頭頂部・つむじの薄毛はAGA?治療の種類と効果が出るまでの期間を解説
写真を撮られて、自分では見えない頭頂部の状態に気づいたという方は少なくありません。
つむじ周辺は鏡で確認しにくく、変化に気づくのが遅れやすい部位です。
この記事では、頭頂部の薄毛にAGA治療が有効かどうか、どのような治療があるのか、効果を判定するまでにどのくらいかかるのかを整理します。
この記事の要約
- 頭頂部の薄毛は男性型脱毛症によることが多い一方、自己判断はできず診断が前提になります。
- AGAの薬物療法は進行を抑えることが中心で、元の状態に戻すことを保証する治療ではありません。
- 内服薬、外用薬、自毛植毛は目的も体への負担も異なり、ガイドラインの評価も別々です。
- 効果の判定には継続が必要で、ガイドラインでは6か月程度が目安として示されています。
- AGA治療は自由診療のため、継続を前提とした総額と解約条件の確認が欠かせません。
頭頂部の薄毛にAGA治療は有効か
頭頂部やつむじ周辺の薄毛は、男性型脱毛症(AGA)によるものであることが多いとされます。ただし、見た目だけで自分で決めることはできず、治療を始めるには診断が前提になります。
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、AGAについて、毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなる現象と説明されています。頭頂部の薄毛は、この変化があらわれた状態の一つと考えられます。
一方で、AGAの薬物療法は進行を抑えることが中心であり、完全に元へ戻すことを保証する治療ではありません。どこまでを目標にするのかを最初に共有しておくと、途中で判断に迷いにくくなります。
頭頂部の薄毛が進む仕組み
なぜ頭頂部で変化が起こるのかを知っておくと、治療の目的も理解しやすくなります。ここでは専門用語を最小限にして整理します。
DHTと毛周期の関係
髪には、伸びる時期(成長期)と、伸びずに抜け落ちる準備に入る時期があり、これを繰り返しています。これを毛周期と呼びます。
日本皮膚科学会のガイドラインによると、前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包では、毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンがII型5α還元酵素の働きによって、より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。DHTが結合した男性ホルモン受容体は、毛母細胞の増殖を抑える方向に働き、成長期が短くなることが報告されています。
成長期が短くなると、毛は十分に太く長く育つ前に抜けてしまいます。これが繰り返されることで、太い毛が細く短い毛へ置き換わっていきます。AGA治療の内服薬は、この流れの手前にあるDHTの産生を抑えることを目的としています。
頭頂部に変化が出やすいとされる理由
同ガイドラインでは、男性ホルモン感受性毛包として前頭部と頭頂部が並べて挙げられています。つまり、頭頂部だけが特別に影響を受けやすいと示されているわけではありません。
日本で広く使われている分類として、Norwoodの分類に高島分類の頭頂部が薄くなるII vertexを加えたものがあると同ガイドラインに記載されています。頭頂部から進むパターンが分類として位置づけられているという意味であり、部位ごとの進みやすさを数値で示すものではありません。
また、「頭頂部は薬が効きやすい」という説明もよく見かけますが、部位ごとの効果の優劣を示す記載は確認できていません。数値や断定で語られている情報を見かけたときは、根拠が示されているかを確認してください。
AGA以外の脱毛症との違い
頭頂部が薄く見える原因は、AGAだけとは限りません。原因が異なれば対応も変わるため、まず可能性を分けて考えることが大切です。
- 円形脱毛症など、境目がはっきりした形で抜ける脱毛症
- 頭皮の炎症や皮膚の病気に伴う脱毛
- 薬剤の影響や、全身の病気に伴う脱毛
- 髪型や結び方による牽引性脱毛症
- 強いストレスや体調の変化の後に起こる一時的な抜け毛
急に広い範囲で抜けた、境目がはっきりしている、頭皮に赤みやかゆみ、痛みがあるといった場合は、AGAとは別の対応が必要になることがあります。鑑別は医師が行うため、自己判断で市販品を使い続ける前に、一度診察を受けることをおすすめします。
頭頂部のAGAは自分では気づきにくい
頭頂部は、鏡を正面から見ても確認できない部位です。他の人に指摘されたり、写真を見たりして初めて気づくことが多いのはこのためです。
気づいた時点で焦る必要はありません。まずは、現在の状態を記録として残しておくことが役に立ちます。合わせ鏡を使う方法のほか、スマートフォンで真上から撮影する方法があります。撮影するときは、同じ場所、同じ明るさ、同じ髪型と分け方をそろえると、後から比べやすくなります。
月に1回など間隔を決めて撮っておくと、変化があるのか、それとも見え方の違いなのかを区別しやすくなります。毎日確認すると、その日の光や髪の乾き方に左右されて判断がぶれやすくなります。
頭頂部に用いられる主なAGA治療
AGAに対して行われる治療は、目的も体への負担も異なる複数の手段に分かれます。まずは全体像を整理します。
| 治療法 | 目的・位置づけ | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 内服薬 | 進行に関わるDHTの産生を抑える | 対象が男性に限られ、禁忌がある |
| 外用薬 | 毛が育つ側に働きかける | 塗った部位の皮膚症状が報告されている |
| 自毛植毛 | 自分の毛を移植する外科的な治療 | 手術に伴う経過と負担がある |
日本皮膚科学会のガイドラインでは、内服薬と外用薬はA、自毛植毛術は男性型脱毛症でBとされ、人工毛植毛術はDとされています。
推奨度は治療ごとに別々のクリニカルクエスチョンで評価されています。自毛植毛の評価を薬剤の評価として読み替えることはできません。説明を受ける際は、どの治療についての話なのかを確認しながら聞くと、比較がぶれにくくなります。
内服薬で行う治療
内服薬として用いられるのは、フィナステリドとデュタステリドです。どちらもDHTの産生を抑える薬で、日本皮膚科学会のガイドラインでは男性型脱毛症に対していずれも推奨度Aとされています。
フィナステリドを有効成分とするプロペシア錠は、男性における男性型脱毛症の進行遅延を効能・効果として承認されています。発毛そのものを保証する記載ではない点に注意が必要です。デュタステリドについては、同じ成分でも前立腺肥大症を効能とする製剤が別に存在するため、処方された薬の販売名を確認しておくとよいでしょう。
いずれも国内では男性の男性型脱毛症を対象として承認されており、女性および20歳未満は対象に含まれません。妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与は禁忌とされています。薬剤ごとの詳しい比較は、別の記事で解説しています。
外用薬で行う治療
外用薬としては、ミノキシジルを配合した製剤が用いられます。同ガイドラインでは、男性型脱毛症には5%のミノキシジル外用を行うよう強く勧めるとされ、推奨度Aとされています。
一方、ミノキシジルの内服については扱いがまったく異なります。同ガイドラインでは、内服の有用性に関する臨床試験が実施されていないこと、日本では降圧剤としても認可されていないこと、男性型脱毛症の治療薬として認可されている国はないことを挙げ、推奨度Dとして行うべきではないとしています。
内服のミノキシジルを用いる場合は、国内で承認されていない医薬品の使用にあたり、自由診療となります。健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。外用薬について示されている情報を、そのまま内服薬に当てはめることはできません。
自毛植毛という選択肢
自毛植毛は、自分の後頭部などから毛包を採取し、薄くなった部分へ移植する外科的な治療です。薬物療法とは目的も体への負担も異なります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、内服薬や外用薬による効果が十分でない症例に対して、他に手段がない状況において、十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限り勧めるとされています。誰にでも最初から勧められる治療ではないという位置づけです。
手術であるため、毛を採取したドナー部の経過、術後の腫れや痛み、日常生活への影響を考える必要があります。移植した周囲の毛が一時的に抜けるショックロスと呼ばれる現象が起こることもあります。同ガイドラインには生着率に関する記載もありますが、条件によって結果は変わるため、単一の固定値として受け取らないでください。
なお、人工毛植毛術については、有害事象の発生を看過できないとして推奨度Dとされ、原則として行うべきではないとされています。自毛植毛と混同しないよう注意してください。
AGA治療の効果が分かるまでの期間と判定
AGA治療は、始めてすぐに結果が分かるものではありません。判定には、決められた方法で一定期間続けることが前提になります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、フィナステリドについて、少なくとも6か月程度は内服を継続して効果を確認すべきとされています。デュタステリドの臨床試験も6か月や52週といった期間で評価されており、短期間で判断できる治療ではありません。
飲み始めの時期に一時的に抜け毛が増えたように感じることがあります。不安になりやすい時期ですが、自己判断で中止すると、その後の経過を確かめられなくなります。気になる場合は、やめる前に相談してください。
頭頂部は自分では見えないため、写真による記録がとくに役立ちます。開始前に真上から撮影し、その後は同じ条件で撮り足していくと、診察の際にも経過を共有しやすくなります。
AGA治療の副作用と使用上の注意
利点だけでなく、報告されている副作用も知ったうえで判断することが大切です。内服薬と外用薬に分けて整理します。
内服薬については、性機能に関する症状が報告されています。デュタステリドでは、ガイドラインが引用する国際臨床試験でリビドー減少3.3%、インポテンツ5.4%、射精障害3.3%という有害事象の頻度が報告されており、市販後調査ではこれより低い数値も示されています。フィナステリドでは、重要な副作用として、頻度は明らかではないものの、まれに肝機能障害があらわれることがあるとされています。
また、服用中に前立腺癌の診断を目的として血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すべきとされています。健康診断や泌尿器科でPSA検査を受けるときは、服用していることを必ず申告してください。
外用薬については、かゆみ、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などが報告されています。塗った部位に症状が出た場合は、量を増やさず、使用を中断して相談してください。
AGA治療を受けられないケース
対象や体調によっては、治療を受けられない場合や、慎重な判断が必要になる場合があります。次のような状況では必ず申告してください。
- 女性、妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性
- 20歳未満の方
- 肝機能に指摘を受けたことがある方
- 前立腺の検査や治療を受けている方
- 心臓や血圧に関わる病気で治療を受けている方
- 他に服用中の薬やサプリメントがある方
これらに当てはまるからといって一律に治療を受けられないわけではなく、当てはまらないから問題ないと自分で確定できるものでもありません。処方された薬を本人以外が服用することのないよう、家庭内での保管にも注意してください。
AGA治療の費用と継続についての考え方
AGAの治療は自由診療にあたり、公的医療保険は使えません。料金は医療機関ごとに設定されているため、内容と条件をそろえて比べる必要があります。
確認したいのは、1か月あたりの薬剤費だけでなく、診察料や検査費が別にかかるか、まとめて処方を受ける場合に条件があるか、途中でやめた場合の扱いはどうなるかといった点です。ガイドラインには、内服を中止すると効果は消失すると記載されており、続けることを前提とした見通しが必要になります。
国民生活センターは、美容医療に関する相談が増えているとして、その場で契約を決めずに検討すること、リスクや副作用の説明を受けること、総額を確認することを呼びかけています。カウンセリング当日に高額な契約を決めず、総額と解約条件を書面で確認してから判断してください。
頭頂部の薄毛で受診を検討したほうがよい状態
気になり始めた段階で必ず受診が必要になるわけではありません。次のような状態があるときは、相談を検討する目安になります。
- 以前の写真と比べて、地肌が透けて見える範囲が広がっている
- 細く短い毛が増えていると感じる
- 短期間に抜け毛が急に増えた
- 境目がはっきりした形で抜けている部分がある
- 頭皮に赤み、かゆみ、痛みがある
- 市販品を使い続けても変化が分からない
頭頂部は自分で確認しにくいため、気づいたときには時間が経っていることがあります。それでも、原因を確かめてから方針を決めるほうが、結果として選択肢を整理しやすくなります。受診したからといって、その場で治療を始めなければならないわけではありません。
AGA治療に関するよくある質問
頭頂部のAGA治療について、本文で触れきれなかった疑問をまとめました。個別の判断は診察によって変わります。
頭頂部の薄毛は市販薬で改善できますか?
市販の外用薬には、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aとされているミノキシジルを配合した製剤があります。ただし、まず頭頂部の変化がAGAによるものかを確かめないと、選び方そのものが定まりません。使い続けても変化が分からない場合は、一度診察を受けて原因を確認することをおすすめします。
つむじが目立つのは薄毛のサインですか?
つむじ周辺は毛が渦を描くように生えているため、もともと地肌が見えやすい部位です。目立って見えるからといって、すぐに薄毛とは限りません。判断の手がかりになるのは、以前と比べて範囲が広がっているか、細く短い毛が増えているかです。写真を残して比べてみてください。
治療をやめるとどうなりますか?
日本皮膚科学会のガイドラインには、内服を中止すると効果は消失すると記載されています。中止後にどのくらいの期間で、どの程度変化するかは人によって異なります。費用や副作用を理由に中止を考えている場合も、まず医師に相談し、経過の見方を決めておくとよいでしょう。
まとめ
頭頂部の薄毛はAGAによるものであることが多いとされますが、円形脱毛症や頭皮の炎症など別の原因が隠れていることもあります。見た目だけで判断せず、診察で原因を確認することが治療の出発点になります。AGAの薬物療法は、進行を抑えることを中心とした治療です。
見落としやすいのは、内服薬、外用薬、自毛植毛が別々に評価されていること、そして効果の判定に一定の期間が必要なことです。頭頂部は自分で確認しにくいため、真上から撮った写真を残しておくと経過を共有しやすくなります。
AGA治療は自由診療であり、続けることを前提とした費用の見通しが必要です。その場で契約を決めず、総額と解約条件を確認したうえで相談してください。
参考・出典
日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
PMDA 医療用医薬品情報 プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg(フィナステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900XF1021_3
PMDA 医療用医薬品情報 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg(デュタステリド) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900AM1023_1
国民生活センター 増加する美容医療サービスのトラブル(2023年8月30日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230830_1.html