フィナステリドとデュタステリドの違いは?効果・副作用・費用を比較
AGA治療の内服薬としてよく比較されるのが、フィナステリドとデュタステリドです。
どちらか一方が優れているという単純な関係ではなく、作用する酵素の範囲や承認されている内容、報告されている副作用に違いがあります。
この記事では、2剤の違いを判断材料として整理し、費用や継続の考え方、切り替えと併用の扱いまで解説します。
この記事の要約
- どちらもDHTの産生を抑える内服薬ですが、作用する5α還元酵素の型に違いがあります。
- 国内で承認されているAGA治療の内服薬は男性が対象で、女性と20歳未満は対象外です。
- 効果の判定には継続が必要とされ、日本皮膚科学会のガイドラインでは6か月程度が目安とされています。
- 性機能に関する症状や肝機能障害が報告されており、PSA検査を受ける際は服用の申告が必要です。
- AGA治療は自由診療で保険適用外のため、継続を前提とした費用の見通しが必要になります。
フィナステリドとデュタステリドの主な違い
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも男性型脱毛症(AGA)の進行に関わるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑える内服薬です。違いは、作用する酵素の型と、国内で承認されている内容にあります。
前提として、AGAの薬物療法は進行を抑えることが中心であり、完全に元の状態へ戻すことを保証する治療ではありません。結果を保証するような説明で選ぶのではなく、何を目的にどこまで続けるかという視点で比較していきます。
| 項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 阻害する5α還元酵素 | II型 | I型とII型 |
| 国内で承認されている対象 | 男性の男性型脱毛症 | 男性の男性型脱毛症 |
| 女性・20歳未満 | 対象外 | 対象外 |
| ガイドラインの推奨度 | 男性型はA、女性型はD | 男性型はA、女性型はD |
推奨度は日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」の内服に関する評価によります。
フィナステリドとデュタステリドの仕組みの違い
違いを理解するには、AGAが進む流れを先に押さえておくと分かりやすくなります。どちらの薬も、この流れの同じ地点に働きかけますが、届く範囲が異なります。
男性ホルモンであるテストステロンは、5α還元酵素という酵素の働きによって、より作用の強いDHTに変換されます。前頭部や頭頂部の毛包でDHTが受容体に結びつくと、毛が成長する期間が短くなり、太い毛が細く短い毛へと置き換わっていきます。この変化を軟毛化と呼びます。フィナステリドとデュタステリドは、DHTがつくられる手前の段階を抑える薬です。
阻害する5α還元酵素の型が異なる
日本皮膚科学会のガイドラインでは、フィナステリドはII型の5α還元酵素に対する阻害剤、デュタステリドはI型とII型の両方に対する阻害剤と説明されています。抑える範囲だけを見れば、デュタステリドのほうが広いことになります。
ただし、抑える酵素の型が多いことが、そのまま発毛の効果が高いことを意味するわけではありません。同ガイドラインが引用する917名を対象とした6か月の比較試験では、全毛髪数と毛の直径の増加についてデュタステリドが優れた結果を示した一方、直径60μm以上の硬毛の数では両者に有意な差がなかったと報告されています。
つまり、どの指標で比べるかによって結果の見え方が変わります。単純な優劣ではなく、状態や目的に合わせて選ぶ薬だと考えるほうが実態に近いといえます。
DHTの抑制に関する数値の扱い
インターネット上の記事では、「フィナステリドは約70%、デュタステリドは約90%以上DHTを抑える」といった数値がよく紹介されています。ただし、これらの数値がどの試験の、どの条件で測定されたものかをたどれない場合が多く、本記事では数値を掲載していません。
また、仮に血液中のDHTがより強く抑えられていたとしても、それが髪の本数や太さの変化にそのまま比例するとは限りません。抑制率の差を発毛効果の差と読み替えないことが、比較するうえで重要になります。
数値を見かけたときは、出典が示されているか、どの集団を対象にした測定かを確認する習慣を持つと、情報を選びやすくなります。
フィナステリドとデュタステリドの効能・効果・対象の違い
薬を比べるときに見落とされやすいのが、国内で承認されている効能・効果と対象です。同じ成分でも、販売名によって承認されている内容が異なることがあります。
フィナステリドを有効成分とするプロペシア錠は、男性における男性型脱毛症の進行遅延を効能・効果として承認されています。発毛そのものを保証する表現ではなく、進行を遅らせることを目的とした記載である点に注意が必要です。
デュタステリドで特に注意したいのは、同じ成分でも前立腺肥大症を効能とする製剤が別に存在することです。AGAの治療で用いられるのは男性型脱毛症を効能とする製剤であり、両者を混同すると用量も対象も変わってしまいます。処方された薬の販売名を確認しておきましょう。
- どちらも国内では男性の男性型脱毛症が対象である
- 女性および20歳未満は対象に含まれない
- 妊娠している可能性のある女性や授乳中の女性への投与は禁忌とされている
- 同一成分でも販売名によって効能・効果が異なる場合がある
ガイドラインでは、国内の臨床試験が20歳以上の男性を対象に行われたため、20歳未満に対する安全性は確立していないと記載されています。年齢や性別によって扱いが変わる薬であることを、最初に押さえておいてください。
また、同じ有効成分でも、先発医薬品と後発医薬品では販売名が異なります。処方箋や薬袋に書かれている販売名と、承認されている効能・効果が一致しているかを確認しておくと、思い違いを防げます。個人輸入や海外通販で入手した製品には、そもそも販売名や成分量を確認できないものもあるため、処方を受けて使うことが前提になります。
フィナステリドとデュタステリドの効果の現れ方と判定の時期の違い
どちらの薬も、飲み始めてすぐに変化が分かるものではありません。効果を判定するには、一定期間続けたうえで見比べる必要があります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、フィナステリドについて、少なくとも6か月程度は内服を継続して効果を確認すべきとされています。デュタステリドの臨床試験も6か月や52週といった期間で評価されており、いずれも短期間で結論を出す薬ではありません。数週間で変化がないからといって自己判断で中止すると、判定そのものができなくなります。
飲み始めの時期に、一時的に抜け毛が増えたように感じることがあります。不安になりやすい時期ですが、自己判断で中止せず、気になる場合は処方を受けた医師に相談してください。また、どちらが早く効くかを断定できる根拠は確認できていないため、開始時期の判断材料にはしないほうがよいでしょう。
変化を確かめる方法としては、同じ場所、同じ明るさ、同じ角度で写真を残しておくと比較しやすくなります。鏡で毎日見ていると、わずかな変化に気づきにくいためです。生え際、頭頂部、全体の3か所を決めて記録しておくと、診察時にも共有しやすくなります。
なお、飲み忘れが続くと、効果を判定するための条件が崩れてしまいます。決められた用法・用量を守ることが前提であり、飲み忘れた分をまとめて服用することもしないでください。生活の中で続けやすい時間帯を決めておくと、習慣にしやすくなります。
フィナステリドとデュタステリドの副作用の違いと共通する注意点
利点だけでなく、報告されている副作用も確認したうえで判断することが大切です。頻度が明らかでないものもあるため、ここでは根拠を確認できた範囲で整理します。
性機能に関して報告されている症状
デュタステリドについては、ガイドラインが引用する国際臨床試験で、リビドー減少3.3%、インポテンツ5.4%、射精障害3.3%という有害事象の頻度が報告されています。また、712例を対象とした平均204.7日の市販後調査では、リビドー減少1.3%、インポテンツ1%、射精障害0.1%と報告されており、調査によって数値に幅があります。
フィナステリドについても、性機能に関する症状が報告されています。いずれも全員に起こるものではありませんが、起こることがあると知っておくことは、続けるかどうかを判断するうえで役に立ちます。
気になる症状が出たときは、自己判断で中止したり量を変えたりせず、処方を受けた医師に相談してください。症状の内容や続き方によって、対応の仕方が変わります。
肝機能に関する注意
フィナステリドについては、重要な副作用として、頻度は明らかではないものの、まれに肝機能障害があらわれることがあるとガイドラインに記載されています。だるさが続く、食欲がない、皮膚や白目が黄色く見えるといった変化があれば、早めに相談してください。
もともと肝臓の数値に指摘を受けている方や、他に服用中の薬がある方は、その旨を診察時に伝えておく必要があります。必要に応じて血液検査を行うかどうかは、医師が状態をみて判断します。
前立腺に関する検査値への影響
フィナステリドを用いた試験では、前立腺癌のマーカーである血清PSA濃度が約50%低下することが示されています。そのため、服用中に前立腺癌の診断を目的としてPSAを測定する場合は、2倍した値を目安として評価すべきとされています。デュタステリドについても同様の記載があります。
これは検査結果の読み方が変わるという意味であり、検査が受けられなくなるわけではありません。健康診断や泌尿器科でPSA検査を受けるときは、AGA治療の内服薬を飲んでいることを必ず申告してください。申告がないと、結果を低めに評価してしまうおそれがあります。
フィナステリドやデュタステリドを服用できない人・注意が必要な人
対象や体調によっては、服用できない場合や慎重な判断が必要になる場合があります。次のような状況では、必ず診察時に申告してください。
- 女性、妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性
- 20歳未満の方
- 肝機能に指摘を受けたことがある方
- 他に服用している薬やサプリメントがある方
- 薬でアレルギー症状が出たことがある方
- 前立腺の検査や治療を受けている方
妊婦に投与するとDHTの低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがあるため、女性への投与は禁忌とされています。処方された薬は本人以外が服用しないよう、家庭内での保管方法にも注意してください。
献血の可否や休薬期間など、製剤ごとに定められている事項があります。実際の取り扱いは処方を受けた医療機関の説明に従ってください。
フィナステリドとデュタステリドの切り替えや併用についての考え方
「効果が物足りないから強いほうへ変えたい」「両方飲めばよいのでは」という疑問は多く見られます。ただし、これらは自分で決めてよい事柄ではありません。
切り替え、併用、増量のいずれも、体質や併存する病気、検査値の状況を踏まえて医師が判断します。自己判断で薬を追加したり量を増やしたりすると、副作用が出たときに原因を切り分けられなくなります。手元に残った薬を自己判断で組み合わせることも避けてください。
効果が十分でないと感じるときは、次のような点を整理して伝えると、診察での判断材料になります。
- いつから、どの薬を、どのくらいの期間続けているか
- 飲み忘れの頻度と、飲めなかった時期
- 気になっている部位と、その変化の経過
- 体調の変化や、新しく飲み始めた薬
フィナステリドとデュタステリドの費用の違い
AGAの治療は自由診療にあたり、公的医療保険は使えません。料金は医療機関がそれぞれ設定しているため、同じ成分でも金額に幅があります。
費用を比べるときは、1か月あたりの薬剤費だけでなく、診察料や検査費、まとめて処方を受ける場合の条件まで含めて確認します。また、AGA治療は継続を前提とする治療であり、ガイドラインには内服を中止すると効果は消失すると記載されています。半年や1年続けた場合にいくらになるかという視点で見ておくと、判断しやすくなります。
安く入手する目的で個人輸入を利用することは勧められません。厚生労働省は、個人輸入された医薬品について、品質・有効性・安全性が国内の法令に基づいて確認されていないこと、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象にならないことを示しています。診察を受けずに使用すれば、副作用が出たときの対応も難しくなります。
料金を確認するときは、表示されている金額に何が含まれているかを見ます。診察料が別なのか、初回と2回目以降で金額が変わるのか、まとめて処方を受ける場合に条件があるのかは、医療機関によって異なります。表示上の1か月分だけを比べても、実際の負担は分かりません。
フィナステリドやデュタステリドを継続するか迷ったときは
続けるかどうかで迷う理由は、効果の実感、費用、副作用への不安など人それぞれです。迷った時点で自己判断で中止するのではなく、まず状況を整理して相談することをおすすめします。
効果が分かりにくいと感じている場合は、判定に必要な期間を満たしているかを確認します。費用が負担になっている場合は、処方の期間や剤形の選択肢について相談できることがあります。副作用が心配な場合は、実際に出ている症状を具体的に伝えることで、続ける・変更する・中止するのいずれが適切かを検討しやすくなります。
中止した場合は進行が再び進む可能性があります。やめる場合も、経過をどう見ていくかを含めて医師と相談しておくと安心です。
フィナステリドとデュタステリドの選び方
どちらを選ぶかは、優劣ではなく状況で決まります。読者が自分で薬を決めるための基準ではなく、診察で相談するための視点として整理します。
| 確認したい視点 | 考え方 |
|---|---|
| 現在の状態 | 気になる部位と進行の程度を医師に確認してもらう |
| 体調と服薬 | 肝機能や前立腺の検査歴、他の薬の有無を伝える |
| 続けやすさ | 1か月あたりの負担と通院のしやすさを見積もる |
| 治療の目的 | 進行を抑えたいのか、変化を求めたいのかを共有する |
最終的にどの薬を用いるかは、診察のうえで医師が判断します。
薬の名前だけで決めるのではなく、いま何が起きていて、どこまでを目標にするのかを言葉にしておくと、診察での相談がかみ合いやすくなります。
フィナステリドとデュタステリドに関するよくある質問
フィナステリドとデュタステリドについて、本文で触れきれなかった疑問をまとめました。個別の判断は診察によって変わります。
フィナステリドからデュタステリドへ切り替えられますか?
切り替えが検討されることはありますが、可否や手順は医師が判断します。自己判断で薬を変えると、効果の評価も副作用の判断も難しくなります。切り替えを考えている場合は、これまでの服用期間と経過、気になっている点を伝えたうえで相談してください。
2つを併用することはできますか?
自己判断での併用は行わないでください。作用する部分が重なる薬であり、組み合わせた場合の利益と危険性を自分で見積もることはできません。効果が不十分だと感じる場合は、その状況を医師に伝え、どのような選択肢があるかを確認することが先になります。
服用をやめるとどうなりますか?
日本皮膚科学会のガイドラインには、内服を中止すると効果は消失すると記載されています。中止後にどのくらいの期間で、どの程度変化するかは人によって異なります。費用や副作用を理由に中止を考えている場合も、まず医師に相談し、経過の見方を決めておくとよいでしょう。
まとめ
フィナステリドとデュタステリドは、どちらもDHTの産生を抑えてAGAの進行に働きかける内服薬ですが、作用する5α還元酵素の型が異なります。デュタステリドはI型とII型の両方に働くとされる一方、抑える範囲の広さがそのまま発毛効果の差を意味するわけではありません。
判断時に見落としやすいのは、効果の判定に一定の期間が必要なこと、PSA検査の読み方が変わること、そして中止すると効果が失われるとされていることです。どちらも国内では男性が対象で、女性や20歳未満は対象に含まれません。
切り替えや併用を自分で決めることはできません。気になる症状や費用の負担がある場合も含めて、いまの状態と続けやすさを医師に伝え、無理のない計画を相談してください。
参考・出典
日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
PMDA 医療用医薬品情報 プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg(フィナステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900XF1021_3
PMDA 医療用医薬品情報 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg(デュタステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900AM1023_1
厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html