バイアグラとシアリスの違いは?作用時間・食事の影響・費用と副作用
バイアグラとシアリスは、どちらも勃起不全の治療に用いられる医療用医薬品です。名前は知られていても、何がどう違うのかは分かりにくいところです。
この記事では、電子添文で確認できる内容をもとに、効果が続く時間、食事の影響、用量の考え方、副作用と併用できない薬を整理します。
どちらが強いかではなく、生活の状況と医師の判断で選ばれる薬である点を前提にお読みください。
この記事の要約
- バイアグラの有効成分はシルデナフィルクエン酸塩、シアリスの有効成分はタダラフィルです。
- シアリスの電子添文には投与後36時間まで有効性が認められていると記載され、作用の続き方が異なります。
- バイアグラは食事とともに服用すると効果発現時間が遅れることがあり、シアリスは食事の有無にかかわらず投与できます。
- 両剤とも硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌で、自己判断での服用はできません。
- いずれも医師の処方が前提の医療用医薬品で、勃起不全の治療は原則として自由診療になります。
バイアグラとシアリスの主な違い
両剤は同じ勃起不全という効能・効果で承認されていますが、有効成分が異なり、作用の続き方や食事の影響に差があります。
まず全体像を整理し、その後で項目ごとに確認します。数値は電子添文で確認できたものだけを示しています。
| 項目 | バイアグラ錠 | シアリス錠 |
|---|---|---|
| 有効成分 | シルデナフィルクエン酸塩 | タダラフィル |
| 用法・用量 | 1日1回25mg〜50mgを性行為の約1時間前 | 1日1回10mgを性行為の約1時間前 |
| 食事の影響 | 食事とともに服用すると効果発現時間が遅れることがある | 食事の有無にかかわらず投与できる |
| 作用の続き方 | 消失半減期は3.23〜3.31時間 | 投与後36時間まで有効性が認められている |
いずれも電子添文の記載です。実際にどちらを用いるかは、既往歴や服用中の薬を含めて医師が判断します。
効果が続く時間の違い
シアリス錠の電子添文には、本剤は投与後36時間まで有効性が認められていることから、その期間は安全性について十分配慮することと記載されています。服用のタイミングを厳密に合わせにくい場合に、この点が選択の理由になることがあります。
バイアグラ錠の電子添文には、作用が続く時間そのものを示す記載はありません。薬物動態の項目では、血漿中のシルデナフィルが消失半減期3.23〜3.31時間で速やかに消失したと記されています。半減期は体内から薬が減っていく速さを示す指標であり、効果が続く時間と同じものではない点には注意が必要です。
作用が長く続くことは、都合のよさだけを意味するものではありません。その期間は副作用が現れる可能性も続くため、他の薬を使う予定がある場合や、体調に不安がある場合は必ず医師に伝えてください。
食事の影響の違い
この点は両剤で明確に異なります。バイアグラ錠の電子添文には、食事とともに本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがあると記載されています。
同じ電子添文の薬物動態の項目では、健康成人16名にシルデナフィル50mgを食後または空腹時に単回投与した試験で、最高血中濃度に達するまでの時間が食後3.0時間、空腹時1.2時間となり、食後投与により1.8時間延長したと報告されています。最高血中濃度そのものも、食後投与では空腹時投与より低い値だったと報告されています。
一方、シアリス錠の電子添文には、本剤は食事の有無にかかわらず投与できると記載されています。健康成人18例にタダラフィル20mgを高脂肪食の後または空腹時に投与した試験では、血中濃度の指標に食事摂取による影響は認められなかったと報告されています。ただし、これは食事の影響を受けにくいという意味であり、飲酒や体調の影響まで含めて同じという意味ではありません。
効き始めるまでの時間の違い
電子添文の用法・用量では、両剤とも性行為の約1時間前に服用することとされています。服用のタイミングの指示そのものは共通しています。
違いが出るのは、その1時間前という条件をどこまで守りやすいかです。バイアグラは食事の影響を受けるため、食後すぐの服用では想定より遅れることがあります。
シアリスは食事の影響を受けにくく、作用が続く時間も長いことから、タイミングを細かく計りにくい場合に選ばれることがあります。
用量と費用の考え方の違い
用量は自分で決めるものではありません。バイアグラ錠は1日1回25mg〜50mg、シアリス錠は1日1回10mgが基本で、シアリス錠については、10mgで十分な効果が得られず忍容性が良好と判断された場合に20mgへ増量できると記載されています。増量の判断は医師が行います。
電子添文には、高齢者や肝障害のある方、重度の腎障害のある方では血中濃度が上昇するため用量に配慮が必要であることも記されています。効きが弱いと感じても、自己判断で量を増やしたり、他の薬と一緒に服用したりしないでください。
費用については、勃起不全の治療を目的とした処方は原則として自由診療となり、全額が自己負担です。1錠あたりの価格だけでなく、診察料や、必要に応じて行われる検査の費用を含めて確認してください。
バイアグラ(シルデナフィル)の特徴
バイアグラ錠は、シルデナフィルクエン酸塩を有効成分とする医療用医薬品です。電子添文の効能・効果は、勃起不全とされています。
用法・用量は、通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg〜50mgを性行為の約1時間前に経口投与するとされています。前述のとおり、食事とともに服用した場合は効果発現時間が遅れることがあると明記されています。
禁忌には、硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤を投与中の方、心血管系障害があるなど性行為が不適当と考えられる方、重度の肝機能障害のある方、低血圧または管理されていない高血圧の方、最近6ヶ月以内に脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往がある方、網膜色素変性症の方などが挙げられています。アミオダロン塩酸塩の経口剤やリオシグアトを投与中の方も禁忌です。
シアリス(タダラフィル)の特徴
シアリス錠は、タダラフィルを有効成分とする医療用医薬品で、効能・効果は勃起不全です。タダラフィルを有効成分とする医薬品には、勃起不全以外の効能・効果で承認されている製剤もあるため、成分名だけで同じ薬と考えないでください。
用法・用量は、通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与するとされ、10mgで十分な効果が得られない場合の20mgへの増量が条件付きで認められています。食事の有無にかかわらず投与でき、投与後36時間まで有効性が認められていると記載されています。
禁忌には、硝酸剤または一酸化窒素供与剤を投与中の方、リオシグアトを投与中の方、不安定狭心症のある方や性交中に狭心症を発現した方、コントロール不良の不整脈・低血圧・高血圧の方、最近3ヶ月以内の心筋梗塞の既往がある方、最近6ヶ月以内の脳梗塞・脳出血の既往がある方、重度の肝障害のある方、網膜色素変性症の方などが挙げられています。
バイアグラとシアリスはどちらが向いている?
どちらが優れているという関係ではなく、生活の状況と体の状態に照らして選ばれます。
服用のタイミングを計りやすいか、食事の影響を避けたいか、副作用の出方はどうか、といった点が判断の軸になります。
最終的な選択は、既往歴と服用中の薬を確認したうえで医師が判断します。
共通する主な副作用
両剤とも血管を広げる作用があるため、それに伴う症状が報告されています。電子添文では、バイアグラ錠で血管拡張(ほてり、潮紅)5.78%、頭痛3.87%が示されています。シアリス錠の国内試験では、副作用が認められたのは27.2%で、主なものは頭痛11.3%、潮紅5.1%、ほてり3.5%、消化不良2.3%と報告されています。
このほか、めまい、鼻閉、消化不良、視覚に関する症状などが電子添文に記載されています。症状が続く場合や強い場合は、我慢せず処方を受けた医療機関へ相談してください。
受診が必要な症状として、両剤の電子添文には、4時間以上続く勃起の延長や、6時間以上持続する痛みを伴う勃起について記載があります。速やかに処置を行わないと陰茎の組織が損なわれるおそれがあるとされているため、この状態になった場合はすぐに医療機関を受診してください。
服用できない人・併用できない薬
最も重要なのは併用禁忌です。両剤とも、硝酸剤および一酸化窒素供与剤を投与中の方には使用できません。狭心症などで処方される薬が該当することがあり、併用すると過度に血圧が下がるおそれがあります。
- 硝酸剤、一酸化窒素供与剤を使用している
- sGC刺激剤(リオシグアト)を使用している
- 心血管系の疾患があり、性行為が不適当と考えられる状態にある
- 重度の肝機能障害がある
- 低血圧、または管理されていない高血圧がある
- 一定期間内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞の既往がある
- 網膜色素変性症がある
該当する項目の細かい条件は薬剤ごとに異なります。現在使用している薬は、市販薬やサプリメントも含めて診察時にすべて伝えてください。自己判断での服用や、他の人に処方された薬を使うことは避けてください。
入手方法と個人輸入のリスク
いずれも医療用医薬品であり、医師の診察と処方が前提です。インターネット上には個人輸入をうたう販売経路がありますが、そこで扱われる製品には偽造品や、表示と異なる成分量の製品が含まれるおそれがあります。
また、正規の流通経路を通らない医薬品で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
前述のとおり、これらの薬には併用禁忌があり、体の状態によっては使用できません。診察を受けずに入手して服用することは避けてください。
十分な効果が得られない場合
思うような結果が得られないときは、量を増やす前に確認したい点があります。服用のタイミングが指示どおりか、食事の影響を受けていないか、緊張などの心理的な要因が関わっていないか、といった点です。
また、勃起不全の背景に、糖尿病や高血圧などの疾患、服用中の薬の影響が隠れていることもあります。
原因の切り分けについては「ED治療薬 効かない」の記事で詳しく整理しています。まずは処方を受けた医師に、どのように服用してどう感じたかを具体的に伝えてください。
バイアグラとシアリスに関するよくある質問
本文で扱いきれなかった疑問をまとめます。薬に関する判断は、必ず処方を受けた医師に確認してください。
バイアグラとシアリスは併用できますか?
併用はできません。両剤の電子添文では、他の勃起不全治療薬を投与中の方について、併用した場合の有効性と安全性は確認されていないとして注意が示されています。
作用が重なることで血圧が下がりすぎるおそれもあります。効果が不十分だと感じる場合も、自分で組み合わせず医師に相談してください。
ジェネリックでも先発品と違いはありますか?
後発医薬品は、有効成分と含量、用法・用量が先発医薬品と同一であることを前提に承認されています。
一方で、添加物や製剤の形状は製品ごとに異なる場合があります。価格も製品によって差があります。
どの製品を用いるかは、体の状態や服用中の薬を踏まえて医師と相談してください。個人輸入で入手した製品は、後発医薬品の名称を用いていても国内で承認されたものとは限りません。
まとめ
バイアグラとシアリスは、いずれも勃起不全の効能・効果で承認された医療用医薬品ですが、有効成分が異なり、食事の影響と作用の続き方に差があります。
バイアグラは食事とともに服用すると効果発現時間が遅れることがあり、シアリスは食事の有無にかかわらず投与でき、投与後36時間まで有効性が認められていると記載されています。
見落とされやすいのは、どちらを選ぶかより先に、使えるかどうかの確認が必要な点です。硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌で、心血管系の状態や既往によっては服用できません。個人輸入品には偽造品のおそれがあり、救済制度の対象外となる可能性もあります。
服用中の薬と体の状態を伝えたうえで、医師と相談して選んでください。
参考・出典
PMDA バイアグラ錠25mg・50mg 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2590018F1020_1_05
PMDA シアリス錠5mg・10mg・20mg 電子添文 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530263_2590016F5026_1_05