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ED治療薬の種類と違いを比較|成分・効果の持続時間・注意点を解説

ED治療薬は数多くの商品名で紹介されていますが、国内で処方されている有効成分は主に3成分です。

販売名の違いに見えるものが、実は同じ成分であることも珍しくありません。

この記事では、成分ごとの特徴を電子添文で確認できた範囲で整理し、先発医薬品とジェネリックの関係、共通する副作用と併用禁忌、費用の考え方まで説明します。

この記事の要約

国内で処方されるED治療薬の全体像を解説

はじめに、販売名(商品名)と一般名(有効成分の名前)の対応を整理しておきます。ここが分かると、多くの商品名が3成分に収まることが見えてきます。

有効成分(一般名) 代表的な先発医薬品の販売名
シルデナフィル バイアグラ錠
タダラフィル シアリス錠
バルデナフィル レビトラ錠

このほかに、有効成分が同じ後発医薬品(ジェネリック)が販売されています。名称は「成分名+メーカー名」の形をとることが一般的です。

バルデナフィルについては注意が必要です。先発品であるレビトラ錠の現在の流通状況を、本記事の執筆時点で公的資料から確認できていません。一方、PMDAではバルデナフィル錠の後発医薬品の電子添文が公開されており、成分としては国内で扱われています。入手できるかどうかは医療機関によって異なるため、受診先へ確認してください。

成分別に見たED治療薬の特徴

成分ごとの違いを、PMDAの電子添文で確認できた項目に限って整理します。数値は添文の記載に基づくもので、実際の指示は処方時のものが優先されます。

有効成分 服用タイミングの目安 食事の影響 投与回数と間隔
シルデナフィル 性行為の約1時間前 食事と共に投与すると空腹時に比べ効果発現が遅れることがある 1日1回、24時間以上あける
タダラフィル 性行為の約1時間前 食事の有無にかかわらず投与できる 基本は1日1回、24時間以上。腎機能・併用薬によって48時間以上必要な場合がある
バルデナフィル 性行為の約1時間前 標準的な食事の摂取直後の投与で明らかな影響は認められなかった 1日1回、24時間以上あける

効果が続く時間の目安は成分によって考え方が異なります。確認できない数値はここに記載していません。

シルデナフィル

バイアグラ錠の電子添文では、通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mgから50mgを性行為の約1時間前に経口投与すると定められています。高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者、重度の腎障害のある患者では、血漿中濃度が増加することから25mgを開始用量とすることとされています。

食事の影響がはっきり示されているのが特徴です。同添文には、食事と共に投与すると空腹時に比べ効果発現時間が遅れることがあると明記されています。薬物動態の項では、健康成人16名を対象とした試験で、最高血中濃度に達するまでの時間が食後3.0時間、空腹時1.2時間であったと報告されています。

副作用としては、1%以上の頻度で血管拡張(ほてり、潮紅)5.78%、頭痛3.87%が報告されています。0.1%以上1%未満では、胸痛、動悸、頻脈、めまい、悪心、消化不良などが挙げられています。

タダラフィル

シアリス錠の電子添文では、通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与し、10mgで十分な効果が得られず忍容性が良好と判断された器質性または混合型の勃起不全患者に対しては20mgに増量できるとされています。肝障害や腎障害のある患者には、用量や投与間隔に個別の定めがあります。

同添文には、本剤は投与後36時間まで有効性が認められていることから、その期間は安全性について十分配慮することと記載されています。また、本剤は食事の有無にかかわらず投与できるとも明記されており、薬物動態の項では高脂肪食後と空腹時で明らかな差が認められなかったと報告されています。

副作用としては、1%以上の頻度で潮紅、消化不良、背部痛、筋痛、四肢痛、頭痛、鼻閉が挙げられています。重大な副作用として、発疹、蕁麻疹、顔面浮腫などの過敏症(頻度不明)が記載されています。

バルデナフィル

バルデナフィル錠の電子添文では、通常、成人には1日1回バルデナフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与し、必要に応じて20mgへ増量できるとされています。高齢者(65歳以上)や中等度の肝障害のある患者では、5mgを開始用量とし最高用量は10mgとすることが定められています。

薬物動態の項では、健康成人男子24例に20mgを標準的な食事(総エネルギーに占める脂肪の割合が約30%)の摂取直後に投与した場合、食事摂取による明らかな影響は認められなかったと報告されています。副作用としては、1%以上の頻度でほてり10.6%、心悸亢進が挙げられています。

また、同添文には、チトクロームP450 3A4を阻害する薬剤(マクロライド系抗生物質)との併用により血漿中濃度が上昇するため、投与量は5mgを超えないことという注意が記載されています。併用薬がある場合はとくに確認が必要です。

ED治療薬の先発医薬品とジェネリックの違い

ジェネリック(後発医薬品)は、先発医薬品と同じ有効成分を用い、国の審査を経て承認された医薬品です。価格が抑えられている点が、選ばれる理由の一つになっています。

一方で、添加物や錠剤の大きさ、形状などは製品によって異なります。有効成分が同じであることと、あらゆる点が同一であることは別の話です。効果や体感に差を感じるかどうかは個人差があり、優劣として一般化できるものではありません。

選ぶ際は、価格だけでなく、自分が飲みやすい形状か、医療機関で継続して処方を受けられるかも判断材料になります。気になる点があれば、処方時に相談してください。

なお、後発医薬品にもそれぞれ電子添文があり、用法・用量や禁忌、副作用の記載を確認できます。バルデナフィル錠の後発医薬品では、用法・用量や併用禁忌が先発品と同様に定められています。海外製と称してインターネットで販売されているものは、国内で承認された後発医薬品とは別のものです。混同しないよう注意してください。

ED治療薬が働く仕組み

3つの成分はいずれもPDE5阻害薬という同じ分類に属します。仕組みを知っておくと、飲むだけでは働かない理由が理解しやすくなります。

性的な刺激を受けると、陰茎の血管を広げる物質が働き、海綿体へ血液が流れ込みます。PDE5阻害薬は、この物質を分解する酵素の働きを抑えることで、血液が流れ込みやすい状態を保ちます。したがって、性的刺激がなければ一連の流れ自体が始まりません。

バルデナフィル錠の電子添文にも、本剤は催淫剤または性欲増進剤ではないと明記されています。飲めば自動的に勃起する薬ではないという点は、成分にかかわらず共通しています。

ED治療薬に共通する主な副作用と併用禁忌

血管を広げる作用が全身にも及ぶため、成分は違っても似た副作用が報告されています。併用してはいけない薬についても共通点があります。

シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルはいずれも、硝酸剤・一酸化窒素供与剤やリオシグアトとの併用が禁忌です。シルデナフィルでは経口アミオダロンも禁忌です。バルデナフィルでは、アミオダロンを含む一部の抗不整脈薬や特定のCYP3A4阻害薬との併用も禁忌となるため、成分別に確認する必要があります。

報告されている副作用には、ほてりや潮紅、頭痛、動悸、めまい、鼻づまり、消化器症状、目の充血や見え方の変化などがあります。副作用の詳しい内容と、受診が必要になるサインについては、別記事「ED治療薬 副作用」で扱っています。

市販薬やサプリメントの中にも、成分によっては注意が必要なものがあります。自己判断で組み合わせず、服用しているものはすべて医師へ伝えてください。

ED治療薬の服用に注意が必要なケース

電子添文では、併用薬以外にも服用できない状態が定められています。以下は禁忌として挙げられている項目の一部です。

バイアグラ錠には、死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているため、投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することという警告が記載されています。持病がある場合や服用中の薬が多い場合は、必ず診察で確認を受けてください。最終的な判断は、検査や既往歴を踏まえて医師が行います。

禁忌にはあたらないものの、注意が必要な組み合わせもあります。各添文の併用注意の項では、α遮断剤や降圧剤との併用により降圧作用が強まる可能性が示されています。バイアグラ錠には、ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告があると記載されています。

CYP3A4の働きを妨げる薬はED治療薬の血中濃度を上げることがありますが、扱いは成分によって異なります。バルデナフィルでは、イトラコナゾールやリトナビルなどに併用禁忌が定められています。タダラフィルでは、強いCYP3A4阻害薬との併用時に用量や投与間隔の制限があります。減量すれば併用できると自己判断せず、使用中の薬をすべて医師・薬剤師へ伝えてください。

これらは、どの成分を選ぶかにも関わる情報です。持病の治療で継続的に服用している薬がある場合は、その内容を踏まえて処方が検討されます。お薬手帳を持参し、市販薬やサプリメントも含めて申告してください。

ED治療薬の費用と入手方法

ED治療薬は、原則として公的医療保険の対象外となる自由診療で処方されます。費用の考え方と、入手経路のリスクを確認しておきましょう。

保険適用の考え方

厚生労働省の通知「不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて」(保医発0325第7号、令和4年3月25日)では、バイアグラ錠およびシアリス錠について、保険適用の対象となるのは勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法において用いる場合であるとされています。

保険算定には、ガイドラインに沿ってEDと診断されていること、患者本人またはパートナーのいずれかが投与前6か月以内に所定の不妊治療の医学的管理を受けていることなど、通知のすべての要件を満たす必要があります。1回の診療で処方できる量は、タイミング法の1周期分に限り4錠以下です。適用の可否は受診先に確認してください。

個人輸入・ネット購入のリスク

日本泌尿器科学会の解説では、インターネットなどで販売されている薬は偽物が多く、有害な物質が含まれている可能性があるので、決して手を出さないようにと明記されています。価格の安さだけで選ぶ判断は危険です。

加えて、個人輸入した医薬品で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。ED治療薬には併用禁忌があり、心血管系の状態によっては使用できない場合もあります。処方を受ける過程には、こうした確認が含まれています。

自分に合うED治療薬の種類と選び方

どの成分が最も効くかを一律に決めることはできません。生活の状況や併用薬から、優先したい条件を整理しておくと相談が進めやすくなります。

これらを踏まえたうえで、禁忌や併用薬の確認を経て処方が決まります。最初の薬が合わない場合に見直すこともあるため、一度で決めきる必要はありません。試した条件と体調の変化を記録しておくと、次の相談に役立ちます。

ED治療薬に関するよくある質問

種類の違いについて寄せられることの多い質問をまとめました。個別の判断は診察が前提です。

Q.一番効果が強いED治療薬はどれですか?

A.順位づけはできません。成分ごとに用量の設定や食事の影響、効果が続く時間の考え方が異なり、同じ条件で直接比較した試験の結果を本記事では確認できていません。合うかどうかは、持病、併用薬、生活のリズムによって変わります。医師と相談しながら判断してください。

Q.複数のED治療薬を併用できますか?

A.ED治療薬どうしを自己判断で併用しないでください。併用の安全性は確立していません。薬を切り替える場合も、成分や腎機能、併用薬に応じた間隔の確認が必要です。効果が不十分な場合は、自分で組み合わせず処方元へ相談してください。

まとめ

主なED治療薬は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルの3成分で、いずれもPDE5阻害薬です。食事の影響、用量、効果が期待できる時間、併用できない薬には違いがあります。

基本の服用間隔は24時間以上ですが、タダラフィルには条件によって48時間以上の間隔が必要な場合もあります。処方時の指示を守ってください。

硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は、いずれの成分でも禁忌です。持病と使用中の薬を伝え、医師と相談して選びましょう。

参考・出典

PMDA バイアグラ錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2590018F1020_1_05

PMDA シアリス錠 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530263_2590016F5026_1_05

PMDA バルデナフィル錠10mg・20mg「トーワ」 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480235_259000BF2041_1_06

厚生労働省 不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて(保医発0325第7号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6607&dataType=1&pageNo=1

日本泌尿器科学会 勃起障害(ED) https://www.urol.or.jp/public/symptom/15.html