AGAのオンライン診療とは?対面との違いと指針上のルール
AGAのオンライン診療は通院の負担を減らせる一方、対面診療の代わりに何でもできるわけではありません。
診察の手段が限られるため、厚生労働省の指針でも処方に関するルールが定められています。
この記事では、対面との違い、指針上の決まり、利用するときに確認しておきたい点を整理します。
この記事の要約
- オンライン診療は情報通信機器を通じて医師が診察と診断、処方を行う診療形態です。
- オンライン初診では、基礎疾患などの情報を把握できていない患者に対する8日分以上の処方は行わないとされています。
- かかりつけ医以外が初診を行う場合でも、医学的情報を十分に把握できているかによって、診療前相談が必要かどうかは異なります。
- 血液検査や頭皮の詳細な診察、自毛植毛などの外科的治療は対面での受診が必要になります。
- 定期配送を伴う契約では、解約の条件と副作用が出た場合の連絡先を確認しておいてください。
AGAのオンライン診療とは
オンライン診療は、情報通信機器を使い、映像と音声によるリアルタイムのやり取りを通じて医師が診察し、診断や処方を行う診療です。メールやチャットだけのやり取りとは異なります。厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は2018年3月に策定され、2026年4月に改訂されています。
AGAの分野で広く使われているのは、治療が内服薬と外用薬を中心に進むことが多く、経過の確認も問診と視診が中心になりやすいためです。通院にかかる時間を減らせる点が利点になります。
ただし、便利だから優れているという整理はできません。診察の手段が限られる以上、できることには制約があります。指針そのものが、その制約を前提に組み立てられています。
対面診療との違い
違いは利便性だけではありません。医師が得られる情報と、何かあったときの対応の仕方が変わります。
| 項目 | 対面診療 | オンライン診療 |
|---|---|---|
| 得られる情報 | 視診・触診・検査を組み合わせられる | 映像と問診による情報が中心 |
| 検査 | その場で血液検査などを行える | 別に対面での受診が必要になる |
| 通院の負担 | 移動と待ち時間が必要 | 移動の負担を減らせる |
| 急な対応 | その場で処置や検査につなげられる | 対面への切り替えが必要になる |
どちらが優れているというものではなく、状態と目的によって適した方法が変わります。
そのため、オンライン診療を選ぶ場合でも、必要に応じて対面での受診に切り替えられるかどうかを確認しておくことが大切です。
AGAオンライン治療の指針で定められている主なルール
指針には、患者が知っておくと役立つルールが具体的に書かれています。ここでは処方と初診に関わるものを取り上げます。
指針は、医薬品を処方する前に患者の心身の状態を十分評価できている必要があるとしたうえで、現在行われているオンライン診療では診察手段が限られることから、初診において診断や治療に必要な十分な医学的情報を得ることが困難な場合があるとしています。そのうえで、初診の場合には次の処方を行わないこととされています。
- 麻薬および向精神薬の処方
- 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品の処方
- 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方
かかりつけ医以外が初診からオンライン診療を行い、診療情報提供書や健診結果などから医学的情報を十分に把握できていない場合は、診療前相談でオンライン診療の適否を確認します。診療前相談自体には、診断や処方などの診療行為は含まれません。
このほか、本人確認や診療計画の作成も求められています。指針は改訂されるため、利用するときは公開時点の版を確認してください。
AGAオンライン診療で対応できること・できないこと
何が画面越しに行えて、何が行えないのかを整理しておくと、対面と組み合わせる判断がしやすくなります。
| 内容 | オンラインでの扱い |
|---|---|
| 問診による経過の確認 | 行われ得る |
| 映像を通じた視診 | 行われ得るが、映像の範囲に限られる |
| 内服薬・外用薬の処方 | 指針の範囲内で行われ得る |
| 血液検査 | 対面での受診が必要 |
| 頭皮を直接確認する詳細な診察 | 対面での受診が必要 |
| 自毛植毛などの外科的治療 | 対面での受診が必要 |
対応できる範囲は医療機関によっても異なります。事前に確認してください。
特に注意したいのが、AGA以外の脱毛症との鑑別が必要な場合です。薄毛の原因はAGAだけではなく、原因が違えば治療の方針も変わります。映像だけでは判断が難しい場合、対面での受診が求められることがあります。
AGAオンライン診療の利用の流れ
医療機関によって手順は異なりますが、一般的には次のように進みます。
- 予約を取る
- 本人確認を行う
- 問診に回答する
- 医師の診察を受ける
- 診療計画と治療方針の説明を受ける
- 処方を受け、薬を受け取る
- 決められた時期に経過を確認する
本人確認については、指針が運転免許証やパスポートなどの提示を挙げており、医師側についても医師資格証や医師免許証の提示の活用が示されています。誰が診察しているのかを確認できる仕組みがある、ということです。
アトムクリニックにおけるオンライン診療の対応可否や具体的な手順については、公式サイトで確認してください。
AGAオンライン診療を利用するときの注意点
利便性の裏側にある確認事項です。契約の前に押さえておいてください。
- 副作用が出た場合の連絡先と、受け付けている時間
- 対面診療へ切り替える必要が生じた場合の対応
- 定期配送や継続契約の条件と、解約の方法
- 解約に期限や違約金の定めがあるか
- 処方される薬の種類、用量、日数
- 費用の総額と、送料などの扱い
定期的に薬が届く契約は、続けやすい一方で、やめたいときの手続きを確認していないと負担が続きます。始める前に、やめ方まで確認しておいてください。
また、診察を経ずに薬を入手することは避けてください。厚生労働省は、個人輸入される医薬品などの品質、有効性、安全性については国内の法律に基づく確認がなされていないとし、人体に有害な物質が含まれている場合や、偽造製品である可能性に触れています。個人輸入された医薬品による健康被害については救済の対象とならないとも明記されています。
AGAオンライン診療の医療機関を選ぶときの確認ポイント
順位付けや比較ではなく、必要な条件がそろっているかという観点で確認してください。
- 診察と診断が行われ、その根拠の説明があるか
- 副作用の説明があり、生じた場合の対応体制が示されるか
- 必要なときに対面診療へ切り替えられるか
- 費用の総額と含まれる範囲が明示されるか
- 効果判定の方法と時期が説明されるか
- 処方の内容について質問できるか
薬が早く届くこと自体は、診療の質を示すものではありません。診察が行われているか、質問に答えてもらえるかを基準にしてください。
AGAオンライン診療で処方される薬について知っておくこと
オンラインであっても、処方される薬の性質は対面と変わりません。位置づけと注意事項を確認しておきましょう。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、男性型脱毛症に対して、フィナステリドの内服、デュタステリドの内服、ミノキシジルの外用がいずれも推奨度Aとされています。一方、ミノキシジルの内服は推奨度Dで、行うべきではないとされています。外用と内服で扱いが逆になる点に注意してください。
また、医薬品医療機器総合機構は2023年8月29日付でフィナステリドの使用上の注意を改訂し、重要な基本的注意の項に自殺関連事象に関する注意事項を追記しました。あわせて、うつ病、うつ状態またはその既往歴、自殺念慮または自殺企図の既往歴を有する患者が、特定の背景を有する患者として追記されています。該当する場合は必ず申告してください。
フィナステリドの承認された効能・効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」です。ガイドラインは、女性型脱毛症には行うべきではないとし、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与は禁忌としています。また、国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われており、20歳未満に対する安全性は確立していないとしています。薬の保管や取り扱いについては、処方時の説明に従ってください。
AGAオンライン診療に関するよくある質問
オンライン診療について寄せられることが多い質問をまとめました。運用は医療機関によって異なります。
Q.初診からオンラインで受けられますか?
A.初診からオンライン診療を受けられる場合があります。かかりつけ医以外でも、診療情報提供書や健診結果などから医学的情報を十分に把握できていれば、診療前相談を要しない場合があります。一方、基礎疾患などの情報が把握できていない患者には8日分以上の処方を行わないなどの制限があります。診療方法や処方の可否は、医師が個別に判断します。
Q.保険は使えますか?
A.AGA治療は原則として保険適用外の自由診療であり、オンライン診療で受ける場合も全額自己負担になります。診察料、薬代、送料などの扱いは医療機関によって異なるため、総額で確認してください。なお、薄毛の原因がAGA以外の疾患である場合は扱いが異なることがあります。自己判断せず、まず診断を受けてください。
まとめ
AGAのオンライン診療は通院の負担を減らせる方法ですが、対面診療の代わりに何でもできるわけではありません。厚生労働省の指針は、診察手段が限られることを前提に、初診で行わない処方などのルールを定めています。
見落とされやすいのは、検査や詳細な診察が必要になる場面です。血液検査や頭皮を直接確認する診察、外科的な治療は対面が必要になります。AGA以外の脱毛症との鑑別が必要な場合も同様です。
利用を始める前に、副作用が出たときの連絡先、必要なときに対面へ切り替えられるか、定期契約の解約方法を確認してください。薬が早く届くことは、診療の質を示すものではありません。
参考・出典
厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成30年3月、令和8年4月改訂) https://www.mhlw.go.jp/content/001685701.pdf
日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf
医薬品医療機器総合機構 フィナステリドの「使用上の注意」の改訂について(2023年8月29日) https://www.pmda.go.jp/files/000263931.pdf
厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html