ニキビ跡治療のおすすめは跡の種類で変わる|赤み・クレーター別に解説
ニキビ跡の治療を調べると、さまざまな施術名が出てきて、どれを選べばよいのか迷いやすいところです。
ただし、ニキビ跡はひとまとめにできるものではなく、赤み、色素沈着、へこみなど、状態によって検討される治療が変わります。
この記事では、跡の種類ごとに考えられる治療とそれぞれの限界、副作用やダウンタイム、選ぶときの判断材料を整理します。
この記事の要約
- ニキビ跡に万人向けのおすすめ治療はなく、赤みやへこみなど跡の種類で選択肢が変わります。
- 陥凹性瘢痕は形や深さによって検討される治療が異なり、複数を組み合わせることもあります。
- 国内のガイドラインでは、跡に対する施術の多くが保険適用外で推奨度も高くない位置づけです。
- 施術を比べるときは、変化の見込みだけでなく副作用やダウンタイム、総額も確認しましょう。
- 活動性のニキビが残っている場合は、跡の治療と並行して炎症を抑える治療が必要になります。
ニキビ跡のおすすめ治療は跡の種類で選ぶ
同じ「ニキビ跡」という言葉でも、皮膚に起きていることは一つではありません。日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、炎症のあとに生じる皮膚の陥凹、隆起、色素沈着をまとめて瘢痕として扱っています。
つまり、赤みが残っている状態と、茶色い色が残っている状態と、皮膚がへこんでいる状態は別物です。それぞれ皮膚で起きている変化が違うため、「これを受ければ全部よくなる」という一つの正解はありません。おすすめの治療を探すというより、自分の跡がどの状態なのかを先に確かめるほうが近道になります。
また、跡の種類によっては、施術の選び方を誤ると症状が強く出ることもあります。まずは種類の違いから確認していきましょう。
ニキビ跡の種類と見分け方
はじめに区別しておきたいのが、今も炎症が起きている活動性のニキビと、炎症が治まったあとに残る跡です。触れると痛みがある、盛り上がって芯が見えるといった状態は、跡ではなく治療中のニキビとして扱われます。
ここから紹介する見分け方は、あくまで大まかな目安です。複数の状態が同じ顔の中に混在していることも多く、最終的な判断は診察で行われます。
赤み(炎症後紅斑)
ニキビが治まったあとに、平らな赤い色が残っている状態です。皮膚の表面に段差がなく、押すと一時的に色が薄くなることがあります。炎症のなごりとして生じるもので、時間の経過とともに変化していくことがあります。
ただし、同じ場所で新しいニキビができ続けている場合は、赤みも入れ替わりながら残り続けます。鏡で見ると「跡が消えない」と感じますが、実際には炎症が繰り返されているだけということもあります。この場合、跡の治療より先に炎症を抑える治療が必要になります。
赤みが引くまでの期間には幅があり、数週間で目立たなくなることもあれば、長く残ることもあります。触ったり潰したりして刺激を加えると炎症が長引くことがあるため、気になっても手を加えないほうが無難です。
色素沈着(炎症後色素沈着)
炎症のあとに茶色っぽい色が残る状態です。皮膚の色をつくるメラニンが炎症の刺激で増えることに関係するとされ、赤みから移り変わっていくこともあります。
紫外線を受けると色が濃く見えることがあるため、日焼け対策は治療と並行して続けたい部分です。なお、色の変化には個人差があり、どのくらいの期間で薄くなるかを一律に示すことはできません。
また、色素沈着は皮膚の色調の変化であり、皮膚の形が変わっているわけではありません。同じ茶色い跡に見えても、下にへこみが隠れていることがあります。明るい場所で斜めから見たときに影ができるようであれば、陥凹が混在している可能性があります。
陥凹性瘢痕(クレーター)
皮膚がへこんで見える状態で、萎縮性瘢痕とも呼ばれます。色ではなく形の変化であるため、化粧品やスキンケアで平らに戻すことは難しく、跡の中でも治療の難易度が高い部類に入ります。
へこみの形は一様ではなく、細く深いアイスピック型、縁がはっきりした四角いボックスカー型、なだらかな起伏のローリング型などに分けて考えられます。形が違えば、届かせたい深さも変わるため、検討される治療も変わります。クレーターの治療については「クレーターのニキビ跡治療」の記事で詳しく解説しています。
実際には、1つの顔の中に複数の形が混ざっていることが少なくありません。そのため、1種類の施術ですべてに対応できるとは限らず、部位ごとに方法を変えたり、複数の治療を組み合わせたりする方針が取られることもあります。
肥厚性瘢痕・ケロイド
へこみとは反対に、皮膚が盛り上がって硬くなる状態です。あごや胸、背中などにできることがあり、赤みやかゆみ、痛みを伴うこともあります。
陥凹性瘢痕とは治療の考え方が異なり、皮膚に傷をつけたり削ったりする施術によって症状が強くなることがあります。ケロイドができやすい体質かどうかは、施術を受けられるかの判断にも関わります。過去に傷あとが盛り上がった経験がある場合は、必ず診察時に伝えてください。
ニキビ跡の種類別におすすめされる治療
跡の種類ごとに、検討されることのある治療を整理します。ただし「この跡にはこの治療」と一対一で決まるものではなく、状態によって組み合わせたり、順番を考えたりすることがあります。
| 跡の種類 | 検討されることがある治療 | 注意点 |
|---|---|---|
| 赤み | 経過を見る、外用治療、光を用いた施術など | 炎症が続いていると赤みも入れ替わって残る |
| 色素沈着 | 外用治療、ケミカルピーリング、紫外線対策 | 対策をしないまま日焼けすると濃く見えることがある |
| 陥凹性瘢痕 | マイクロニードリング、フラクショナルレーザー、外科的な処置 | 形や深さで適する治療が変わり、複数回に及ぶ |
| 肥厚性瘢痕・ケロイド | ステロイドの局所注射など | 削る・傷つける施術で症状が強く出ることがある |
この表は治療の方向性を示すもので、適応や順番は診察で判断されます。自己判断で施術を選ばないようにしてください。
また、跡が複数の種類にまたがっている場合は、まず赤みや色素沈着を落ち着かせてから、へこみに対する治療を検討するといった順序が組まれることもあります。逆に、炎症が強く残っている状態で刺激の強い施術を先に行うと、色素沈着が濃くなることもあります。
ニキビ跡の主な治療の特徴と限界
ここからは、それぞれの治療がどのような仕組みで、どこまでを目的としているのかを整理します。どの治療にも限界があり、跡がまったく元の皮膚と同じ状態に戻ることを保証できるものではありません。
外用薬・内服薬
塗り薬や飲み薬は、主に活動性のニキビや、炎症に伴う赤み・色素沈着に対して用いられます。すでに形が変わってしまった陥凹性瘢痕を薬だけで平らに戻すことは想定されていません。
なお、ニキビ跡を目的に、国内で承認されていない医薬品や、承認された効能・効果の範囲を超えた使い方が提案される場合があります。
その場合は自由診療となり、全額自己負担です。医薬品副作用被害救済制度には、適正な使用でなかった場合など、給付の対象とならない条件があります。厚生労働省も、個人輸入した医薬品による健康被害は救済の対象とならないと注意を促しています。
薬剤名を挙げて提案された場合は、その薬が国内で承認されているか、どの効能・効果で承認されているか、入手経路はどこかを確認してください。承認状況は薬剤ごとに異なるため、まとめて判断できるものではありません。
ケミカルピーリング
薬剤を皮膚に塗り、表面の角質を取り除く施術です。用いる薬剤の種類と濃度によって、皮膚のどの深さに作用させるかが変わります。
前述のガイドラインでは、面皰に対してはグリコール酸やサリチル酸マクロゴールによるピーリングが、標準治療が無効あるいは実施できない場合の選択肢の一つとされています。
一方、痤瘡の萎縮性瘢痕に対するトリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸を用いたピーリングは、行ってもよいが推奨はしないという位置づけです。いずれも保険適用外である点への配慮が必要とされています。
施術後は赤みやヒリつき、乾燥、皮むけが起こることがあります。濃度や薬剤が皮膚の状態に合っていない場合、色素沈着につながることもあるため、施術者の判断が結果に影響します。
市販のピーリング化粧品と医療機関で行うケミカルピーリングは、使用できる薬剤の濃度が異なります。同じ名称でも内容は別物なので、市販品を強く使い込むことで代わりにしようとするのは避けてください。
マイクロニードリング(ダーマペン)
細い針で皮膚に微細な傷をつけ、その回復の過程を利用する施術です。針の深さや施術する範囲、薬剤を併用するかどうかによって内容が変わります。
海外では研究が進んでいます。ニキビ跡に対するマイクロニードリング単独療法を検討したランダム化比較試験のシステマティックレビューとメタアナリシス(12研究、414名)では、高周波を併用しないマイクロニードリングについて、瘢痕の客観的な改善に有意な差がみられたと報告されています。一方、高周波を併用した比較では有意差が示されず、患者自身の満足度についてもほとんどの比較で有意差はなかったとされています。
また、2024年に報告されたネットワークメタアナリシス(24研究、1546名)では、マイクロニードリング単独よりも他の治療と組み合わせた場合の成績がよく、なかでもケミカルピーリングとの併用が最も良好だったとされています。同報告では、紅斑や痛み、炎症後色素沈着といった有害事象について、治療間で有意な差はみられなかったとされています。
ただし、これらの研究は回数や間隔、評価方法が統一されていません。特定の論文にある回数をそのまま一般的な推奨回数として受け取ることはできません。日本国内のガイドラインには、マイクロニードリングを扱ったクリニカルクエスチョンは設けられておらず、国内の標準的な位置づけは確認できていません。使用する機器の承認状況は製品ごとに確認が必要です。
フラクショナルレーザー
皮膚に点状にレーザーを照射し、周囲の組織を残しながら回復を促す施術です。用いる機器によって、皮膚を蒸散させるタイプと、蒸散を伴わないタイプに分かれます。
ニキビ跡治療におけるフラクショナルCO2レーザーのメタアナリシスでは、その有効性は非CO2レーザーによる治療と同程度であり、良い選択肢ではあるものの、有効性についてはさらなる根拠が必要と報告されています。機器の名称だけで優劣を決められるわけではないという点は、比較検討をするうえで押さえておきたい部分です。
一方、国内のガイドラインでは、痤瘡あるいは痤瘡瘢痕に対するレーザー治療は、機器の特性を理解したうえで行ってもよいが推奨はしない、という位置づけになっています。設備の問題や国内での検討が十分でないこと、保険適用がないことが理由として挙げられています。施術後には赤み、腫れ、かさぶた、色素沈着などが起こることがあります。
外科的な処置
陥凹の形によっては、皮膚の下で瘢痕を引き離すサブシジョンや、深い凹みに高濃度の薬剤を作用させるTCA CROSSといった処置が検討されることがあります。機器を用いた施術では届きにくい形状に対して選ばれることがある方法です。
なお、肥厚性瘢痕やケロイドに対する外科的切除や冷凍凝固療法は、国内のガイドラインでは行ってもよいが推奨はしないとされています。処置の内容や適応は状態によって大きく変わるため、個別の記事もあわせて確認してください。
ニキビ跡の治療を選ぶときの判断材料
施術名の知名度や口コミだけで決めると、生活との折り合いがつかず途中で続けられなくなることがあります。次の軸で整理してみてください。
- 跡の種類と、その治療が対象としている状態が合っているか
- 跡の範囲と深さ、顔全体か一部か
- 赤みや皮むけが出る期間を、仕事や予定の中で確保できるか
- 1回あたりではなく、想定回数を含めた総額で無理がないか
- 指定された間隔で通院を続けられるか
- 受けられない条件に自分が当てはまっていないか
特に見落としやすいのが、ダウンタイムと通院間隔です。施術によっては数日から1週間程度、赤みや皮むけが続くことがあります。人前に出る予定が多い時期は避けるなど、事前に計画しておくと負担が軽くなります。
もう一つ、施術と施術の間隔にも意味があります。皮膚が回復する前に次の施術を重ねると、負担が大きくなることがあります。短期間で仕上げたいという希望があっても、間隔は皮膚の回復に合わせて決まるものだと考えておくほうが現実的です。
紫外線対策も判断材料の一つです。施術後の皮膚は刺激を受けやすい状態になるため、日焼け対策を続けられるかどうかで、施術を始める時期の相談が変わることもあります。
ニキビ跡治療の副作用・ダウンタイムと受けられないケース
どの施術にも、想定される症状があります。事前に知っておくと、施術後の変化に慌てずに対応しやすくなります。
- 施術部位の赤み、腫れ、熱感
- ヒリつきや乾燥、皮むけ
- 点状の出血やかさぶた
- 炎症後の色素沈着
- 傷口からの感染
- もともとあったニキビが一時的に目立つこと
また、次のような場合は施術を受けられない、または延期になることがあります。妊娠中や授乳中、施術部位に感染や強い炎症がある場合、ケロイドができやすい体質、光線過敏がある場合、内服中の薬剤によって皮膚が反応しやすくなっている場合などです。
持病や服薬の内容によっても判断は変わります。市販薬やサプリメントを含め、使っているものは診察時にすべて伝えてください。最終的に受けられるかどうかは、診察での判断になります。
施術後の過ごし方も、症状の出方に関わります。強くこすらない、熱いお湯で長く洗わない、日焼けを避けるといった点は、多くの施術で共通して案内される内容です。指示された外用薬がある場合は、自己判断で中断せずに続けてください。
施術後に痛みが強くなる、腫れが引かない、じくじくした状態が続くといった変化があれば、次回の予約を待たずに連絡してください。連絡先と対応時間をあらかじめ確認しておくと安心です。
活動性のニキビがある場合の順序
今も新しいニキビができている状態で跡の施術だけを重ねても、新しい炎症から新しい跡が生まれ続けます。この場合は、まず炎症を抑える治療が優先されます。
前述のガイドラインは、軽い症状でも瘢痕を残しうること、早い段階での治療によって瘢痕が予防できることを示唆するデータがあることに触れています。今あるニキビを保険診療で落ち着かせることは、跡を増やさないという意味でも意味のある一手です。
炎症が強い急性炎症期の治療は最大3か月を目安とし、その後は状態を保つ維持期の治療へ移行する流れが示されています。跡の治療を検討するタイミングについては、この経過を見ながら医師と相談してください。
ニキビ跡治療の費用と回数の考え方
美容目的のニキビ跡治療は、原則として自由診療です。全額が自己負担となり、価格は医療機関ごとに設定されます。
跡の治療は1回で完結するものではなく、間隔をあけて複数回にわたることが想定されます。そのため、1回の料金より、想定回数と追加費用を含めた総額で見るほうが実態に近づきます。費用の内訳については「ニキビ跡治療の値段」、回数の考え方については「ニキビ跡は何回で治るか」の記事で詳しく解説しています。
必要な回数は、跡の種類と深さ、範囲、用いる方法によって変わります。研究によって回数や間隔の設定が異なるため、特定の数字を一般的な目安として当てはめることはできません。回数を明言された場合は、その根拠と、途中で方針を見直せるかどうかを確認しておきましょう。
ニキビ跡治療で医療機関を選ぶときに確認したいこと
施術のメニュー数や価格だけでなく、診察と説明の内容も判断材料になります。カウンセリングで次の点を確かめてみてください。
- 跡の種類を診断したうえで治療方針を説明してくれるか
- その治療で見込める変化と、届かない部分を説明してくれるか
- 副作用、ダウンタイム、受けられない条件の説明があるか
- 想定回数と総額、追加費用が明示されるか
- 副作用が出たときの診察や処置の扱いが決まっているか
- 契約を急がせず、検討する時間をとれるか
説明の中で、変化の程度を断定したり、リスクの説明が省かれたりしている場合は、いったん持ち帰って考える判断があってよい場面です。
ニキビ跡治療に関するよくある質問
ニキビ跡の治療を選ぶ場面で、検索されることの多い質問をまとめました。
ニキビ跡に一番効く治療はどれですか?
すべての跡に共通して最も効く治療というものはありません。赤み、色素沈着、へこみ、盛り上がりでは、皮膚に起きている変化がそれぞれ異なるためです。国内のガイドラインでも、跡に対する施術の多くは推奨度が高くない位置づけになっています。まずは診察で跡の種類を確認し、そのうえで生活と両立できる治療を相談するという順序が現実的です。
ダーマペンとレーザーはどちらを選べばよいですか?
どちらが優れていると言い切れる根拠は示されていません。跡の形や深さ、赤みや皮むけが出る期間をどれだけ確保できるか、通院の間隔を守れるかによって検討が変わります。併用が提案されることもあるため、二択で考えず、方針として相談することをおすすめします。
まとめ
ニキビ跡の治療にどれがおすすめかを一律に決めることはできません。赤み、色素沈着、へこみ、盛り上がりでは皮膚に起きている変化が異なり、検討される治療も見込める範囲も変わるためです。まずは自分の跡がどの状態なのかを診察で確認することが出発点です。
見落としやすいのは、施術名より条件のほうが結果を左右する点です。赤みや皮むけが出る期間を確保できるか、指定の間隔で通えるか、想定回数を含めた総額に無理がないかを整理しておきましょう。また、今も新しいニキビができている場合は、先に炎症を抑える治療が必要です。
受けられない条件や、施術で症状が強く出る跡の種類もあります。自己判断で施術を決めず、跡の種類と適応、限界の説明を受けたうえで方針を相談してください。
参考・出典
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023_230820.pdf
Minds 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00827/
Microneedling monotherapy for acne scar: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35426044/
Comparison of efficacy and safety of microneedling combined with other treatments in acne scars: network meta-analysis https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39110247/
The efficacy of fractional CO2 laser in acne scar treatment: A meta-analysis https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33190373/
PMDA 救済の対象とならない場合とはどのような場合ですか https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0032.html
厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html