ED治療薬の副作用は?主な症状と併用禁忌・受診が必要なサインを解説
ED治療薬を使うにあたって、副作用が気になるのは自然なことです。大切なのは、どの症状なら経過をみてよく、どの症状なら受診が必要かという判断軸を先に持っておくことです。この記事では、PMDAが公開している電子添文の記載に基づいて、報告されている副作用と併用してはいけない薬、受診が必要になるサインを整理します。
この記事の要約
- ED治療薬では、ほてりや潮紅、頭痛などの副作用が電子添文に記載されています。
- 血管を広げる作用が全身にも及ぶことが、こうした症状の背景にあります。
- 硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌で、過度の血圧低下を招くおそれがあります。
- 勃起が4時間以上続く場合や急な視力低下は、直ちに医師の診察が必要な状態です。
- 用量の調整は医師が判断するもので、自分で減らしたり増やしたりしないでください。
ED治療薬で副作用は起こる?
結論から言えば、ED治療薬でも副作用は起こり得ます。PMDAが公開しているバイアグラ錠、シアリス錠、バルデナフィル錠のいずれの電子添文にも、副作用の項目が設けられています。
ただし、報告されている症状の多くは、体のどこにどのような変化が起こるかがある程度分かっています。何が起こり得るかを知っておけば、症状が出たときに落ち着いて対応しやすくなります。この記事では、経過をみてよい可能性がある症状と、すぐに受診が必要な症状を分けて説明します。
ED治療薬で副作用が起こる仕組み
副作用の内容を理解するうえで、薬の働き方を簡単に押さえておくと役立ちます。ED治療薬は、血管を広げる方向に働く薬です。
性的な刺激を受けたときに陰茎の血管を広げる物質が働きますが、ED治療薬はその物質を分解する酵素の働きを抑えることで、血液が流れ込みやすい状態を保ちます。この作用は陰茎だけに限定されるわけではなく、全身の血管にもある程度及びます。顔のほてりや頭痛、鼻づまりといった症状は、この延長線上にあるものです。
この仕組みを知っておくと、注意すべき組み合わせも理解しやすくなります。血圧を下げる方向に働く薬と重なれば、血圧が下がりすぎる可能性が出てきます。硝酸剤との併用が禁忌とされているのも、この理由によるものです。
また、薬が体内でどのくらいの濃度になるかは、肝臓や腎臓の働き、併用している薬によって変わります。電子添文で高齢者や肝機能・腎機能に問題がある場合の用量が別に定められているのは、こうした事情を踏まえたものです。同じ薬でも、条件によって副作用の出方が変わり得ると考えてください。
報告されているED治療薬の主な副作用
以下は電子添文に記載されている症状です。頻度は添文で確認できた場合のみ示しています。実際に症状が出るかどうかには個人差があります。
ほてり・顔面紅潮
顔が熱くなる、赤くなるといった症状は、いずれの成分でも記載があります。バイアグラ錠の添文では、1%以上の頻度で血管拡張(ほてり、潮紅)が5.78%と報告されています。
シアリス錠では1%以上の頻度で潮紅が、バルデナフィル錠ではほてりが10.6%と記載されています。血管が広がる作用によるもので、薬の働き方から見れば想定される範囲の症状です。とはいえ、症状が強い場合や長く続く場合は、そのまま我慢せず処方元へ相談してください。
頭痛・動悸
頭痛は、いずれの添文にも記載がある症状です。バイアグラ錠では1%以上の頻度で3.87%と報告され、シアリス錠でも1%以上の頻度で頭痛が挙げられています。
動悸については、バイアグラ錠では0.1%以上1%未満の頻度で胸痛、動悸、頻脈が、シアリス錠では0.2%以上1%未満の頻度で動悸が挙げられています。バルデナフィル錠では1%以上の頻度で心悸亢進が記載されています。胸の痛みや強い動悸が続く場合は、経過をみるのではなく受診してください。
鼻づまり・消化器症状
鼻の粘膜の血管が広がることで、鼻づまりが起こることがあります。シアリス錠の添文では1%以上の頻度で鼻閉が、バイアグラ錠では0.1%以上1%未満の頻度で鼻炎が記載されています。
消化器の症状としては、バイアグラ錠で悪心、胃腸障害、口渇、消化不良、腹痛が0.1%以上1%未満の頻度で挙げられています。シアリス錠では1%以上の頻度で消化不良が記載されています。また、シアリス錠では1%以上の頻度で背部痛、筋痛、四肢痛といった筋骨格の症状も挙げられており、成分によって出やすい症状に違いがあります。
目の充血・見え方の変化
目に関わる症状も記載されています。バイアグラ錠の添文では、0.1%以上1%未満の頻度で眼充血、結膜炎、彩視症(色が違って見える)、視覚障害が挙げられています。
シアリス錠でも、霧視、眼の充血、眼の異常感などが記載されています。バイアグラ錠、バルデナフィル錠の添文には、臨床試験においてめまいや視覚障害が認められているため、自動車の運転や危険を伴う機械の操作に従事する場合には注意させることという記載があります。服用した日は運転を予定しないなど、事前の調整をおすすめします。
注意が必要なED治療薬の重い副作用
ここからは、経過をみるのではなく受診が必要になる症状です。頻度が低いかどうかにかかわらず、起きたときの対応を知っておくことが重要です。
持続勃起症
勃起が長時間続く症状です。バイアグラ錠の添文には、4時間以上の勃起の延長または持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国の市販後有害事象で少数例報告されていると記載されています。
同添文では、持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷または勃起機能を永続的に損なうことがあるため、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合は直ちに医師の診断を受けるよう指導することとされています。バルデナフィル錠にも同様の記載があります。時間が経てば治まるだろうと待たず、その時点で医療機関へ連絡してください。
急激な視力低下・聴力低下
各添文には、本剤投与後に急激な視力低下または急激な視力喪失があらわれた場合には服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう患者に指導することと記載されています。
背景として、外国でPDE5阻害薬の投与中に、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されていることが挙げられています。添文では、これらの患者の多くが50歳以上、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙といった危険因子を有していたとされています。
聴力についても、バルデナフィル錠の添文に、外国でPDE5阻害薬投与後にまれに急激な聴力低下または突発性難聴が報告されており、耳鳴りやめまいを伴うことがあると記載されています。見え方や聞こえ方に急な変化が起きた場合は、服用を続けず受診してください。
ED治療薬と併用してはいけない薬
ED治療薬には、併用すると重大な健康被害につながるおそれがある薬があります。硝酸剤・一酸化窒素供与剤とリオシグアトは3成分に共通して禁忌ですが、それ以外の禁忌は成分ごとに異なります。
- 硝酸剤および一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(リオシグアト)
- アミオダロン塩酸塩の経口剤(バイアグラ錠の添文に禁忌として記載)
硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用が禁じられているのは、降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるためです。これらは狭心症などで処方される薬で、発作時に使う舌下錠やスプレー、貼り薬も含まれます。心臓の薬を使っている場合は、必ず申告してください。
禁忌にはあたらないものの、注意が必要な組み合わせもあります。各添文の併用注意の項では、血圧を下げる薬との併用で降圧作用が強まる可能性が示されています。バイアグラ錠には、ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告があると記載され、シアリス錠にも、α遮断剤との併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告があると記載されています。前立腺の症状や高血圧で薬を使っている場合は、必ず申告してください。
CYP3A4を阻害する薬は、ED治療薬の血中濃度を上げることがあります。シルデナフィルでは慎重な投与が必要な組み合わせがある一方、バルデナフィルではイトラコナゾールやリトナビルなどが併用禁忌です。バルデナフィルには、アミオダロンを含む一部の抗不整脈薬との併用禁忌もあります。自分で減量して併用せず、医師・薬剤師に確認してください。
また、市販薬やサプリメント、他院で処方された薬にも注意が必要です。自己判断で組み合わせず、服用しているものはすべて医師と薬剤師に伝えてください。
ED治療薬を服用できない人・慎重な判断が必要な人
併用薬以外にも、体の状態によって服用できない場合が定められています。以下は電子添文に禁忌として挙げられている項目の一部です。
| 区分 | 電子添文に記載されている内容 |
|---|---|
| 過敏症 | 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 |
| 心血管系 | 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者、不安定狭心症のある患者 |
| 血圧 | コントロール不良の不整脈、低血圧または高血圧のある患者 |
| 既往歴 | 最近の心筋梗塞、脳梗塞、脳出血の既往(期間の定めは成分により異なる) |
| 肝機能 | 重度の肝障害のある患者 |
| 眼疾患 | 網膜色素変性症の患者 |
このほか、高齢者や腎機能に問題がある場合には、開始用量や最高用量に個別の定めがあります。
バイアグラ錠には、死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているため、投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することという警告が記載されています。当てはまるかどうかを自分で判断せず、診察と検査で確認を受けてください。最終的な判断は医師が行います。
ED治療薬の成分による副作用の違い
成分ごとに電子添文の記載内容は異なります。ここでは1%以上の頻度で記載されている症状を並べます。優劣を示すものではありません。
| 有効成分 | 1%以上の頻度で記載されている主な症状 |
|---|---|
| シルデナフィル | 血管拡張(ほてり、潮紅)5.78%、頭痛3.87% |
| タダラフィル | 潮紅、頭痛、消化不良、背部痛、筋痛、四肢痛、鼻閉 |
| バルデナフィル | ほてり10.6%、心悸亢進 |
試験の条件や対象が異なるため、数値をそのまま横に並べて比較することはできません。
成分ごとの用量設定や食事の影響など、より詳しい違いについては、別記事「ED治療薬 種類」で扱っています。どの成分を選ぶかは、副作用の記載だけでなく、持病や併用薬、生活の状況を含めて判断されます。
ED治療薬の副作用が出たときの対応と受診の目安
症状が出たときは、経過をみてよい場合とすぐに受診すべき場合を分けて考えます。判断に迷う場合は、処方元へ連絡してください。
| 状況 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 軽いほてりや頭痛が短時間で治まった | 症状の内容と持続時間を記録し、次の服用前に処方元へ相談する |
| 症状が強い、または長く続く | 服用を続けず、処方元へ連絡して指示を受ける |
| 勃起が4時間以上続いている | 直ちに医師の診察を受ける |
| 急な視力低下や視力喪失がある | 服用を中止し、速やかに眼科専門医を受診する |
| 急な聴力低下、耳鳴り、めまいがある | 服用を続けず受診する |
| 胸の痛み、強い動悸、失神しそうな感じがある | 直ちに医療機関を受診し、服用したED治療薬の名前と時刻を伝える。強い胸痛や意識の異常がある場合は119番に連絡し、ニトログリセリンなどの硝酸剤を自己判断で使用しない |
症状が治まった場合でも、次に服用してよいかどうかは医師の判断になります。自己判断で服用を続けたり、量を変えたりしないでください。
ED治療薬の個人輸入・偽造品によるリスク
副作用を考えるうえで、薬の入手経路も無視できません。中身が確かでない製品では、何が起きているのか判断すること自体が難しくなります。
日本泌尿器科学会の解説では、インターネットなどで販売されている薬は偽物が多く、有害な物質が含まれている可能性があるので、決して手を出さないようにと明記されています。成分量が表示と異なる、別の成分が混ざっているといった事態も想定されます。
さらに、個人輸入した医薬品で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。副作用が出たときに相談できる医師がいるかどうかという点でも、処方を受けて使うことには意味があります。
ED治療薬の処方前に医師へ伝えておくべきこと
禁忌や併用禁忌に当てはまらないかを確認するため、次の情報を整理して持参してください。伝え漏れが最も避けたいリスクです。
- 服用中の薬(お薬手帳があれば持参する)
- 市販薬やサプリメントの使用状況
- 心臓、血圧、肝臓、腎臓に関わる持病の有無
- 心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などの既往と時期
- 目の病気や見え方の異常の有無
- 過去に薬で副作用が出た経験とその内容
- 健康診断で指摘された項目
とくに狭心症などで硝酸剤を使っている場合、併用は禁忌です。発作時にだけ使う薬も含めて申告してください。複数の医療機関にかかっている場合は、それぞれの処方内容を伝えることが大切です。
ED治療薬に関するよくある質問
副作用について寄せられることの多い質問をまとめました。個別の判断は診察が前提です。
Q.副作用はどのくらいで治まりますか?
A.どのくらいで治まるかという時間の目安は、電子添文には記載されていません。そのため、一般化した数値をここで示すことはできません。症状が強い場合や長く続く場合は、経過をみるのではなく処方元へ連絡してください。勃起が4時間以上続く場合や急な視力低下がある場合は、直ちに受診が必要です。
Q.副作用が心配な場合は量を減らせますか?
A.自分の判断で量を減らさないでください。電子添文では成分ごとに用量が定められており、高齢者や肝機能・腎機能に問題がある場合には開始用量の定めもあります。副作用が心配な場合は、その旨を医師に伝えたうえで、用量や薬剤の見直しを相談してください。判断は医師が行います。
まとめ
ED治療薬では、ほてりや潮紅、頭痛、鼻づまりといった副作用が電子添文に記載されています。血管を広げる作用が全身にも及ぶことが背景にあり、薬の働き方から見れば想定される範囲の症状です。
見落としてはならないのは、経過をみるべきでない症状があることです。勃起が4時間以上続く場合、急な視力低下や聴力低下がある場合は、直ちに受診が必要とされています。また、硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌で、過度に血圧を下げるおそれがあります。
心血管系の持病や既往、服用中の薬によっては使用できない場合もあります。用量の調整も医師の判断です。処方前にお薬手帳と既往歴を持参し、気になる症状が出たときは処方元へ相談してください。
参考・出典
PMDA バイアグラ錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2590018F1020_1_05
PMDA シアリス錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530263_2590016F5026_1_05
PMDA バルデナフィル錠10mg・20mg「トーワ」 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480235_259000BF2041_1_06
日本泌尿器科学会 勃起障害(ED) https://www.urol.or.jp/public/symptom/15.html