EDの衝撃波治療とは?国内の承認状況と分かっていること
EDの衝撃波治療を検討するときは、有効性の根拠と、使用する機器の国内承認・適応を分けて確認する必要があります。この記事では、研究で示された効果と限界、承認状況の確認方法、治療前に説明を受けたい事項を整理します。
この記事の要約
- 2018年版のED診療ガイドラインは、当時の国内承認状況について未承認と記載しています。
- 現在の国内承認・適応と入手経路は、使用する機器ごとに確認する必要があります。
- 医薬品副作用被害救済制度は、医療機器による健康被害を対象とする制度ではありません。
- 研究の多くは生活習慣病を基礎疾患に持つ血管性EDが対象で、神経性EDは除外されています。
- 有効性を報告した研究はありますが有効率に幅があり、長期の成績は確立していません。
EDの衝撃波治療とは
EDの衝撃波治療は、低強度体外衝撃波療法と呼ばれるもので、英語の頭文字からLI-ESWTとも表記されます。体の外から衝撃波を当てる治療です。
日本性機能学会と日本泌尿器科学会が編集したED診療ガイドライン第3版によると、尿路結石に使用する衝撃波より低強度の体外衝撃波は、すでに虚血性心疾患、創傷の治癒、形成治療、整形外科の治療などに臨床応用されているとされています。
ただし、他の領域で使われていることと、EDの治療として国内で認められていることは別です。次の章で、その点を確認します。
EDの衝撃波治療の承認状況と費用の確認ポイント
ED診療ガイドライン第3版は2018年の資料であり、当時の国内承認状況を記載しています。現在の状況は、実際に使用する機器の名称、承認番号、承認された使用目的を確認する必要があります。未承認の機器を用いる場合は、その旨や入手経路、安全性に関する情報について説明を受けてください。
| 確認事項 | 現時点で分かっていること |
|---|---|
| 承認の有無 | 2018年版ガイドラインでは当時未承認と記載。現在の状況は機器・適応ごとに確認する |
| 国内の承認機器 | 2018年版ガイドラインでは当時の承認機器なしと記載。現在は使用機器の承認番号と使用目的を確認する |
| 入手経路 | 2018年版ガイドラインには医療機関による個人輸入の記載がある。実際の入手経路は使用機器ごとに確認する |
| 救済制度 | 医薬品副作用被害救済制度は医療機器の健康被害を対象としないため、医療機関の対応・補償を別途確認する |
海外では第一世代のED1000とDuolith SD1 ultra、第二世代のRENOVAの3機種が販売されているとされています。
欧州泌尿器科学会(EAU)の現行ガイドラインは、軽度の血管性EDやPDE5阻害薬への反応が乏しい血管性EDなど、対象を選んで低強度衝撃波療法を弱く推奨しています。すべてのEDに共通する第一選択ではなく、日本の承認や保険適用とも別の判断です。
医薬品副作用被害救済制度は、医療機器による健康被害を対象とする制度ではありません。機器の承認状況だけで補償の有無を判断せず、トラブルが起きた場合の診察、治療費の負担、医療機関が設けている補償について事前に確認してください。
EDの衝撃波治療で期待されている仕組み
どのような仕組みで作用すると考えられているのかを確認しておきましょう。あくまで期待されている仕組みであり、効果を保証するものではありません。
ED診療ガイドライン第3版によると、低強度体外衝撃波により血管新生が促進され、その結果として血管内皮機能および血流動態の改善が期待される点に治療の仕組みがあるとされています。
この考え方から導かれるのが適応の範囲です。同ガイドラインは、この観点からLI-ESWTの適応は血管性EDであるとしています。つまり、血流の問題が背景にあるEDを想定した治療であり、すべてのEDを対象とするものではありません。
EDの衝撃波治療の研究で対象とされてきた人
誰を対象とした研究なのかを知ると、報告されている結果をどう受け止めればよいかが分かります。
同ガイドラインによると、報告された7つのランダム化比較試験や前向き症例対照研究のうち6つが、糖尿病、高血圧、脂質異常症、虚血性心疾患などの生活習慣病を基礎疾患に持つ血管性EDを対象としており、この6研究とも神経性EDは対象から除外されています。また、3つの研究はPDE5阻害薬が無効な例を対象としていました。
ここから分かるのは、研究の対象が限られているということです。神経の問題によるED、心因性のED、手術後のEDなど、原因が異なる場合に同じ結果が得られるかどうかは、これらの研究からは言えません。
自分がどの原因に当てはまるのかは、診察と検査によって評価されます。治療法だけを先に選ぶのではなく、まず原因の評価を受けてください。
EDの衝撃波治療で報告されている有効性
報告されている内容と、その限界を合わせて確認します。数値だけを取り出すと実態から離れるため、対象と条件まで含めて読んでください。
同ガイドラインによると、ランダム化比較試験3研究のうち2研究で、衝撃波を行った群がプラセボ群より有意に勃起機能が改善したとされています。ただし、有効率は60〜90%と幅があると記載されています。
また、サブ解析では65歳未満の若い層が高齢者より有効であり、中等度までのEDのほうが重症のEDより有効であったとも報告されています。同ガイドラインは、これらの文献結果からLI-ESWTはPDE5阻害薬が無効で重症度が中等度までの血管性EDで、65歳未満の若い層に有効性が期待されるとまとめています。
安全性については、同ガイドラインは、これらの研究では副作用の報告がなかったとしています。ただし研究の数は限られており、この記述をもって長期的な安全性が確認されたことにはなりません。
EDの衝撃波治療はいつから効果を評価するか
評価の時期は、研究ごとに用いられた機器や照射の条件によって異なります。治療の直後に効果が現れると断定できるものではありません。
2018年版ガイドラインには、機器によって照射範囲や1クールの回数が異なる例が紹介されています。そこで挙げられた回数を現在のすべての機器に当てはめることはできません。実際の機器と照射条件、評価時期を確認してください。
したがって、個人について効果が現れる時期を保証することはできません。医療機関から提示された計画について、何回で1クールとするのか、いつ評価するのかを確認してください。
EDの衝撃波治療のガイドライン上の位置づけ
ここは誤解が生じやすい部分なので、ガイドラインの記載を言葉のとおりに確認します。紹介されていることと推奨されていることは別です。
ED診療ガイドライン第3版のCQ13は「PDE5阻害薬が無効または禁忌のED患者に対してどの治療法が最も有用か?」という設問です。その推奨文は「PDE5阻害薬が無効または禁忌のED患者に対して、陰圧式勃起補助具またはプロスタグランジンE1の海綿体注射を行うことを弱く推奨する」となっています。
つまり、衝撃波療法は推奨文には含まれていません。解説の中で治療の選択肢のひとつとして紹介されてはいますが、推奨されている治療として挙げられているわけではありません。この違いを踏まえて情報を読んでください。
なお、同ガイドラインは2018年に発行されたものです。日本性機能学会と日本泌尿器科学会は2025年9月19日に、後継となる男性性機能障害診療ガイドライン2025年版を発行しています。最新の位置づけについては、受診時に確認してください。
EDの衝撃波治療で分かっていないこと・注意点
分かっていないことを把握しておくことも、判断には必要です。この記事の作成時点で確立した情報を確認できていない項目を挙げます。
- 長期にわたる成績
- 適応となる範囲の詳細
- 機器や照射条件の標準化
- 副作用や合併症が生じる頻度
これらについて、この記事では数値を作りません。頻度が確認できない以上、起こりにくいとも起こりやすいとも書けないためです。
また、医療広告等ガイドラインは、主要な欧米各国で承認されている国がないなど情報が不足している場合には、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示するよう求めています。未承認の治療を検討する際は、この点を踏まえてください。
EDの衝撃波治療を検討する前の確認事項
受けるかどうかを決める前に、確認しておきたい項目を質問の形で整理しました。
| 確認したい項目 | 質問の例 |
|---|---|
| EDの原因評価 | 私のEDの原因はどう評価されていますか |
| 標準的な治療の検討 | PDE5阻害薬などの治療は検討されましたか |
| 使用機器の国内承認と適応の説明 | この治療の国内での承認状況を教えてください |
| 救済制度の扱い | 健康被害が生じた場合の救済制度の扱いはどうなりますか |
| 使用する機器 | どの機器を使い、どのように入手したものですか |
| 費用の総額と回数 | 1クールの回数と総額、追加治療の費用を教えてください |
答えが得られなかった項目は、その場で契約せず持ち帰って検討してください。
EDの原因評価と衝撃波治療の適応
研究の主な対象は、生活習慣病を基礎疾患に持つ血管性EDでした。神経性EDは除外されており、心因性や手術後のEDについても、同じ結果が得られるかは分かりません。
そのため、問診や検査を受けないまま治療法だけを選ぶことは避けてください。原因の評価は、どの治療が適しているかを判断する前提になります。
EDの標準治療と衝撃波治療の位置づけ
国内で承認されている治療について、まず適否を確認してください。ED診療ガイドライン第3版は、PDE5阻害薬をED治療の第一選択としています。
衝撃波治療が、標準的な治療の代わりとしてガイドラインで一律に推奨されているわけではありません。既往歴や併用している薬も含めて医師に伝え、選択肢を整理したうえで検討してください。
ED衝撃波治療の使用機器・照射条件・費用総額
使用する機器の名称、その承認状況と入手の経路、1回の照射内容、予定している回数、追加治療の条件、総額、途中で中止した場合の扱いを確認してください。
機器ごとの優劣や、必要な回数について根拠のない説明がなされていないかも確認の対象です。同ガイドラインが記載しているのは世代による照射範囲と回数の違いであり、どの機器が優れているという評価ではありません。
EDの衝撃波治療に関するよくある質問
衝撃波治療について寄せられることが多い質問をまとめました。確認できていない事柄については、その旨を記しています。
Q.EDの衝撃波治療に保険は使えますか?
A.治療費は、保険の適用と医療機関の料金設定を確認してください。自由診療として受ける場合は、診察料、検査料、施術料、予定回数と追加治療の条件を含めた総額を確認しましょう。
Q.EDの衝撃波治療はPDE5阻害薬の代わりになりますか?
A.一律に代わりになるとは言えません。ED診療ガイドライン第3版はPDE5阻害薬をED治療の第一選択としており、CQ13の推奨文にも衝撃波療法は含まれていません。原因、禁忌の有無、薬への反応、本人の希望を踏まえて、医師が治療の選択を判断します。併用してよいかどうかも自己判断せず確認してください。
Q.EDの衝撃波治療にはどのくらい費用がかかりますか?
A.自由診療のため、医療機関、使用する機器、照射の回数によって異なります。1回の料金だけでなく、診察料、検査費用、1クールの総額、追加治療が必要になった場合の費用、途中で中止した場合の扱いまで確認してください。金額の比較より先に、何が含まれているのかを確認することをおすすめします。
Q.EDの衝撃波治療は何回くらい受けますか?
A.治療の回数と間隔は、使用する機器や照射条件によって異なります。2018年版ガイドラインに紹介された回数は、特定の機器の例です。医療機関が提示する計画について、その根拠、効果を評価する時期、追加治療の条件を確認してください。
Q.EDの衝撃波治療に痛みや副作用はありますか?
A.2018年版ガイドラインで紹介された研究では副作用の報告がなかったとされていますが、長期的な安全性やすべての機器の安全性を保証するものではありません。使用する機器の資料に基づき、起こり得る症状、異常時の連絡先、受診方法について説明を受けてください。
まとめ
EDの衝撃波治療では、研究で示された効果と、使用する機器の国内承認・適応を分けて確認する必要があります。2018年版ガイドラインに記載された承認状況だけで、現在の状況を判断することはできません。
血管性EDを中心に改善の報告がありますが、効果には個人差があり、使用する機器や照射条件も異なります。まず原因を評価し、他の治療も含めて医師と検討してください。治療前には、機器、費用、リスク、健康被害が起きた場合の対応について説明を受けましょう。
参考・出典
日本性機能学会・日本泌尿器科学会 ED診療ガイドライン[第3版](2018年) https://www.jssm.info/guideline/files/EDguideine03_s.pdf
厚生労働省 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン、令和8年3月30日最終改正) https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf
日本性機能学会 ガイドライン(2025年版男性性機能障害診療ガイドライン、2025年9月19日発行) https://www.jssm.info/guideline/