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M字の薄毛にAGA治療は有効?治療法の種類と効果の目安を解説

生え際がM字に後退してきたとき、治療で変えられるのかは気になるところです。

AGA治療は、進行を抑えることを中心とした治療で、受ける前に効果の位置づけと副作用を知っておく必要があります。

この記事では、薄毛が進む仕組み、治療法の違い、効果判定の時期、注意点を整理します。

この記事の要約

M字の薄毛にAGA治療は有効か

生え際がM字型に後退している場合、その背景として男性型脱毛症(AGA)が関わっていることが多いとされています。ただし、見た目だけで判断できるものではなく、他の脱毛症との区別も含めて診察が前提になります。

AGA治療で中心になるのは、進行を抑えることです。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも、複数の治療法が評価されていますが、いずれも元の状態へ完全に戻すことを保証する治療ではありません。この記事では「治る」「完治」といった表現は使いません。

効果の現れ方には部位による差があるという説明もありますが、生え際が頭頂部より効果を得にくいと断定できる記載は、今回確認した範囲では特定できませんでした。そのため、この記事では部位による優劣を断定しません。

なお、同ガイドラインによると、日本人男性における男性型脱毛症の発症頻度は全年齢平均で約30%とされ、20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%と年齢とともに高くなると報告されています。

M字型に薄毛が進む仕組み

なぜ生え際から後退するのかを知っておくと、治療の目的も理解しやすくなります。ここでは専門用語を短く補いながら整理します。

DHTが毛周期を短くする

毛には、伸びていく成長期、成長が止まる退行期、抜け落ちて次を待つ休止期という周期があります。これを毛周期といいます。

ガイドラインによると、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に運ばれた男性ホルモンのテストステロンは、II型5α還元酵素という酵素の働きにより、より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)へ変換されます。DHTが結合した男性ホルモン受容体は、TGF-βやDKK1などを誘導し、毛をつくる細胞の増殖が抑えられて成長期が短くなると報告されています。

成長期が短くなると、毛は太く長く育ちきる前に抜けてしまいます。その結果、細く短い毛が増えていく軟毛化が進み、最終的には毛が皮膚の表面に現れなくなっていきます。

生え際や前頭部に出やすい理由

同じ男性ホルモンでも、体の部位によって働き方が異なります。ガイドラインでは、ひげではDHTが結合した受容体が細胞成長因子などを誘導して成長期が延長するのに対し、前頭部や頭頂部の男性ホルモン感受性の毛包では逆に軟毛化が起こると説明されています。

つまり、生え際が後退する一方でひげは濃くなるという一見矛盾した変化も、同じホルモンの作用によって説明できます。M字型の後退が起こりやすいのは、生え際が男性ホルモンの影響を受けやすい部位に含まれるためです。

進行度の見方

進行の程度を整理するための分類があります。ガイドラインによると、日本では緒方の分類、欧米ではNorwoodの分類が知られており、現在は頭頂部が薄くなる型を加えた分類が広く使用されているとされています。

ただし、こうした分類は診療のなかで用いられるものです。写真と見比べて自分で重症度を確定できるものではありません。生え際の形には個人差があり、もともとの生え際が高い場合もあります。

最終的な判断は、問診で家族歴や経過を確認し、視診や拡大鏡などを用いた診察によって行われます。気になる場合は、自分で結論を出す前に受診してください。

AGA以外の脱毛症との違い

生え際が後退して見える状態が、すべて男性型脱毛症とは限りません。他の原因が関わっている場合、治療の方向も変わります。

ガイドラインでは、鑑別が必要なものとして、ゆっくりと頭髪が抜けて頭部全体が疎になる円形脱毛症の亜型、慢性休止期脱毛、膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛、貧血、急激なダイエット、その他の消耗性疾患に伴う脱毛、薬剤による脱毛などが挙げられています。

このほか、髪を強く引っ張る髪型を続けたことによる牽引性脱毛症のように、生活習慣が関わる脱毛もあります。原因によって対応が異なるため、見た目だけで自己診断しないことが大切です。

鑑別は医師が行います。急に抜け毛が増えた、脱毛の範囲が円形にはっきりしている、他の体調変化を伴うといった場合は、市販品での対処を続けるより先に受診してください。

M字に用いられる主なAGA治療

治療は、内服薬、外用薬、手術に分かれます。目的も負担も異なるため、まず全体像を整理します。表の推奨度は、日本皮膚科学会ガイドライン2017年版における男性型脱毛症についての評価です。

治療法 目的・位置づけ 主な注意点
フィナステリド内服 DHTへの変換に関わる酵素を阻害する。推奨度A 女性および20歳未満は対象外。妊婦等は禁忌
デュタステリド内服 同じく酵素を阻害する内服薬。推奨度A 女性、小児等、重度の肝機能障害のある人は禁忌
ミノキシジル外用 頭皮へ塗布して用いる外用薬。推奨度A 国内では一般用医薬品として販売。循環器系の副作用に注意
自毛植毛 自分の毛髪を移植する外科的な治療。推奨度B 薬物療法で効果が十分でない場合に検討される

推奨度は男性型脱毛症についての評価であり、女性型脱毛症では異なります。人工毛植毛術は推奨度Dとされています。

フィナステリド内服

フィナステリドは、テストステロンをDHTへ変換するII型5α還元酵素を阻害する内服薬です。国内で承認されている製剤の電子添文では、効能又は効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」とされています。発毛を保証する表現ではない点に注意が必要です。

用法は、男性成人にフィナステリドとして0.2mgを1日1回経口投与し、必要に応じて1日1mgを上限に増量できるとされています。効能又は効果に関連する注意として、男性型脱毛症のみの適応であること、20歳未満での安全性及び有効性は確立していないこと、女性に対する適応はないことが記載されています。

禁忌は、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者と、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性です。妊婦が服用すると男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがあるとされ、本剤を分割・粉砕しないこと、粉砕・破損した場合に妊婦等は取り扱わないことが記載されています。家庭内に該当する方がいる場合は、保管方法にも注意してください。

有効性については、ガイドラインで、日本人男性414名を対象とした48週間のランダム化比較試験において、頭頂部の写真撮影による効果判定で1mg投与群の58%に軽度改善以上の効果がみられたと紹介されています。評価が頭頂部の写真によるものである点も含めて理解しておくとよいでしょう。

デュタステリド内服

デュタステリドも5α還元酵素を阻害する内服薬ですが、同じ成分でも前立腺肥大症を効能とする製剤があるため、製剤ごとの確認が必要です。男性型脱毛症を効能とする製剤の電子添文では、効能又は効果は「男性における男性型脱毛症」とされています。

用法は、男性成人に0.1mgを1日1回経口投与し、必要に応じて0.5mgを1日1回とされています。効能又は効果に関連する注意として、男性型脱毛症のみの適応であること、20歳未満での安全性及び有効性は確立していないことが記載されています。

禁忌は、本剤の成分及び他の5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者、女性、小児等、重度の肝機能障害のある患者です。また、本剤は経皮吸収されるため、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと、触れた場合は直ちに石鹸と水で洗うことが記載されています。

このほか、血清前立腺特異抗原(PSA)の値に影響を与えるため、前立腺の検査を受ける際は本剤の服用を検査担当の医師へ伝えるよう患者を指導することとされています。健康診断などで検査を受ける機会がある場合は、服用していることを伝えてください。

ミノキシジル外用

ミノキシジルの外用薬は、頭皮へ直接塗布して用います。ガイドラインでは、ミノキシジルの外用は推奨度Aとされています。国内では一般用医薬品として販売されている製品があり、厚生労働省の資料では第1類医薬品に区分され、効能・効果は「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防」とされています。

同じ資料では、循環器系の副作用が最も注意すべき事項であり、薬剤師による副作用情報の提供の徹底など、現在の安全対策を継続実施することが適当とされています。市販されているからといって注意が不要になるわけではありません。

ここで重要なのが、外用薬と内服薬を混同しないことです。ガイドラインでは、ミノキシジルの内服は推奨度Dとされ、行うべきではないと明記されています。ミノキシジルは降圧剤として開発されましたが国内では認可されておらず、男性型脱毛症に対する治療薬として認可されている国もないと説明されています。

そのため、内服のミノキシジルを用いる場合は、国内で承認された効能に基づく治療ではなく、自由診療における適応外の使用として扱われることになります。この場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。ガイドラインでは、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載があることも紹介されています。

自毛植毛

自毛植毛は、後頭部など男性ホルモンの影響を受けにくい部位から毛髪を採取し、薄くなった部位へ移植する外科的な治療です。薬を続ける治療とは、目的も体への負担も異なります。

ガイドラインでは、自毛植毛術は男性型脱毛症に対して推奨度Bとされています。ただし推奨文では、フィナステリド及びデュタステリド内服やミノキシジル外用による効果が十分でない症例に対して、他に手段がない状況において、十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限る、という条件が示されています。最初の選択肢として位置づけられているわけではありません。

手術である以上、毛を採取する部位への負担、術後の経過、移植した部位以外の毛が一時的に抜けるショックロス、日常生活へ戻るまでの期間といった検討事項があります。仕上がりは移植する本数やデザインによっても変わります。

生着率について、ガイドラインでは、ある著書で複数の報告を検討した結果として高い生着率が得られると記載されていることが紹介されていますが、これを一律の数値として保証することはできません。なお、人工毛植毛術については、有害事象の発生を看過できないとして、原則として行うべきではないとされています。

AGA治療の効果が分かるまでの期間と判定

AGA治療は、始めてすぐに変化が分かるものではありません。判定には一定の期間が必要です。

フィナステリド製剤の電子添文では、3か月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6か月の連日投与が必要であり、効果を持続させるためには継続的に服用することとされています。また、6か月以上投与しても進行遅延がみられない場合には投薬を中止することとされています。

デュタステリド製剤の電子添文でも、投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには通常6か月間の治療が必要であり、6か月以上投与しても改善がみられない場合には投薬を中止することとされています。6か月以上投与する場合も、定期的に効果を確認し継続の必要性を検討することとされています。

治療開始後に一時的な抜け毛が増えたと感じることがあるという説明を目にすることがあります。ただし、必ず起こるものでも、必ず治まるものでもなく、頻度や期間を示す記載は今回確認した電子添文およびガイドラインでは特定できませんでした。気になる変化があっても自己判断で中止せず、まずは処方を受けた医療機関へ相談してください。

AGA治療の副作用と使用上の注意

利点だけでなく、報告されている副作用も確認しておく必要があります。ここでは電子添文の記載に沿って整理します。

内服薬で報告されている副作用

フィナステリド製剤の電子添文では、重大な副作用として肝機能障害が挙げられています。その他の副作用としては、リビドー減退、勃起機能不全、射精障害、精液量減少などの生殖器に関する症状、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまいなどが記載されています。

同じ電子添文では、リビドー減退、勃起機能不全、射精障害について、市販後において投与中止後も持続したとの報告があると記載されています。また、本剤との因果関係は明らかではないとしたうえで、自殺念慮、自殺企図、自殺既遂が報告されているとされ、そうした状態があらわれた場合は服用を中止し、速やかに医師等へ連絡するよう患者に指導することとされています。

デュタステリド製剤の電子添文では、重大な副作用として肝機能障害と黄疸が挙げられています。その他の副作用としては、性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)、乳房障害、頭痛、抑うつ気分、発疹、脱毛症(主に体毛脱落)、多毛症などが記載されています。

いずれの薬剤も、自己判断で増量したり中止したりしないでください。異常を感じた場合は服用を続ける前に相談することが大切です。

外用薬で起こり得る症状

ミノキシジル外用薬では、塗布した部位の症状が中心になります。頭皮のかゆみ、発赤、かぶれ、フケの増加などが挙げられます。

厚生労働省の資料では、ミノキシジル外用薬について循環器系の副作用が最も注意すべき事項とされています。動悸や胸の違和感、むくみなど、塗布した部位以外の症状が出た場合も、そのままにせず相談してください。

一般用医薬品として購入する場合も、添付されている説明書を読み、使用してはいけない人に該当しないかを確認したうえで使用してください。判断に迷う場合は薬剤師へ相談できます。

治療開始後の一時的な抜け毛

治療を始めてしばらくの間に、抜け毛が増えたように感じることがあります。毛周期に働きかける治療のため、生え替わりの過程で一時的に変化を感じる場合があると説明されることがあります。

ただし、この現象がどの程度の頻度で起こるのか、どのくらいの期間続くのかを示す記載は、今回確認した資料では特定できませんでした。そのため、必ず起こるとも、一定期間で必ず治まるとも書けません。

不安を感じたときに大切なのは、自己判断で中止しないことです。抜け毛の量や期間、他に気になる症状があるかを記録して、次の診察で伝えてください。

AGA治療を受けられないケース

薬剤ごとに、投与してはいけない対象が電子添文で定められています。該当する場合や判断に迷う場合は、必ず医師へ申告してください。

薬に触れることについての注意もあります。フィナステリド製剤は分割・粉砕せず、粉砕・破損した場合に妊婦等は取り扱わないこととされています。デュタステリド製剤は経皮吸収されるため、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこととされています。家族と同居している場合は、保管場所にも配慮してください。

AGA治療の費用と継続についての考え方

AGA治療は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。費用は各医療機関が設定するため、条件を確認したうえで比べる必要があります。

続けることが前提になる点も押さえておきたいところです。フィナステリド製剤の電子添文では、効果を持続させるためには継続的に服用することとされています。中止した場合は、進行を抑える働きも失われることになります。

受診を検討したほうがよい状態

迷っている段階でも、次のような変化がある場合は一度診察を受けておくと、判断の材料が増えます。

とくに、抜け毛の増え方が急である場合や、他の体調変化を伴う場合は、男性型脱毛症以外の原因が関わっている可能性があります。市販品での対処を続けるより、まず原因を確認するほうが結果的に近道になります。

受診の際は、いつ頃から変化に気づいたか、家族に同じような経過の人がいるか、服用中の薬があるかを整理していくと、診察がスムーズになります。

AGA治療に関するよくある質問

M字の薄毛とAGA治療について、ここまでで触れきれなかった疑問をまとめます。判断に迷う場合は、医療機関へ相談してください。

M字の薄毛は自力で改善できますか?

生活習慣を整えることで薄毛の進行を止められると示す根拠は確認できませんでした。男性型脱毛症は男性ホルモンと遺伝が関わるとされており、自己流の対処だけで対応できるとは限りません。原因を確認するためにも、まず診察を受けることをおすすめします。

育毛剤だけでM字は変わりますか?

製品によって位置づけが異なります。医薬品として承認されている外用薬と、それ以外の製品では効能の扱いが違います。使用している製品の表示を確認し、変化が見られない場合は自己判断で続けるより、診察で治療の選択肢を相談してください。

治療をやめるとどうなりますか?

フィナステリド製剤の電子添文では、効果を持続させるためには継続的に服用することとされています。中止した場合、進行を抑える働きも失われることになります。中止を考えている場合は、自己判断ではなく処方を受けた医師へ相談してください。

まとめ

M字型の生え際の後退には男性型脱毛症が関わっていることが多いものの、他の脱毛症との区別も含めて診察が前提になります。AGA治療の中心は進行を抑えることであり、元の状態へ戻すことを保証する治療ではありません。内服薬、外用薬、自毛植毛は目的も負担も異なる治療です。
判断で見落としやすいのは、効果判定までの期間と継続性です。電子添文では、効果の評価に通常6か月程度の継続が必要とされ、効果を持続させるには服用を続けることとされています。性機能に関する症状や肝機能障害などの副作用も報告されています。
女性や20歳未満、妊娠の可能性がある方など、対象とならないケースも定められています。自己判断で薬を選ばず、診察で状態を確認したうえで相談してください。

参考・出典

日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf

PMDA プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/181615_249900XF1021_3_03

PMDA ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340278_249900AM1023_1_07

厚生労働省 ミノキシジルのリスク区分について https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000023431_1.pdf