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男性にニキビができる原因とは?部位別の要因と皮膚科での治療法を解説

男性のニキビは「男性ホルモンのせい」と語られがちですが、実際には皮脂の量、毛穴の角化、細菌の増殖といった複数の要素が重なって起こります。

この記事では、ニキビができる仕組みを整理したうえで、男性に多い要因、部位ごとの違い、医療機関で行われる治療、受診を考える目安までを順に説明します。

原因を知るだけで終わらず、次に何をすればよいかまで見通せる内容にしました。

この記事の要約

男性のニキビができる原因は?その仕組みとは?

ニキビは医学的には尋常性痤瘡と呼ばれ、毛穴とそこにつながる皮脂腺を場として起こる慢性の炎症性疾患です。原因を一つに絞れないため、まず皮膚のなかで何が起きているのかを押さえておくと、後の対策が理解しやすくなります。

日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、皮脂の分泌にかかわる脂質代謝の異常、毛穴の角化の異常、細菌の増殖が複雑に関与する疾患と説明されています。つまり、洗い方だけ、ホルモンだけ、といった単一の原因では説明できません。

毛穴が詰まってから炎症が起こるまで

同ガイドラインでは、皮脂腺の活動が高まって皮脂の分泌が増え、毛穴の出口付近の角化が進むことで、皮脂が毛穴の中にたまった状態を面皰(コメド)と定義しています。面皰は、毛穴が閉じた白色面皰と、毛穴が開いた黒色面皰に分けられます。

面皰の中では、皮膚に普段からいる常在菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)が増えることがあります。増殖したアクネ菌が起因菌となって炎症が起きると、赤いふくらみ(紅色丘疹)や膿をもったふくらみ(膿疱)になります。ここまでの流れが、いわゆる「ニキビが悪化する」過程です。

炎症が治まった後には、へこみや盛り上がり、色素沈着といった跡が残ることがあります。同ガイドラインでは、軽症の症状でも跡を残しうる一方、早期の治療によって跡が予防できることを示唆するデータがあると述べられています。

思春期ニキビと大人ニキビの違い

思春期は皮脂の分泌が増えやすく、額や鼻など皮脂の多い部位に症状が出やすい傾向があります。一方、20代以降のニキビは、あごやフェイスラインなど比較的皮脂の少ない部位にも出ることがあり、睡眠や仕事の状況、ヒゲ剃りの習慣などが重なっていることも珍しくありません。

ただし、この分け方は目安であり、医学的に別の病気として区別されているわけではありません。年齢にかかわらず、面皰から炎症に至る仕組み自体は同じです。年齢で判断せず、いま皮膚に何が起きているかを見ることが大切です。

男性のニキビの主な原因

ここからは、男性に関係することの多い要因を個別に見ていきます。いずれか一つが原因と決まるわけではなく、複数が重なっている場合が多い点を前提にお読みください。

皮脂分泌とアンドロゲンの関与

アンドロゲン(男性ホルモン)は皮脂腺に作用し、皮脂の分泌を高める働きを持ちます。ガイドラインでも、皮脂の分泌にかかわる内分泌的な因子が痤瘡の成り立ちに関与すると位置づけられています。男性で皮脂量が多くなりやすいのは、この影響が背景にあります。

ただし、ホルモンの量が多ければ必ずニキビができる、という単純な関係ではありません。同じ年代でも症状の出方には差があり、角化の起こりやすさや細菌の増え方、生活環境なども関係します。血液検査でホルモン値を測れば原因が確定するというものでもないため、自己判断で結論づけないことが大切です。

ヒゲ剃りによる摩擦と刺激

毎日のヒゲ剃りは、あごやフェイスラインの皮膚に繰り返し摩擦を与えます。刃の切れ味が落ちた状態で強く当てる、逆方向に何度も往復させるといった剃り方では、皮膚表面が傷つき、炎症が起きやすくなることがあります。

とはいえ、ヒゲ剃りをしている男性全員にニキビができるわけではありません。剃り方、刃の状態、剃る前後の保湿の有無などによって皮膚への負担は変わります。すでに赤みや炎症がある部位を無理に剃ると刺激が加わるため、症状が強いときは剃る頻度や方法を見直し、必要に応じて医師に相談してください。

洗顔・スキンケアの方法

皮脂が気になると、洗浄力の強い洗顔料で何度も洗いたくなりますが、洗いすぎは皮膚のうるおいを奪い、かえって刺激になることがあります。反対に、皮脂や汚れが残ったままの状態も毛穴の詰まりにつながります。

スキンケアはニキビの治療そのものではありませんが、治療中の皮膚を落ち着かせるうえで役立ちます。市販薬を長期間使い続けても改善しない場合は、セルフケアの範囲を超えていると考えて差し支えありません。

なお、洗顔の回数について、前述のガイドラインでは痤瘡患者に1日2回の洗顔を推奨する(推奨度C1)とされています。回数を増やせばよいというものではない点は、ここからも読み取れます。

生活習慣・睡眠・ストレス

睡眠不足やストレス、偏った食事とニキビの関係は、多くの人が実感として語る一方、特定の食品が原因だと言い切れるだけの根拠は限られています。関連が指摘されている範囲を超えて、食事だけを制限しても解決には結びつきにくいのが実情です。

生活習慣は、症状を悪化させにくい環境を整えるための土台と考えるのが現実的です。睡眠時間を確保し、汗をかいた後は着替えるといった基本的な対応を続けながら、必要な治療は別に行うという整理をおすすめします。

部位別に見た男性のニキビの要因

同じニキビでも、できる場所によって関係しやすい要因は変わります。ここでは代表的な部位ごとに、起こりやすい要因と気をつけたい点を整理します。

部位 起こりやすい要因 気をつけたい点
あご・フェイスライン ヒゲ剃りによる摩擦、皮脂の分泌、マスクなどの接触 刃の状態と剃り方を見直し、剃った後は保湿する
皮脂の分泌、前髪や整髪料の付着 髪や整髪料が触れ続ける状態を減らす
鼻の周り 毛穴が大きく皮脂がたまりやすい 自分で強く押し出さない
背中・胸元 皮脂腺が多く、汗や衣類の摩擦が加わる 汗をかいた後は着替え、通気性のよい衣類を選ぶ

背中や胸元は自分で見えにくく、気づいたときには炎症が進んでいることがあります。範囲が広がっている場合は、早めに診察を受けてください。

ニキビと間違えやすい症状

顔や体にできる赤いふくらみは、ニキビ以外の原因でも起こります。見た目が似ていても必要な治療は異なるため、市販のニキビ薬を使い続けても改善しない場合は、別の症状を考える必要があります。

毛包炎・カミソリ負け

細菌性の毛包炎は、毛包で細菌による炎症が起こった状態です。ヒゲ剃りによる細かい傷をきっかけに生じることがあります。一方、カミソリ負けには剃る際の摩擦や傷による皮膚炎も含まれ、見た目だけでニキビと区別することは難しい場合があります。

ニキビと違い、面皰(毛穴の詰まり)を伴わないことが多いのが特徴ですが、見た目だけで確実に区別するのは容易ではありません。剃った直後に同じ部位へ繰り返し出る場合は、剃り方の見直しと合わせて診察を受けると判断がつきやすくなります。

マラセチア毛包炎

マラセチア毛包炎は、皮膚に常在するマラセチアという真菌(カビの一種)が毛穴で増えて炎症を起こす状態です。胸や背中、肩などに、大きさのそろった小さなふくらみが多数現れることがあります。

ニキビ用の抗菌薬では改善しないことがあり、真菌に対する治療が必要になる場合があります。区別には皮膚の状態の確認や検査が前提となるため、自己判断で市販薬を使い続けず、皮膚科で相談してください。

男性のニキビに対してセルフケアでできることと限界

セルフケアには、症状を悪化させにくい環境を整えるという役割があります。一方で、すでに起きている炎症を抑えたり、毛穴の詰まりそのものに働きかけたりする力には限りがあります。

対応できる範囲 医療機関での治療が必要になりやすい状態
洗いすぎや洗い残しの見直し 赤みや痛みを伴う炎症が続いている
ヒゲ剃りの方法と保湿の調整 同じ部位で繰り返し悪化する
汗をかいた後の着替えなど環境面の調整 跡が残り始めている、範囲が広がっている

市販薬で症状が軽くなることもありますが、数週間続けても変化がない場合は、使い続けるより診察を受けたほうが結果的に近道になります。とくに、跡が残り始めている場合は早めの相談をおすすめします。

医療機関で行われるニキビ治療

医療機関での治療は、公的医療保険が使える保険診療と、全額自己負担となる自由診療に分かれます。役割が異なるため、まず保険診療で何ができるかを知っておくと選びやすくなります。

保険診療で使われる外用薬・内服薬

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、面皰に対してアダパレンや過酸化ベンゾイルなどを推奨しています。赤いニキビなどの炎症性皮疹では、外用抗菌薬も治療の選択肢になります。中等症以上では、重症度に応じて内服抗菌薬の併用を検討します。抗菌薬を漫然と使い続けず、炎症が落ち着いた後の治療も医師と確認しましょう。

アダパレン製剤であるディフェリンゲル0.1%の電子添文では、効能・効果は尋常性ざ瘡で、1日1回、洗顔後に患部へ塗布すると定められています。副作用として皮膚乾燥56.1%、皮膚不快感47.6%、皮膚剥脱33.5%、紅斑21.9%、そう痒症13.2%が報告されており、治療開始2週以内に生じることが多く、通常は軽度で一過性とされています。妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用できません。

過酸化ベンゾイル製剤では、皮膚の皮むけ、赤み、刺激感などが報告されています。漂白作用があるため、髪や衣類への付着にも注意が必要です。軽い乾燥や刺激も処方元に伝え、使用方法を確認してください。強い刺激、腫れ、水ぶくれ、顔や首に広がる赤みなどが出た場合は使用を中止し、速やかに医師へ相談してください。

薬以外では、詰まった皮脂を専用の器具で押し出す面皰圧出という処置があります。前述のガイドラインでは、面皰や炎症性皮疹に対して面皰圧出を選択肢の一つとして推奨する(推奨度C1)とされています。ただしこれは医療機関で行われる処置であり、自分で押し出してよいという意味ではありません。自己流の圧出は炎症を広げ、跡につながることがあります。

自由診療で行われる施術

ケミカルピーリングやレーザー治療などは、原則として自由診療にあたり、費用は全額自己負担です。前述のガイドラインでは、痤瘡または痤瘡瘢痕へのレーザー治療について、設備の問題や国内での検討が不十分であること、保険適用がないことから推奨はしないとされています(推奨度C2)。

自由診療を検討する場合は、施術名だけで判断せず、対象となる症状、必要な回数、赤みや色素沈着といった副作用、通院期間、総額の考え方を一体で確認してください。費用や内容は医療機関ごとに異なるため、カウンセリングで納得できるまで説明を受けることが重要です。

男性のニキビで皮膚科の受診を検討したい目安

受診の判断に迷ったときは、症状の強さと経過を手がかりにすると整理しやすくなります。次のいずれかに当てはまる場合は、相談を検討してよい状態です。

ガイドラインでは、痤瘡の治療において急性炎症期の治療期間は最大3ヵ月間を目安とし、その後は維持期の治療へ移行するという考え方が示されています。炎症が続く状態を長く放置しないという観点からも、早めの相談には意味があります。

男性のニキビに関するよくある質問

ここまでで扱いきれなかった疑問のうち、相談の多いものをまとめました。個別の状態については診察での確認が前提となります。

Q.男性のニキビは何歳ごろまで続きますか?

A.終わる年齢を一律に示すことはできません。思春期に始まって20代のうちに落ち着く人もいれば、30代以降も症状が続く人もいます。年齢だけで判断せず、炎症が続いているか、跡が残り始めていないかを基準に、治療の要否を考えてください。

Q.ヒゲ脱毛をするとニキビは減りますか?

A.ヒゲ脱毛によってニキビが減ると断定できる一次情報は確認できていません。理屈のうえではヒゲ剃りの回数が減ることで摩擦の機会が減る可能性は考えられますが、効果として保証できるものではありません。炎症が強い時期の照射は避けたほうがよい場合もあるため、ニキビの治療と脱毛のどちらを先に行うかを含め、医師に相談してください。

まとめ

男性のニキビは、皮脂の分泌、毛穴の角化、アクネ菌の増殖、炎症という流れが重なって起こります。アンドロゲンの影響は確かにありますが、ホルモンだけで説明できるものではなく、ヒゲ剃りの刺激や洗い方、睡眠や環境も関わります。
見落としやすいのは、毛包炎やマラセチア毛包炎のようにニキビと見た目が似た症状があることと、炎症が治まった後に跡が残る場合があることです。市販薬を長く使っても変化がないときは、原因の見立てそのものを見直す必要があります。
ガイドラインでは、軽い症状でも跡を残しうる一方、早期の治療で跡を防げる可能性が示唆されています。赤みや痛みが続く、繰り返す、跡が出始めたといった場合は、自己流のケアを続けず皮膚科で相談してください。

参考・出典

日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf

PMDA ディフェリンゲル0.1% 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/730155_2699711Q1027_2_03

PMDA ベピオゲル2.5% 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/730155_2699712Q1021_1_13