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クレーター状のニキビ跡は治療できる?種類別の治療法と効果の目安を解説

クレーター状のニキビ跡を調べていると「消える」という表現を目にしますが、この記事ではその枠組みをとりません。

どの程度の改善が見込めるのか、どこに限界があるのかを、国内のガイドラインと研究の記載に沿って整理します。

なお、活動性のニキビが残っている場合は、跡の治療より先にニキビ自体の治療が必要になります。

この記事の要約

クレーター状のニキビ跡とは

はじめに用語を整理します。ニキビ跡と呼ばれるものには複数の状態が含まれており、必要な対応が異なるためです。

日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、痤瘡の瘢痕を「炎症性皮疹、その他の皮疹が軽快したあとに生じる、皮膚の陥凹(萎縮性瘢痕あるいは陥凹性瘢痕と呼ぶ)、隆起(肥厚性瘢痕とケロイドを含む)、色素沈着からなる症状」と定義しています。クレーター状と呼ばれるのは、このうち陥凹にあたる部分です。

赤み・色素沈着とクレーター状のニキビ跡の違い

同ガイドラインでは、炎症性皮疹が軽快し炎症所見が消失した後に一時的に残る紅斑を「炎症後の紅斑」として、瘢痕とは別に定義しています。赤みと陥凹は、成り立ちも経過も異なるということです。

状態 見た目の特徴 考え方
炎症後の紅斑 赤みが残っている 一時的に残るものとして定義されている
色素沈着 茶色っぽい色が残っている 瘢痕を構成する症状の一つとされる
陥凹(萎縮性瘢痕) 皮膚がへこんでいる 組織が失われた状態で、自然に元へは戻りにくい

実際には複数の状態が同じ顔に混在していることがあります。どれに当てはまるかは診察で確認してください。

赤みや色素沈着と陥凹を区別せずに同じ治療を検討すると、判断を誤ることがあります。まず自分の跡がどの状態にあたるのかを確認することが出発点です。

クレーター状のニキビ跡の陥凹の形による分類

陥凹の形については、アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型という呼び方が国際的な文献で用いられています。細く深いもの、縁がはっきりして底が平らなもの、なだらかに波打つものという違いです。

ただし、前述の国内ガイドラインでは、これらを萎縮性瘢痕あるいは陥凹性瘢痕として一つの区分にまとめて扱っています。

分類名ごとに推奨される治療が国内で定められているわけではありません。診察でどの形が主体かを確認しつつ、分類そのものが治療を決めるわけではないという点も押さえておいてください。

ニキビ跡にクレーターができる原因

陥凹ができる背景には、炎症が皮膚の深い層まで及んだことがあります。表面だけの問題ではありません。

ニキビは、皮脂が毛穴にたまった面皰から始まり、そこでアクネ菌が増えると炎症が起こります。炎症が真皮まで及ぶと、その部分の組織が失われ、治る過程で皮膚がへこんだ形で固定されることがあります。いったん組織が失われると、化粧品やスキンケアで元の厚みに戻ることは想定しにくくなります。

原因を、自分でつぶしたことや洗い方だけに求めるのは適切ではありません。ガイドラインには、軽症の症状でも瘢痕を残しうる一方、早期の治療により瘢痕が予防できることを示唆するデータが示されていると記載されています。いま活動性のニキビがある場合は、その治療を先に行うことが跡を増やさないための対応になります。

炎症が強いニキビや繰り返すニキビは、跡を残すことがあります。市販品で改善しない、痛みのあるしこりがある、跡が増えている場合は、自己流のケアを続けず皮膚科で相談しましょう。

なお、ガイドラインでは急性炎症期の治療期間は最大3ヵ月間を目安とし、その後は維持期の治療へ移行するという考え方が示されています。炎症が続く状態を長く放置しないことが、跡を増やさないという観点でも意味を持ちます。

クレーター状のニキビ跡がセルフケアで改善が難しい理由

化粧品や市販薬で陥凹が元に戻るという期待は、残念ながら現実的ではありません。理由は、失われているものの違いにあります。

赤みや色素沈着は、皮膚の色調に関わる変化です。一方、陥凹は組織そのものが失われた結果として生じた形の変化です。表面に塗るものが、失われた真皮の厚みを埋め戻す働きを持つとは考えにくく、そうした効果を示す根拠も本記事では確認できていません。

ただし、セルフケアに意味がないわけではありません。新たなニキビと炎症を防ぐこと、紫外線対策で色素沈着を悪化させないことは、跡を増やさないための対応として役立ちます。「すでにできた跡への治療」と「これから増やさないためのケア」を分けて考えてください。

クリニックで行われるクレーター状のニキビ跡の主な治療

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023は、萎縮性瘢痕の治療について、推奨できる根拠が十分でないことを説明しています。これは治療の効果が一切ないという意味ではありません。

個々の方法について、研究の内容と限界、期待できる変化、リスクを確認して判断する必要があります。

治療 主な作用 ダウンタイムとして説明されること
マイクロニードリング 微細な針で傷をつくり、治る過程を利用する 赤み、点状の出血、腫れ
フラクショナルレーザー 皮膚に点状の熱の作用を加える 赤み、腫れ、かさつき、色素沈着
ケミカルピーリング 薬剤で皮膚表面に作用させる 赤み、落屑(皮がむける)
サブシジョン 皮膚の下で瘢痕の索状組織を切り離す 内出血、腫れ

ダウンタイムの日数は機器、出力、施術範囲、体質によって変わります。具体的な期間は施術前の説明で確認してください。

マイクロニードリング

細い針で皮膚に微細な傷をつくり、それが治っていく過程を利用する治療です。ダーマペンなどの機器がこれにあたります。

2022年のメタアナリシス(PMID 35426044)は12研究・414名を解析し、高周波を用いないマイクロニードリングによる瘢痕改善を報告しています。

対象研究では炎症後色素沈着が報告されませんでしたが、実際の施術で色素沈着が起きないことを保証する結果ではありません。機器、肌質、施術条件に応じたリスクの説明が必要です。

一方、併用療法を比較したネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res, 2024, PMID 39110247)では、24件の研究、1546名を解析し、マイクロニードリングとケミカルピーリングの併用が改善度、患者満足度、治療効果で最も良好であり、併用療法は単独療法より優れていたと報告されています。

いずれも解析対象の研究数と症例数は限られており、国内の診療体制や機器と条件が一致するとは限りません。詳細は別記事「ダーマペン ニキビ跡」で扱っています。

フラクショナルレーザー

皮膚に点状の熱の作用を加え、その周囲が治っていく過程を利用する治療です。用いる波長や機器によって作用の仕方が異なります。

前述のガイドラインでは、痤瘡あるいは痤瘡瘢痕へのレーザー治療について、各種レーザー治療器の特性を理解したうえで行ってもよいが、設備の問題、本邦での検討が不十分であり、保険適用もないことから推奨はしない(推奨度C2)とされています。解説には、萎縮性瘢痕の有意な改善が認められた報告がある一方、有意差が認められなかった報告もあることが示されています。

また、フラクショナル炭酸ガスレーザーに関するメタアナリシス(Dermatol Ther, 2021, PMID 33190373)では、8件の研究を対象に、炭酸ガスレーザーと非炭酸ガスレーザーの間で臨床的改善や炎症後色素沈着の発生率に有意差は認められなかったと報告され、よりよく設計された無作為化比較試験と信頼性の高い評価基準が必要であると述べられています。

ケミカルピーリング

薬剤を皮膚に作用させる治療です。ガイドラインでは、痤瘡の萎縮性瘢痕に対して、トリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸を用いたケミカルピーリングを行ってもよいが推奨はしない(推奨度C2)とされ、施術にあたっては保険適用外であることに配慮する必要があるとされています。

解説では、報告のエビデンスレベルが低いこと、痤瘡瘢痕の程度を評価して詳細に検討した報告がないことが指摘されています。

海外の無作為化比較試験では施術群で有意な効果が報告されているものの、23人中7人の脱落があり、4人に長期の紅斑・落屑が観察されたとも記載されています。効果と副作用の両面について、十分な説明を受けたうえで判断してください。

サブシジョン

皮膚の下で、へこみを引っ張っている線維の束を器具で切り離す処置です。ローリング型と呼ばれる、なだらかに波打つ陥凹に対して検討されることがあります。

国内のガイドラインに、この処置単独での推奨は示されていません。皮下を操作するため、内出血や腫れが生じます。実施の可否、想定される経過、他の治療との組み合わせについては、診察で個別に確認してください。

TCA CROSS

高濃度のトリクロロ酢酸を、陥凹の一つひとつに部分的に塗布する方法です。細く深いアイスピック型に対して検討されることがあります。

ガイドラインのケミカルピーリングの項では、100%トリクロロ酢酸を用いた治療経験の報告について、患者の50.3%が肯定的な評価を行っている一方、46.7%が3回以内に脱落していると記載され、客観的な治療効果の判定方法の開発や施術方法の改善が望まれるとされています。効果の程度を断定できる段階ではないという理解が必要です。

外科的な切除・縫合

深く狭い陥凹に対して、その部分を切除して縫い合わせる方法がとられることがあります。へこみを線状の傷に置き換えるという考え方です。

なお、ガイドラインで外科的処置が扱われているのは、肥厚性瘢痕・ケロイドに対するCQであり、推奨度はC2とされています。萎縮性瘢痕に対する外科的切除についての推奨は示されていません。適応は限られるため、実施の可否は診察で確認してください。

なお、機器や薬剤の国内での承認状況は、製品単位で異なります。国内で承認されていない機器や薬剤を用いる場合、厚生労働省の医療広告等ガイドラインでは、未承認である旨、入手経路、国内の承認品の有無、諸外国における安全性等の情報、医薬品副作用被害救済制度の対象外となることを明示する必要があるとされています。案内を受けた際は、これらの情報が示されているかを確認してください。

クレーター状のニキビ跡の陥凹のタイプ別に見た治療の選び方

形によって検討されやすい治療は変わります。以下は考え方の整理であり、どの治療が優れているかを示すものではありません。

陥凹の形 検討されることがある治療
細く深いもの(アイスピック型) 部分的なトリクロロ酢酸の塗布、切除・縫合
縁がはっきりして底が平らなもの(ボックスカー型) マイクロニードリング、フラクショナルレーザー
なだらかに波打つもの(ローリング型) サブシジョン、マイクロニードリング

多くの場合、複数の形が混在しています。一つの治療ですべてに対応できるとは限りません。

実際には、複数の治療を組み合わせる方針がとられることもあります。前述のネットワークメタアナリシスでも、併用療法が単独療法より良好な結果を示したと報告されています。ただし、これは国内の一般的な推奨として確立したものではありません。

クレーター状のニキビ跡の治療回数と期間の考え方

何回で変化を感じるかを一律に示すことはできません。回数は、瘢痕の種類と深さ、用いる機器、出力の設定、皮膚の反応によって変わります。

複数回の施術を行った研究もありますが、対象や条件は研究ごとに異なります。研究の回数だけを根拠に、すべての患者に同じ回数を勧めることはできません。治療前に評価の時期と継続・中止の判断基準を確認しましょう。

治療を始める前に、期待できる変化、施術の予定、効果を評価する時期、継続・中止の判断基準を医師と確認しましょう。コースを契約する場合は、途中で中止したときの費用や返金条件も確認してください。

クレーター状のニキビ跡治療の副作用・リスクとダウンタイム

皮膚に働きかける治療である以上、反応や副作用が生じます。良い面だけで判断せず、次の内容を理解したうえで検討してください。

これらの頻度については、治療や機器ごとに条件が異なり、一律の数値を示せる一次情報を本記事では確認できていません。そのため、起こりやすさをここで断定することはしません。

前述のケミカルピーリングの報告のように、長期の紅斑や落屑が観察された例も示されています。施術前に、想定される経過と対処方法を確認してください。

クレーター状のニキビ跡治療の費用と保険適用の考え方

審美的な改善を目的としたニキビ跡の治療は、原則として自由診療にあたり、費用は全額自己負担です。ガイドラインでも、ケミカルピーリングやレーザー治療について保険適用外である旨が示されています。

費用は、治療の種類、施術範囲、1回あたりの料金、必要な回数によって変わります。1回の価格だけで比較すると、総額の見通しを誤ることがあります。麻酔代、施術後に使う外用薬、再診料などが別に必要かどうかも確認してください。

また、活動性のニキビが残っている場合、その治療は保険診療で行える場合があります。ガイドラインでは、炎症性皮疹や面皰に対してアダパレン0.1%ゲル、過酸化ベンゾイル2.5%ゲル、これらの配合ゲルなどを強く推奨する(推奨度A)としています。跡の治療と、いま起きているニキビの治療では、費用の枠組みも根拠の水準も異なることを押さえておきましょう。

自由診療について案内を受ける際は、厚生労働省の医療広告等ガイドラインで、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間および回数を掲載し、主なリスクや副作用の情報も分かりやすく掲載することが要件とされている点を踏まえて確認してください。利点だけが強調されていないかを見る材料になります。

治療前後の注意点と受けられないケース

皮膚の状態や体の状況によっては、治療を受けられない、あるいは時期を改めることがあります。以下は確認されることの多い項目です。

治療後は、紫外線対策と保湿が案内されることが一般的です。色素沈着を避けるうえで重要な項目とされています。

ただし、具体的な指示は治療内容によって異なります。最終的な判断は診察で行われるため、当てはまる項目があると感じた場合は、施術を決める前に申告してください。

クレーター状のニキビ跡に関するよくある質問

クレーター状のニキビ跡について寄せられることの多い質問をまとめました。個別の判断は診察が前提です。

Q.ニキビ跡のクレーターは完全に消えますか?

A.元どおりの皮膚に戻ると保証することはできません。一方で、治療による改善を示す研究もあります。2023年版ガイドラインの慎重な評価も踏まえ、期待できる変化と限界を確認し、目標を医師と共有してください。

Q.何回くらいで変化を感じますか?

A.回数は、瘢痕の種類や深さ、機器と設定、皮膚の反応によって異なります。診察を受け、治療開始前に予定回数と評価時期を確認してください。コースを契約する場合は、途中で中止したときの扱いも確認しましょう。

まとめ

クレーター状のニキビ跡は、へこみとして残った瘢痕で、赤みや色素沈着とは異なります。へこみの種類や深さによって、検討する治療も変わります。

2023年版の国内ガイドラインは治療の根拠を慎重に評価しており、研究で改善の報告があることと、すべての方法が同じ推奨を受けていることは別です。施術前に期待できる変化と限界、色素沈着などのリスク、費用、評価時期を確認しましょう。活動性のニキビがある場合は、その治療も医師に相談してください。

参考・出典

日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf

マイクロニードリング単独療法のシステマティックレビュー・メタアナリシス(Aesthetic Plast Surg, 2022) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35426044/

マイクロニードリング併用療法のネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res, 2024) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39110247/

フラクショナル炭酸ガスレーザーのメタアナリシス(Dermatol Ther, 2021) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/

厚生労働省 医療広告等ガイドライン https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf

FDA・Microneedling Devices