ニキビ跡は何回の治療で変わる?種類別に回数・期間の目安と限界を解説
ニキビ跡の治療を考えるとき、何回通えばよいのかは最初に気になる点です。
ただし、跡の種類や深さ、選ぶ治療法によって必要な回数は大きく変わり、一律の数字を示すことはできません。
この記事では、回数が決まらない理由を整理したうえで、跡のタイプ別に何を基準に考えればよいのかをまとめます。
この記事の要約
- ニキビ跡の治療回数は、跡の種類、深さ、範囲、治療法、機器の設定、肌質によって変わります。
- 赤みや色素沈着と、皮膚がへこんだ陥凹性瘢痕とでは、治療の方針も変化の出方も異なります。
- 国内のガイドラインは、現時点で萎縮性瘢痕に推奨できる治療法はないとしており、回数の保証はできません。
- 跡の治療と並行して、新しい炎症性のニキビを抑える治療を続けることが必要になる場合があります。
- 回数が増えるほど費用とダウンタイムが積み上がるため、総額と通院の負担も含めて計画します。
ニキビ跡の治療回数が一律に決まらない理由
「何回で治るか」に一つの答えを示せないのは、ニキビ跡という言葉が複数の異なる状態をまとめて指しているからです。
同じ人の顔の中でも、赤みが残っている部分、色が残っている部分、皮膚がへこんでいる部分が混ざっていることは珍しくありません。
- 跡の種類。赤み、色素沈着、陥凹、隆起のどれが主なのか
- 跡の深さと範囲。浅く広いのか、深く点在しているのか
- 選ぶ治療法。外用薬なのか、機器を用いた施術なのか
- 機器の種類と出力の設定。同じ施術名でも肌に加わる負担が変わる
- 肌質と現在の状態。乾燥、日焼け、炎症の有無
- 新しいニキビができ続けているかどうか
これらの条件が違えば、必要な回数も間隔も変わります。「◯回で治る」という説明を見かけたときは、どの跡に対して、どの治療で、どの程度の変化を指しているのかを確認してください。
ニキビ跡の種類と変化しやすさの違い
まず区別したいのは、今も炎症が続いている活動性のニキビと、炎症が治まった後に残った跡です。
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023は、痤瘡の瘢痕を陥凹(萎縮性瘢痕)、隆起(肥厚性瘢痕とケロイド)、色素沈着に分けて整理しています。
| 跡の状態 | 見え方 | 変化のしやすさに関わる要素 |
|---|---|---|
| 赤み | 炎症が治まった後に赤みが残る | 時間の経過とともに落ち着くことがある |
| 色素沈着 | 茶色っぽい色が残る | 紫外線対策の有無が経過に関わる |
| 陥凹(萎縮性瘢痕) | 皮膚がへこんで見える | 深さと形によって方針が変わり、時間だけでは戻りにくい |
| 隆起(肥厚性瘢痕・ケロイド) | 盛り上がって硬くなる | 陥凹とは治療方針が異なり、体質も関わる |
見た目が似ていても状態は異なります。自分で種類を決めつけず、診察で確認してください。
赤み(炎症後紅斑)
炎症が治まった直後に残る赤みは、皮膚の中の炎症の名残として現れます。時間の経過とともに落ち着いていくことがあり、跡の中では比較的変化がみられやすい状態とされています。
ガイドラインでは、炎症性皮疹や炎症後の紅斑に対するビタミンC外用の推奨度をC2としており、標準的に推奨される治療とは位置づけられていません。
赤みが長く続く場合は、新しい炎症が繰り返し起きていないかを含めて診察を受けてください。
色素沈着(炎症後色素沈着)
炎症の後に茶色っぽい色が残る状態です。紫外線を浴びることで濃くなったり、消えるまでの期間が延びたりすることがあるため、日焼け対策が経過に関わります。
色素沈着は、機器を用いた施術の後にも起こり得る副作用です。跡を治療するつもりで受けた施術によって、新たな色素沈着が生じることもあるため、施術後の紫外線対策は治療の一部として考えてください。
陥凹性瘢痕(クレーター)
皮膚がへこんだ状態で、深さや形が一つひとつ異なります。時間の経過だけで元に戻ることは難しく、跡の中では最も回数と期間を要しやすい状態です。
ガイドラインは、萎縮性瘢痕へのケミカルピーリングを推奨度C2としたうえで、現時点で萎縮性瘢痕に推奨できる治療法はないと明記しています。充填剤注射も推奨度C2です。
回数を重ねれば必ず平らになるという前提では考えられないため、どこまでの変化を目標にするかを診察で共有しておくことが大切です。
肥厚性瘢痕・ケロイド
皮膚が盛り上がって硬くなる状態で、陥凹とは治療の方針がまったく異なります。ガイドラインでは、肥厚性瘢痕へのステロイド局所注射が推奨度C1、外科的処置やトラニラスト内服が推奨度C2とされています。
注意したいのは、陥凹に用いられる施術の中に、隆起した瘢痕では状態を悪化させ得るものがあることです。
ケロイドを生じやすい体質は、施術を受けられるかどうかの判断にも関わります。過去に傷跡が盛り上がった経験がある場合は、必ず診察時に伝えてください。
ニキビ跡の治療法別に見た回数と間隔
治療法によって、1回ごとの間隔と、変化を確認するまでの期間が変わります。以下は研究や国内ガイドラインで確認できた範囲の整理であり、特定の回数を推奨するものではありません。
外用薬・内服薬
外用薬や内服薬は、跡そのものを平らにするためというより、新しい炎症性のニキビを抑え、これ以上跡を増やさないために使われることが中心です。回数ではなく、継続する期間で考える治療になります。
ガイドラインでは、炎症に積極的な治療を行う急性炎症期を最大3ヶ月間を目安とし、その後は維持期の治療へ移行するとしています。維持期にはアダパレン0.1%ゲルが推奨度Aとされる一方、再発予防のために抗菌薬を長期に続けることは耐性菌の出現につながるため避けるべきとされています。
ケミカルピーリング
薬剤で皮膚の表面に作用させる施術で、間隔を空けて繰り返し行われます。ガイドラインは、炎症性皮疹や面皰に対しては標準治療が無効あるいは実施できない場合の選択肢とし、萎縮性瘢痕に対しては推奨度C2としています。
同ガイドラインが引用した海外の無作為化比較試験では、23人中7人が脱落し、4人に長期の紅斑や落屑が観察されたことも記されています。刺激症状が出やすい施術であり、続けられるかどうかも回数を考えるうえでの条件になります。
マイクロニードリング(ダーマペン)
極細の針で皮膚に微細な穴を開ける施術です。マイクロニードリング単独療法を対象としたシステマティックレビュー・メタアナリシス(Aesthetic Plast Surg 2022)では、無作為化比較試験12件、414人が解析され、高周波を併用しない方法で瘢痕の客観的な評価に有意な改善が示されたと報告されています。
陥凹性ニキビ跡を対象としたネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res 2024)では、24件・1,546人の解析から、単独よりもケミカルピーリングなどと組み合わせた方が良好だったと報告されています。
ただし、これらの研究は施術の回数、間隔、評価方法がそろっておらず、そのまま国内の推奨回数として扱えるものではありません。
フラクショナルレーザー
点状に熱を加える方式の施術です。フラクショナルCO2レーザーを対象としたメタアナリシス(Dermatol Ther 2021)では、8件の研究を解析した結果、CO2レーザーと非CO2レーザーとの間に、医師による評価、患者による評価、炎症後色素沈着の発生のいずれでも有意差は認められなかったと報告されています。
つまり、機器名だけで必要な回数を決めることはできません。国内ガイドラインでも痤瘡瘢痕へのレーザー治療は推奨度C2とされており、回数の目安を示す根拠は限られています。
ニキビ跡に必要な回数を左右するポイント
同じ治療を選んでも、条件によって必要な回数は変わります。次の点は、診察で確認しておくと計画を立てやすくなります。
- 跡の深さと範囲。浅い跡と深い跡が混在していないか
- 跡ができてからの経過年数
- 肌の乾燥やバリア機能の状態
- 日焼けの有無と、今後の紫外線対策を続けられるか
- 施術の間隔を守って通えるか
- 活動性のニキビが今も出ているかどうか
- 使用中の外用薬や内服薬
特に見落とされやすいのが、間隔を守れるかどうかです。肌の回復を待たずに次の施術を受けると、負担が重なって症状が長引くことがあります。予定が立てにくい時期は、あらかじめ伝えておくと計画を調整しやすくなります。
ニキビ跡治療で変化を感じるまでの期間の目安
施術を受けた直後に見た目が変わるわけではありません。多くの治療は、皮膚が入れ替わっていく過程に働きかけるため、変化は段階的に現れます。施術直後は赤みや腫れで、かえって目立って見えることもあります。
ガイドラインが引用した左右比較試験では、フラクショナルレーザーによる萎縮性瘢痕の治療について、治療終了1ヶ月後にテクスチャーと萎縮スコアの有意な低下が認められ、6ヶ月後まで効果が持続していたと記されています。ただしこれは特定の条件下での報告であり、誰にでも同じ期間で同じ変化が起こることを示すものではありません。
経過を判断するときは、鏡を見た印象だけに頼らず、同じ条件で撮影した写真を残しておくと比べやすくなります。判断を急がず、次の施術までの間隔を守ることも大切です。
ニキビ跡治療を受ける前に知りたい注意点
回数を数える前に確認しておきたいことがあります。思うように変化が出ない場合の考え方と、治療中に気をつけたい点を整理します。
回数を重ねても十分に変わらない場合
回数を続けても変化が乏しいときには、いくつかの理由が考えられます。跡の種類が治療法に合っていない、瘢痕が深く一つの方法では届いていない、活動性のニキビが続いて新しい跡が加わっている、といった可能性です。
この場合、同じ治療の回数をさらに増やすことが答えとは限りません。途中で経過を振り返り、方針を見直す相談ができるかどうかも、通院先を選ぶときの判断材料になります。変化が出ないことを自分の肌の問題として抱え込まず、医師に伝えてください。
治療中に新しいニキビを増やさないために
跡の治療を進めても、炎症性のニキビができ続けていれば、新しい跡が加わっていきます。
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、炎症が軽快した後も面皰と微小面皰に対する治療を継続し、軽快した状態を維持することが示されています。
跡の施術と、活動性のニキビに対する治療は、目的が異なる別の治療です。どちらか一方だけを続けるのではなく、今の症状に対して両方が必要かどうかを診察で確認してください。
副作用・ダウンタイムと費用
機器を用いた施術には、赤み、腫れ、ヒリつき、かさぶた、炎症後色素沈着、感染、瘢痕化などが起こることがあります。回数を重ねるということは、これらの負担を繰り返し受けることでもあります。
跡に対する施術は自由診療で、費用は全額自己負担です。回数が増えれば総額も増え、そのたびにダウンタイムの期間が必要になります。
1回あたりの料金ではなく、想定される回数、間隔、追加費用を含めた総額と、生活への影響を合わせて考えてください。
ニキビ跡治療に関するよくある質問
回数や経過について、本文で扱いきれなかった疑問をまとめます。個別の判断は診察で行われます。
ニキビ跡は自然に消えますか?
赤みや色素沈着は、時間の経過とともに落ち着いていくことがあります。
一方、皮膚がへこんだ陥凹性瘢痕は、組織が失われた状態のため、時間だけで元に戻ることは難しいとされています。
どちらに当たるかは見た目が似ていても異なるため、自己判断で様子を見続けず、一度診察を受けてください。
治療をやめると元に戻りますか?
施術によって生じた変化がすぐに戻るわけではありませんが、活動性のニキビに対する治療をやめた場合は、炎症が再び起こって新しい跡が加わることがあります。
ガイドラインでも、治療の中断によって再発を認めることが少なくないと記されています。跡の治療と、ニキビ自体の治療を分けて考えることが必要です。
まとめ
ニキビ跡が何回の治療で変わるかは、跡の種類、深さ、範囲、選ぶ治療法、機器の設定、肌の状態によって変わります。
赤みや色素沈着と、皮膚がへこんだ陥凹性瘢痕とでは方針も経過も異なるため、一律の回数を示すことはできません。
見落としやすいのは、跡の治療を進めても新しい炎症性のニキビが出ていれば跡が増えていく点です。
また国内のガイドラインは、現時点で萎縮性瘢痕に推奨できる治療法はないとしており、回数を重ねれば必ず平らになるという前提では考えられません。回数が増えるほど費用とダウンタイムも積み上がります。
まずは今ある跡がどの種類なのかを診察で確認し、どこまでの変化を目標にするのかを共有したうえで、無理なく続けられる計画を相談してください。
参考・出典
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf
マイクロニードリング単独療法のシステマティックレビュー・メタアナリシス(Aesthetic Plast Surg 2022) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35426044/
陥凹性ニキビ跡治療のネットワークメタアナリシス(Arch Dermatol Res 2024) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39110247/
フラクショナルCO2レーザーのメタアナリシス(Dermatol Ther 2021) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/
Minds 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 掲載ページ https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00827/