、毛嚢炎、熱傷、色素変化、硬毛化などが起こることがあり、医療機関での対応が必要です。
ヤグレーザー(Nd:YAG)のヒゲ脱毛とは
ヤグレーザーは、ネオジムヤグ(Nd:YAG)と呼ばれる媒体を用いたレーザーで、波長は1064nmです。医療脱毛では複数の波長が使い分けられており、ヤグレーザーはそのうちの一つという位置づけになります。特定の波長が常に最も優れているという関係ではありません。
Nd:YAG 1064nmを対象としたシステマティックレビュー(Lasers Med Sci 2020)では、無作為化比較試験13件、734人が解析され、脱毛における安全性と有益な効果が示されたと報告されています。同時に、方法論の質を高めた研究を重ね、照射条件を標準化していく必要があるとも指摘されています。
波長1064nmの特徴
レーザー脱毛は、毛に含まれる色素にレーザーの光が吸収され、そこで生じた熱が毛をつくる組織に作用する仕組みです。このとき、波長が長いほど皮膚の深い位置まで届きやすくなります。
1064nmは医療脱毛で使われる波長の中では長い部類にあたり、皮膚の表面にあるメラニンに吸収される割合が比較的少ないとされています。そのため、肌の色が濃い場合や日焼けの影響が残る場合に選ばれることがあります。
ただし、吸収されにくいということは、同じ作用を得るために強い出力が必要になる場合があるという側面もあります。
熱破壊式と蓄熱式の違い
照射の方式は、大きく2つの考え方に分けられます。強い出力を短時間で照射して毛をつくる組織に作用させる方式と、弱めの出力を重ねて照射し、熱を蓄積させる方式です。
同じヤグレーザーという呼び方でも、機器によってどちらの方式を取るかは異なります。痛みの感じ方や照射に必要な時間、施術後の反応の出方も変わるため、受診先でどの機器をどの方式で用いるのかを確認してください。
使用機器が分からないまま、方式ごとの一般的な説明を自分に当てはめることはできません。
ヤグレーザーがヒゲ脱毛で使われる理由
ヒゲは、体の他の部位と比べて毛が太く、毛をつくる組織が深い位置にあるとされています。波長が長く深い位置まで届きやすいという特徴は、この条件に対して選択肢となり得ます。
また、表皮のメラニンの影響を受けにくいとされることから、肌の色や日焼けの状態によって他の波長が使いにくい場合の選択肢にもなります。ただし、これは受けやすさに関する特徴であり、より高い効果を保証するものではありません。
医療脱毛で目指すのは長期的な減毛であり、すべての毛の再生が止まることを約束するものではありません。とくにヒゲは、毛の量や太さ、密度に個人差が大きい部位です。
ヤグレーザーと他のレーザーとの違い
医療脱毛で使われる主なレーザーは、波長によって性質が変わります。どれが優れているというものではなく、肌質、毛質、部位に応じて選ばれます。
| レーザー | 波長の傾向 | 選択の際に関わる点 |
|---|---|---|
| アレキサンドライト | 短い | メラニンに吸収されやすく、日焼けした肌では扱いに注意を要する |
| ダイオード | 中間 | 方式の幅が広く、機器によって性質が異なる |
| ヤグ(Nd:YAG) | 長い | 深い位置に届きやすく、表皮のメラニンの影響を受けにくいとされる |
同じ種類でも機器と設定によって性質は変わります。表は波長による一般的な傾向の整理です。
アレキサンドライトレーザーとの違い
アレキサンドライトレーザーは、ヤグレーザーより波長が短く、メラニンに吸収されやすい性質があります。毛の色素に反応しやすい一方、皮膚の表面のメラニンにも反応するため、日焼けした肌や色素沈着のある部分では扱いに注意が必要になります。
前述のシステマティックレビュー(J Cosmet Laser Ther 2022)では、1回の毛周期以上の追跡を行った無作為化比較試験を対象に、長期的な減毛の平均がヤグレーザーで30〜73.61%、アレキサンドライトレーザーで35〜84.25%と報告されています。ただし対象となった試験は5件・223人にとどまり、部位も条件も異なるため、この数値で優劣を判断することはできません。
ダイオードレーザーとの違い
ダイオードレーザーは、波長がアレキサンドライトとヤグの中間にあたります。機器によって採用する波長や方式の幅が広く、ダイオードという呼び方だけでは性質を特定できません。
同じシステマティックレビューでは、ダイオードレーザーの長期的な減毛の平均は32.5〜69.2%と報告されています。3種類とも幅が広く、重なり合っていることが分かります。機器の種類よりも、肌と毛の状態に合った設定で照射できるかどうかが実際の結果に関わります。
ヤグレーザーの痛みの程度と麻酔の選択肢
ヒゲは、毛が太く密度も高いことから、痛みを感じやすい部位とされています。特に鼻の下やあごは、皮膚が薄く神経も集まっているため、他の部位より強く感じられることがあります。
ただし、痛みの感じ方には個人差と部位差があり、同じ機器と設定でも人によって異なります。また、体調や睡眠の状態によっても変わります。強く感じた場合は我慢せず、その場で伝えてください。出力や照射の方法を調整できることがあります。
痛みを抑える方法としては、麻酔クリームや笑気麻酔などが用いられることがあります。ただし、麻酔を使えば痛みがなくなるというものではありません。麻酔にも適応と副作用があり、体質や既往によっては使えない場合もあります。費用が別途かかることも多いため、事前に確認してください。
ヤグレーザーで必要なヒゲ脱毛の回数・期間と費用
毛は一本ずつ異なる周期で生え替わっており、レーザーが作用しやすいのは成長期にある毛に限られます。ある時点で照射しても、その場に生えそろっていない毛には届きません。そのため、周期に合わせて間隔を空けながら回数を重ねることになります。
前述のシステマティックレビューでは、長期的な減毛の程度が部位によって異なり、毛周期が長い脚では大きく、毛周期が短い顔では最も小さかったと報告されています。ヒゲは条件として容易な部位ではないという前提で計画を立ててください。
必要な回数は、毛の密度や太さ、どこまでの状態を目標とするかによって変わります。ヒゲ脱毛は自由診療で費用は全額自己負担です。
総額は、照射する範囲、回数、麻酔の有無、施術後に外用薬が必要になるかどうかで変わります。1回あたりの金額だけでなく、追加照射の扱いや、施術を延期した場合の日程の調整も含めて確認してください。
ヤグレーザーによるヒゲ脱毛の副作用・リスク
レーザーの熱を用いる医療行為であるため、施術後に反応が生じます。次のような症状が起こることがあります。
- 赤み、ほてり
- 腫れ
- 毛嚢炎
- 熱傷
- 色素沈着、色素脱失
- 硬毛化
国民生活センターが2017年に公表した調査では、2012年度以降の約5年間に脱毛施術による危害の相談が964件寄せられ、うち医療機関で受けた脱毛によるものが284件、危害の内容は皮膚障害と熱傷が多かったと報告されています。症状が出た場合に、その場で診察を受けられることが医療機関で受ける利点の一つです。
水ぶくれを伴う痛みや、範囲が広がる赤み、膿を持ったぶつぶつが増える場合は、市販薬で対応しようとせず、施術を受けた医療機関へ連絡してください。
受けられない可能性があるケース
次のような場合には、照射を延期したり、範囲を限定したりすることがあります。判断は診察で行われます。
- 日焼けの直後である、または強く日焼けする予定がある
- 光線過敏がある、または光線過敏を起こし得る薬を使用している
- 施術部位に炎症や感染症、湿疹などがある
- ケロイドを生じやすい体質である
- 施術部位にタトゥーやアートメイクがある
- 皮膚に影響し得る薬を使用している、または使用を終えて間もない
タトゥーがある部分は色素にレーザーが強く吸収されるため、熱傷につながるおそれがあります。位置を必ず申告してください。当てはまらない場合でも、その日の肌の状態によって設定が変わることがあります。
施術前後の注意点
前後の過ごし方は、施術の可否と経過の両方に関わります。医療機関から個別の指示がある場合は、そちらが優先されます。
- 指示された時期に剃毛を済ませ、当日に深剃りをしない
- 毛抜きやワックスで毛を抜かない
- 施術の前後は日焼けを避け、日焼け止めを使う
- 施術後は保湿を続け、こすらない
- 当日の長風呂、激しい運動、飲酒は指示に従って控える
- 肌トラブルが出た場合は自己判断せず医療機関へ連絡する
毛を抜いてしまうと、レーザーが作用する対象がなくなり、その回の照射が意味を持たなくなることがあります。処理は剃るにとどめてください。
ヤグレーザーによるヒゲ脱毛が向いている人・向いていない人
向き不向きは、肌の色、毛の太さ、痛みへの許容度、そして通院を続けられる条件から考えます。以下は判断の観点であり、これに当てはまるかどうかを自分で決めるものではありません。
- 肌の色が濃い、または日焼けの影響が残っている場合、選択肢になり得る
- 毛が太く密度が高い場合、深い位置に届きやすい特徴が関わる
- 痛みに不安がある場合、麻酔の適応と費用を含めて事前に相談する必要がある
- 毛周期に合わせて間隔を空けて通える見通しが立つかどうか
反対に、日焼けの直後や、施術部位に炎症がある場合は、そもそも照射を見合わせることになります。
機器の種類を先に決めるのではなく、診察で肌と毛の状態を確認したうえで、どの方法が合うのかを相談してください。
ヤグレーザーによるヒゲ脱毛のよくある質問
本文で扱いきれなかった疑問をまとめます。実際の可否は診察で判断されます。
ヤグレーザーは顔全体の脱毛にも使えますか?
頬や首など、ヒゲの範囲を超えた部位を対象とすることもあります。
ただし、部位によって皮膚の厚さや毛の性質が異なるため、同じ設定で照射できるとは限りません。目の周囲など、照射を行わない範囲もあります。
どこまでを対象とするかは、機器の性能だけでなく医療機関の方針にもよるため、契約前に範囲を確認してください。
ヒゲのヤグレーザー脱毛は何回くらい必要ですか?
一律の回数は示せません。毛の量や太さ、目指す状態、機器の設定によって変わるためです。
加えて、顔は毛周期が短く、他の部位より長期的な減毛の程度が小さかったとする報告もあります。
回数を確約する説明を受けた場合は、その根拠と、回数を終えても目標に届かなかった場合の扱いを確認してください。
まとめ
ヤグレーザーは波長1064nmのレーザーで、医療脱毛に使われる波長の一つです。深い位置に届きやすく、表皮のメラニンの影響を受けにくいとされることから、毛が太いヒゲや、肌の色が濃い場合の選択肢になり得ます。ただし、特定の機器が常に優れているという関係ではありません。
見落としやすいのは、顔という部位の条件です。毛周期が短い顔では、長期的な減毛の程度が他の部位より小さかったとする報告があります。また、赤みや毛嚢炎、熱傷、色素変化、硬毛化といった反応が起こることもあり、日焼けや使用中の薬によっては照射を見合わせる判断もあります。
機器の名前から選ぶのではなく、肌と毛の状態を診てもらったうえで、通い切れる計画かどうかを含めて相談してください。
参考・出典
Nd:YAG 1064nmレーザー脱毛のシステマティックレビュー(Lasers Med Sci 2020) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31919681/
レーザー・光源による長期的な減毛のシステマティックレビュー(J Cosmet Laser Ther 2022) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35634805/
国民生活センター なくならない脱毛施術による危害(2017年5月11日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170511_1.html