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心因性EDの治し方は?原因と改善へのアプローチ・受診の目安を解説

うまくいかなかった経験が頭から離れず、次も同じことが起きるのではないかと不安になる。

心因性EDと呼ばれる状態では、こうした悪循環が起きやすくなります。

この記事では、心因性EDの背景にある要因、医療機関で行われる対応、日常で見直せること、そして受診を考えたい目安を整理します。

この記事の要約

心因性EDは改善が見込める

心因性EDは、背景にある要因へ対応していくことで改善が見込まれる状態とされています。ただし、誰でも同じように良くなると保証できるものではありません。

まず押さえておきたいのは、症状の出方や状況だけを見て「これは心因性だ」と自分で決めることはできない、という点です。日本泌尿器科学会は、EDについて局所だけの疾患ではなく全身疾患の一つとしてとらえなければならないと説明しており、原因として加齢、糖尿病、肥満と運動不足、心血管疾患および高血圧、喫煙などを挙げています。心理的な要因だけに見えても、体の側の要因が重なっていることがあります。

そのため、心因性EDへの対応を考えるときも、まず体の要因が隠れていないかを確認することが出発点になります。原因が整理できれば、取れる手段も見えてきます。焦って一つの方法に飛びつくより、順を追って確かめていくほうが結果的に近道になります。

心因性EDとは

EDは英語のErectile Dysfunctionの略で、性行為に十分な勃起が得られない、または維持できない状態を指します。原因のとらえ方によって、いくつかの分類が用いられています。

心因性EDは、このうち心理的な要因が主に関わっていると考えられる状態を指す呼び方です。なお、日本性機能学会と日本泌尿器科学会が編集した「男性性機能障害診療ガイドライン2025年版」が2025年9月に発行されており、これが最新版にあたります。以前から参照されてきた「ED診療ガイドライン第3版」は旧版となるため、情報を確認する際は版に注意してください。

器質性EDとの違い

器質性EDは、血管、神経、内分泌といった体の側の要因が関わる状態を指します。日本泌尿器科学会が挙げているEDの原因には、糖尿病、心血管疾患および高血圧、慢性腎臓病と下部尿路症状、神経疾患、外傷および手術、テストステロン低下、睡眠時無呼吸症候群、医薬品の副作用などが含まれます。

同学会は、高血圧の方の41.6%、糖尿病の方の42%、高脂血症の方の20%がEDであるとするデータを示しています。持病を抱えている場合、EDが単独の悩みではなく、全身の状態と結びついている可能性があるということです。

心因性と器質性は、原因の場所が違うだけで、どちらが軽い・重いという関係ではありません。原因が一つに限られるとも限りません。

両方の要因が重なる場合

実際には、心理的な要因と身体的な要因が重なっていることがあります。たとえば、体の要因でうまくいかなかった経験が不安を生み、その不安がさらに影響するといった形です。

この場合、心理面だけに対応しても、体の側だけに対応しても、状況が変わりにくいことがあります。逆に言えば、どちらか一方に原因を決めつけないことが、対応を組み立てるうえで重要になります。

自分がどの分類に当てはまるかを、セルフチェックだけで確定することはできません。分類も含めて、診察の中で整理していくものと考えてください。

心因性EDの背景にある主な要因

心理的な要因として挙げられるものは幅があります。特定の一つが原因というより、複数が重なっていることが少なくありません。

これらは、本人の努力不足や気持ちの持ちようの問題ではありません。体調や環境が影響するのは自然なことです。原因を探す作業が自分を責める方向に向かうと、かえって状況が固定されやすくなります。

また、うまくいかなかった経験そのものが次への不安につながり、その不安がさらに影響するという循環が起きることがあります。この循環に気づけると、「自分に何か問題がある」という受け止め方から、「起きやすい状況がある」という受け止め方に切り替えやすくなります。

自分で心因性EDだと確認できる目安と限界

診断を自分で確定することはできませんが、診察のときに伝えると役立つ観察点はあります。次のような点を整理しておくとよいでしょう。

インターネット上には質問票を使ったセルフチェックもありますが、それだけで診断が確定するわけではありません。あくまで状態を言葉にするための道具であり、最終的な判断は医師が行います。

口頭で伝えにくい場合は、メモにして渡す方法もあります。話しにくさを理由に受診をためらう必要はありません。

「特定の相手や状況のときだけ症状が出る」「一人のときは変化がない」といった情報は、原因を考えるうえで手がかりになります。ただし、こうした特徴があるからといって心因性だと確定するわけではありません。手がかりとして伝える、という位置づけで整理してください。

心因性EDに関して医療機関で行われる対応

医療機関では、いきなり薬を出すのではなく、状況を確かめる流れから始まります。何が行われるかを知っておくと、受診のハードルが下がります。

まず問診で、症状の出方や経過、持病、服用中の薬、生活の状況などを確認します。次に、身体的な要因が関わっていないかを確かめるため、必要に応じて血圧の測定や血液検査などが行われることがあります。糖尿病や脂質の異常、ホルモンの状態は、EDと関わり得るためです。そのうえで、治療の選択肢が検討されます。

段階 確認される内容
問診 症状の出方と経過、持病、服用中の薬、生活の状況
身体的な確認 血圧の測定や血液検査など、必要に応じて行われるもの
治療の検討 薬物療法を含む選択肢と、続け方の相談

実際に何を行うかは、状態と医療機関の方針によって異なります。

検査は全員に同じ内容が行われるわけではなく、状況に応じて判断されます。どこを受診すればよいかについては、別の記事で詳しく解説しています。

問診では踏み込んだ内容を聞かれることもありますが、これは治療方針を決めるために必要な情報だからです。答えにくい項目があれば、その旨を伝えてかまいません。話せる範囲から進めていけば十分です。

ED治療薬の役割

ED治療薬として用いられるPDE5阻害薬は、陰茎海綿体の平滑筋を緩め、海綿体への血液量を増やすことで勃起を助ける薬です。勃起を補助する対症的な治療であり、心理的な要因そのものを取り除く薬ではありません。

PMDAの患者向医薬品ガイドには、これらの薬が催淫剤または性欲増進剤ではないと記載されています。飲めば自動的に勃起するという性質のものではない、ということです。また、硝酸剤や一酸化窒素供与剤を使用している方など、服用できない方がいます。副作用と併用してはいけない薬については、別の記事で詳しく解説しています。

心因性EDでは、薬の助けを借りて成功体験を重ねることで不安が和らぎ、状況が変わっていくという説明を見かけます。ただし、誰にでも当てはまる筋道として断定できるものではありません。医師の判断のもとで用いられる考え方の一つとして受け止め、実際に使うかどうかは診察で相談してください。

生活やパートナーとの関係で見直せること

医療機関での対応と並行して、日常の中で見直せることもあります。ただし、これらだけで改善するとお約束できるものではありません。

日本泌尿器科学会がEDの原因として挙げているものには、肥満と運動不足、喫煙、睡眠時無呼吸症候群などが含まれます。睡眠時間を確保する、飲酒の量を見直す、禁煙に取り組む、無理のない範囲で体を動かすといった取り組みは、EDに限らず全身の状態に関わります。すぐに変化が出るとは限りませんが、続ける価値のある方向です。

パートナーとの関係については、うまくいかなかったことをどちらかの責任にしないことが大切です。相手に原因があるという前提でも、自分がすべて悪いという前提でも、話し合いは進みにくくなります。性行為そのものに集中しすぎず、話をする時間や一緒に過ごす時間を持つことが、緊張をほぐす助けになることがあります。

相談する相手や関係の形は人それぞれです。どのような関係であっても、無理に一つの型に当てはめる必要はありません。

心因性EDで受診を検討したい目安

一度うまくいかなかっただけで受診が必要になるわけではありません。次のような状態が続く場合は、相談を検討する目安になります。

日本泌尿器科学会は、EDを自覚したら泌尿器科を受診すること、EDが全身疾患の前触れである可能性があることを示しています。これは不安をあおるための情報ではなく、体の状態を確認する機会になるという意味です。

受診をためらう気持ちがあるのは自然なことです。ただ、放置している間に生活習慣病が進んでいたということもあり得ます。確認のために一度受診するという考え方でも十分です。

自己判断で対処することのリスク

受診せずに済ませたいという気持ちから、インターネットで薬やサプリメントを探す方がいます。しかし、この方法にははっきりしたリスクがあります。

厚生労働省は、個人輸入された医薬品について、品質・有効性・安全性が日本の法令に基づいて確認されていないこと、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象にならないことを示しています。日本泌尿器科学会も、インターネットで販売されている医薬品には偽造品のリスクがあると指摘しています。

ED治療薬には、硝酸剤などとの併用が禁じられているものがあります。診察を受けずに使えば、こうした確認を飛ばすことになります。持病や服用中の薬がある方ほど、この点は重く受け止める必要があります。

また、サプリメントや器具で解決すると断定している情報も見られますが、根拠が示されていないものは判断材料にしないほうがよいでしょう。本記事では特定の商品名を挙げていません。

心因性EDに関するよくある質問

心因性EDについて、本文で触れきれなかった疑問をまとめました。個別の判断は診察によって変わります。

心因性EDは自然に治りますか?

一時的な疲れや緊張が背景にある場合、状況が変わることで落ち着くこともあります。ただし、そうなると決まっているわけではありません。繰り返し続いている場合や、体調の変化を伴う場合は、体の要因が隠れていることもあります。様子を見る期間を決めておき、変わらなければ相談するという進め方が現実的です。

薬を使わずに改善できますか?

生活習慣の見直しやストレスへの対処が役立つ場合はあります。ただし、それだけで解決するとお約束できるものではなく、体の要因が関わっていれば別の対応が必要になります。薬を使うかどうかも含めて、まず現在の状態を確認してもらうことをおすすめします。

パートナーに相談したほうがよいですか?

一律の正解はありません。共有することで緊張が和らぐ場合もあれば、話し方によっては負担になる場合もあります。伝える場合は、原因を誰かの責任として語らないことが大切です。話しにくい場合は、先に医療機関で相談し、整理してから伝える方法もあります。

まとめ

心因性EDは、背景にある要因へ対応していくことで改善が見込まれる状態とされています。ただし、症状の出方だけで心因性と決めつけることはできません。日本泌尿器科学会はEDを全身疾患の一つとしてとらえる必要があると説明しており、糖尿病や高血圧が関わっていることもあります。
見落としやすいのは、心理的な要因と身体的な要因が重なっている場合があることです。ED治療薬は勃起を助ける対症的な治療であり、不安そのものを取り除く薬ではありません。服用できない方もいるため、自己判断での入手は避けてください。
症状が続いている、生活や関係に影響が出ているといった場合は、確認のために一度受診するという考え方で十分です。状態を整理するところから相談してみてください。

参考・出典

日本泌尿器科学会【一般のみなさま】勃起力(ぼっきりょく)が低下した https://www.urol.or.jp/public/symptom/15.html

日本泌尿器科学会 診療ガイドライン一覧(男性性機能障害診療ガイドライン2025年版を含む) https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/guideline_list_20251007.pdf

PMDA 患者向医薬品ガイド シルデナフィル錠25mgVI「SN」/50mgVI「SN」 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/340409_259000AF1040_1_00G.pdf

厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html